表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君は悪魔の成り損ない  作者: ヨダカ
円舞曲
40/53

黄色の百合

アラム国内では着々と戦闘準備が進められていた。やはり推理通り、戦争が起こるのだ。

二人の少年が路地裏で話し合っていた。

「本当に、許せないよな」

少年は友達に話しかけた。友達は何度も頷いた。

「ああ本当に。まさか謎のヤツラが侵略してくるなんて。良くないよ!」

少年は木の棒を振り回した。

「でも大丈夫、兵隊さんがやっつけてくれるんだよ。悪い人達なんて一瞬だよ」

「うん。でも、本当かなぁ」

少年は友達を訝しげに見つめた。

「本当かなあって、何が?」

「その…僕達、今度戦争をするんでしょ?本当に攻めてくるのかな。やっぱり怖いよ。話し合いでなんとかできないの?」

「話し合いって…そんなの出来っこない。もう敵はガリヤ城下町を襲って、今既に交戦中なんだよ!」

「ガリヤ城下町、大丈夫かなぁ。ケデロさん、元気かな」

「あの人なら大丈夫だよ。あんなに格好良い人、見たことないもの」

それに、と少年は笑った。

「こっちには、リビア様もついてるんだもの!リビア様とケデロさんが揃えば敵なしだよ」


城の一室で、神官は悲しげに呟いた。

「やはり無知とは罪か。リビア」

リビアはにやけながら窓から庶民を見下ろした。陽気な街だ。呑気な街だ。

「そうだと思いますよ」

「…」

神官は俯いた。

「どうしたんです。まさか」

リビアは神官に近づき、見つめた。

「今更怖気づいたとか…?」

「…そうではない」

神官はフーっと息を吐いた。

「私にも君のような力が欲しいと思ったのだ」

「こんなもの、何に使うのです」

「蹂躙と殺戮」

リビアは思わず顔を引きつった。この男はいかれてると思った。

「…辞めたほうが良いと思いますけどね」

「ほう。じゃあ君はどう使うんだ」

リビアは考えた。

「…イミカの虐待?」

神官は思わず顔を引きつった。この女はいかれてると思った。

「ま、まぁ良い。とにかく国民には謎の勢力が攻めてきた、とだけ伝えた。『謎の勢力』だ」

「たちが悪いですね」

「なんとでも言え。まさか我々が悪側だとは考えてもいないだろうな、国民は」

リビアはちょっと驚いたような顔を見せた。

「おや。自分達が悪側だと、わかっているのですか」

「当たり前だ。平和の崩壊など、悪以外の何者でも無いのだから」

「ではなぜ…?」

神官は曇天を拝んだ。

「我々は神の思惑を遂行するのみだ」


「神官様」

扉が開いた。神官とリビアは振り返った。

「どうした」

「『革命軍』という謎の輩が、ムージュ様のもとに現れたそうです」

「なんだ、それは。殺したか」

「はい」

神官はリビアを見た。

「どう思う」 

「どうって…一応調べておくのが良いのでは」

神官は頷いた。扉は再び閉まった。

「面倒だな」

リビアは空をうっとりと見つめていた。神官はリビアを睨んだ。 

「おい、どうしたんだ呆けて」

「あ…。いえ、イミカから花を貰ったのですよ」

リビアは嬉しそうに懐から花を取り出した。可愛らしい、黄色い百合だった。

「へえ、それは良かったな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ