3話
ユーフェミア達が住んでいるイスパエルという国は、気候も作物も豊かで中立国ということで争いのない平和な国だ…。
アゼル家は代々陛下の騎士や側近をしている。ウォルシードが二十歳の時に父親が亡くなり跡を継いでいる。ウォルシードは子供の頃ら頭を使うより剣を扱うほうが好きだった為、側近よりも騎士という道を選んだ。今は、この国の王太子の専属騎士を勤めている。王太子はウォルシードと同じ年で幼馴染みという間柄だ。
「ユーフェミア様どうなさいましたか?手が止まっておりますが」
いつの間にか傍にメイドが立っていた。どうやらこのメイドはユーフェミアが飲んでいた紅茶がなくなりかけてた頃を見計らって、紅茶をつぎにきたのだ。そして本を読んでいるはずの主人がぼーっとしていたので声をかけたらしい。
ユーフェミアは声をかけられた方を見上げると
「メル……」
彼女はユーフェミアが嫁いだ時にバートソン家から連れて来たメイドだ。ユーフェミアより3つ年上で、小さい時から専属で付いている。
ここにはユーフェミアとメルしかいない。アゼル家の執事やメイドは室内にいる。ユーフェミアが本を読んだり、刺繍をするときは下がらせて常にひとりでいるか、傍に控えているのはメルだけだ。
ユーフェミアは辺りに人がいないのを確認して、メルに向かって話し始めた。
「もう~今日もダメだったわ!!何でいっつも同じ言葉しか出てこないのよ~!!」
そうユーフェミアは極度の人見知りだった………。