似たものきょうだい
あっさり終わる番外なので、さらっと読んでください。
ブリっ子のお話始めました!『没落寸前だけど結婚したい私』もよろしければお楽しみください!
こちらよりはギャグ抑えめのラブコメディになる予定です。
「あんたお兄さんに似てないわよね」
「え? 何突然」
いつも通りのお茶会で、ブリっ子が唐突に切り出した。
「いや、見た目がまったく似てないわけじゃないんだけど……性格がね」
「私のほうが性格いいってこと?」
「そうとは言っていない!」
そこ、そんなに力いっぱい否定しなきゃいけないところだったかな。
自分ではそこまで性格悪くないと思っているので少ししょんぼりしてしまう。まあいいとも思っていないけれど。
「確かにご兄妹と言われないとわからないぐらい性格違いますよねー」
マリアがお菓子の補充をしながら言う。
「性格似ていると言われたら私修業に出てくる」
「何目指そうとしてるのよ」
だって兄に似ていると言われたら相当性格が悪くなっているということだ。そうなったらもうどこか修業して人生やり直すしかない。
いや、むしろ生まれ変わらないとダメか……?
「冷静に相手を追い込むナディル様に、落ち着きなく動き回る王太子妃様、真逆ですねー」
おかしい。その表現だと圧倒的に兄のほうが人間として優れているように聞こえる。
私もあれだけど、兄はそんな高評価されていい人間ではない!
「あれはね、蛇みたいな男なのよ! ネチネチ執念深い男!」
「蛇男……」
私の言葉にブリっ子が納得したように頷いている。たまに顔を合わせるおかげで、ブリっ子は兄の被害にあっているようだ。
「七歳の私を屋敷に閉じ込めて妃教育漬けにする鬼畜男よ! 父様も母様も私から遠ざける徹底ぶり! あれは悪魔よ!」
説明しながら途中感情がこもり、ぐっと拳を握る。そう、あれもこれもだいたい兄のせいだ。
「でも、私、王太子妃様とナディル様、似てるところあると思うんですよね」
何、聞き捨てならん!
自分では似ている部分は全くないと思っている私は、マリアを睨みつけるも、マリアは意に介さず、にこやかに告げた。
「自分が一番大事なところですね」
うっ……。
何を言われても反論しようと思った口を閉じた。
何よ、誰だって、自分が一番可愛いでしょう……。
ちょっと、ブリっ子! それだ! みたいな顔してるんじゃないわよ!
「マリア、もしかして身代わりにしようとしたことまだ根に持ってる?」
「もちろんです!」
そんな自信満々に言わなくても……。
もうあれから随分経つのに、と思うも、それは口にしない。火に油を注ぐことをわざわざ言うことはない。
ルイ王子がマリアから直接手渡されたお菓子を口に含んだ。マリアが渡してくれないと食べれないと駄々を捏ねた結果、マリアが押しに負けたのである。
「僕は兄上たちのどれにも似てないな」
いや、ある意味そっくりだよあなたたち……。
個性が強い面々を思い出し、私もお菓子を口に詰め込んだ。