9話
アゼル家の庭に行くとセシルが腰をかけ素晴らしい薔薇を見ていた。
「ごめんなさい、お待たせして。」
「いいわよ、それよりどうしたの?顔が真っ赤よ。」
「えっ!!」
セシルに言われ、ユーフェミアは顔に手を当て先程の事を思い出してしまった。
そこにメルとアゼル家のメイドがお茶とお菓子を持ってきた。
「奥様、お茶をお持ちしました。」
「ありがとう。」
アゼル家のメイドは下がり、メルはユーフェミア達の側にいた。
「どう?新婚生活は?」
ユーフェミアは急に自分の事を聞かれ思わず飲んでいたお茶を落としそうになった。
「どうって…」
「あらやだ。そんなに慌てて…それにまた顔が真っ赤よ。」
「もう、セシル!!」
セシル・レメールは公爵家のお嬢様で、ユーフェミアとはユーフェミアの両親とセシルの両親が仲がよかった為小さい頃からの付き合いだ。大貴族のお嬢様なのにセシルはお茶会や流行のドレスにも興味がなく、いつも馬に乗って遠乗りをしたり、勉強をすることが大好きだった。 婚約者はこの国の第二王子で生まれた時に決められた事だった。
「顔が真っ赤になった理由を聞いてもいいかしら?」
「あの…えっと…この庭の事をさっき執事から聞いて…私、ここの薔薇は元々アゼル家が栽培してると思ってて…それが違ったみたいで、ウォルシード様が私が薔薇を好きな事を知って急いで植えたみたいなの…それがとても嬉しくて…でもこんなことされたの初めてたからどうしたらいいのか分からなくて…」
「もうごちそうさま。そんなにノロケられるとは思わなかったわ。」
「えっ!!」
「急に結婚をしたから少し心配してたけど、安心したわ…。心配して損したわ」
「セシル…ありがとう…」
「ウォルシード様って無口で無愛想で少し怖い感じだけど、ユフィの前では違うのね。そういえば…夜の方はどうなのよ。」
ユーフェミアは夜の様子を聞かれ沈んでしまった。
セシルも急に顔が変わったユーフェミアに心配してしまい、「どうしたの?何かあったの?」と聞いた。
「私、ウォルシード様に避けられてるみたいなの…。領地へ行く前の日…結婚して初めて早く家に帰って来たのだけど…食事中も余り会話がなくて…夜は執事と仕事の話しがあるから先に寝てなさいと言われて…。多分、他に好きな方がいらっしゃるのよ…」
「ユフィ…他に好きな方がいるなら借金のある女性と結婚なんてしないし、薔薇を植えないわ!!」
「そうかしら?」
「そうよ!!それよりユフィあなたウォルシード様の事が好きなの?」
「えーっ…どうしてそうなるの?」
「だってウォルシード様に好きな人がいるかもしれないって言った時のユフィは恋する乙女みたいに切なそうだったわよ。」
「そうなのかしら?」
「何で疑問なのよ!!」
「だって…自分の事なのに分からないですもの、恋をしたことがないから…セシルは恋をしたことあるの?」
「えっ!!そうね~それなりにあるわよ。」
「その人の事を想うと切なったり早く会いたくなるのよ…。」
「ユフィの場合はウォルシード様の事を想うと顔がコロコロ変わるわ、とても可愛らしく。気持ちが表情に出るのはいい事だわ」
「そうかもしれないないわ…。最近ウォルシード様の事ばかり考えてるわ」
ユーフェミアはこの日初めて自分が恋をしてる事にようやく気付いた。




