アニメ放送開始記念番外編:リリーの謎
本日1月5日22:00~TOKYO MXにて
『妃教育から逃げたい私』アニメ放送開始!
豪華キャストなので皆様ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです!
そして本日電子書籍配信開始!
『犬猿の仲の幼馴染と運命の赤い糸で結ばれました』
ケンカップル好きの方ぜひ!
そして昨日1/5
『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』
コミックス3巻発売されました!
すべて活動報告、またはこのページの下の方に情報載せているのでよければご確認ください!
皆様に楽しんでいただけますように!
では番外編お楽しみください!
「さあ! 寄ってらっしゃい見てらっしゃい!」
ブリっ子が楽しそうに手を叩いて私の目の前に品物を並べた。
ちなみに他にも客が周りにいそうな感じで話しているが、この部屋にはブリっ子の他に、私とマリアしかいない。実質客は私一人だ。
「まだ私に商売する気なんだ……」
「あったり前じゃない! あんたほどいいカモ……じゃなかったお金持ちそうそういないんだから!」
カモって言った。友達をカモって。
「私、王族だけど、王族だからこそそこまで自由にお金使えないから、なんなら兄様相手にした方がいいわよ」
「やだ。ナディル怖い」
ブリっ子はハッキリ首を横に振った。
「絶対『この商品の性能はきちんと証明できるのか?』とか『耐久性はどれぐらいか試したのか?』とかうるさいもん。やだ。素人と商談したい」
思いっきり素人扱いされた。いや、素人だけど。
兄様色々手広くやってるからね。経営者目線で突っ込んでくるでしょうね。
「じゃ、これ何?」
「これ?『意中の彼をメロメロに! 媚薬香水』」
「却下!」
私は指さした手をサッと元に戻した。またいらない商品持ってきたな、ブリっ子。
「新婚なんだから冒険しなきゃいけないじゃない!」
「いらないって。普通がいいんだって」
「普通って……恋愛はね、刺激がある方が楽しいのよ、ね、マリア!」
話を振られたマリアが首を傾げて少し考えた。
「そうですね。恋愛は刺激がある方が長続きすると聞いたことはあります」
「ほら! 経験豊富なマリアがこう言ってる!」
「いえ、私恋愛経験ゼロですけど……耳年増なだけです」
「耳年増なマリアがそう言ってる!」
「マリアは年増じゃないぞ! 訂正しろ!」
出てくると思った。
ルイ王子、留学期間長くない? マリア連れ帰るまで居座る気?
ところで保護者どこ?
「ルイ殿下、耳年増というのはそういう意味じゃないです。お子様には難しい言葉でしたね」
「ライル! たまに僕を馬鹿にするのやめろ!」
よかった、いた。早く連れ帰って。
と思ったのにルイ王子は「ふんっ!」と言うと、空いているソファーにふんぞり返って座った。いや、帰ってよ。
ルイ王子はブリっ子が広げた商品を興味深そうち手に取った。
「なんだこれは」
「それはね、『どんな相手も素直になっちゃうお薬』」
怖すぎる!
だけどルイ王子の瞳が輝いている。
「こ、これを飲ませればマリアが素直に!?」
「素直に『あなたに興味ないです』と言い切ります」
マリアが間髪入れずに言った。一瞬で少年のワクワクが潰れた瞬間を見てしまった。
素直になる薬なんて……クラーク様に使ったら……。
「きゃーーー!」
「何一人ではしゃいでるのよ」
私は必死に想像のクラーク様を脳内から消し去る。普段からダダ漏れなのに、さらに素直になられたら困る。
ふと、ライルがじっと素直になる薬を見ていることに気づく。
「どうしたのライル?」
「あ、いえ……」
ライルが1度言葉を止めたが、少し考えた仕草をした後、再び口を開いた。
「……皆さん、リリーさんの年齢ってご存知ですか?」
皆がピタリと動きを止めた。
「そういえば知らないわね」
「ちょっと上のお姉さんな感じです」
「僕はマリア以外はどうでもいいから知らない」
ブリっ子とマリアとルイ王子が言った。
「私も知らない……出会った時から容姿が変わってない!」
リリーはずっとリリーだった。
みんなでじっと素直になる薬を見つめ、ごくりと唾を飲み込んだ。
◇◇◇
「レティシア様?」
部屋を訪れたリリーが不思議そうに首を傾げた。いるはずの私がいないのだから当たり前かもしれない。
実際は隠れてるだけでいるんだけど。
「ん?」
リリーがテーブルの上に置かれた手紙に気づき、それを手に取った。
『リリーへ
いつもありがとう!
感謝の気持ちに特別に取り寄せた紅茶を飲んでね
レティシアより』
リリーがチラッと紅茶を見た。そっとそれに手を伸ばし、カップを手にする。リリーがそっとカップに口を近づける。その様子を私たちは隠れながら固唾を飲んで見守った。
そしてついに。
――ゴクリ。
リリーが飲んだ。
「飲んだ! 飲んだわよ!」
「レティシア様?」
突如現れた私たちに、リリーは大きく驚いた様子もない。冷静すぎる。
だが、飲んだからには冷静だろうが関係ない。
「リリー!」
「なんでしょうか」
「リリーって……何歳なの?」
私の問いにリリーは……。
「秘密です」
「え?」
確実に答えてもらえるはずなのに、リリーからは明確な答えは得られなかった。
「……ブリっ子、これって偽物なの?」
「そんなはずないんだけど……」
ブリっ子も困惑していた。
「ああ、これに何か入っていたのですね」
リリーはすぐに状況を理解し、手にしていたカップを指さした。さすがリリー、優秀な侍女。
「私、毒物の類は効かないように身体作りをしておりますので」
………?
「毒が効かない?」
「ええ。万一の時に備えて、耐性をつけております」
自信満々に言われたけど、万一の時って何……。
リリーへの謎が深まってしまった。
本日1月5日22:00~TOKYO MXにて
『妃教育から逃げたい私』アニメ放送開始!
本日電子書籍配信開始!
『犬猿の仲の幼馴染と運命の赤い糸で結ばれました』
昨日1/4
『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』
コミックス3巻発売!
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