song4 15の夜4
「動くって、いったいどうするんだ?受験あるんだし、厄介なことになるんじゃないか?」
「そうだ。何か起こっても関係ないし、余計なことに首をつっこんで、こっちに火が降りかかってきたら、意味ないじゃないか」
桂は僕たちの声に、笑った。
「まあ、当然の反応だよ」
「だろ?」
達也が少し声を荒げると、桂は紙に何かを書き始めた。
「他人の家だし、忘れると行けないから、紙に書く。声、でかいぜ」
「あ」
やはり、桂は機転が利く。地頭がいいという感じ。普段、授業はそんなにやる気は見せないのだけれど。
「俺たちがまず、奴らより先に、ちょっとしたことを起こすのさ」
桂は紙に書き始めると、そのちょっとしたことを羅列していった。
・万引き
・自転車パクリ
・校舎のガラス割り
・家出
他にもいろいろあげていったが・・犯罪まがいのもあった。
達也は正直どれでもいいと言ったが、少々、乗り気ではない感じだった。それを桂もよく分かっていた。
ボクはと言えば一番ずるい言い方でしかこたえられなかった。
「一番他人に迷惑がかからない方法」
はははははははは
桂は笑った。
「お前らしくって、すまない」
そしてすぐに
「たぶんだけど間違ってもいない分析するな。お前のその、妙なプライドって言うのも分かるし、かっこつけたいって言うのも分かる。学校での最近の様子見ていても、斜めってるし。たださ、その割に、迷惑かけたくないって言うのはさ、無理があるよ」
そう、
分かってる。
もう、十分に迷惑はかけているし、こんなこと、多かれ少なかれ、迷惑はかけるもの。でも、抑えきれないものが何かあって、引っかかっている。
だからこそ、君たちを、ここにいることすら、容認しているんだ。
それをもボクは、何も言わず、言えず。
それもプライドって言うのなら、どうすればいいのか分からない。