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第34話、モンスター観察と追跡

「森にはどんなモンスターがいるかな~」


 ミミは森の中を散策していた。今日の目的は森のモンスターを観察することだ。


「今まではモンスターを倒してばかりだったから、今日は観察して楽しむぞ~。

 『和の心』はセットしたから問答無用で襲われることはないはず」


 森の中を歩いていくと、蜘蛛のモンスターが現れた。

 体長は50センチほどで、細部を省略してデフォルメを強くしたデザインだ。


「最初は蜘蛛か。森と言ったら虫だよね。リアル系じゃなくてよかった~。

 よく見るとかわいげがあるかも。ぬいぐるみにしたら……いや、やっぱり虫はいいかな」


 近づいていくと、こちらに気づいたのか蜘蛛がミミの方を見た。

 だが襲ってはこない。パッシブスキル「和の心」が機能しているようだ。


「まずは『和の心』がどこまで有効なのか調べるところからいこう」


 ミミは蜘蛛にさらに近づく。蜘蛛はミミを見つめたまま体の向きだけを変えた。

 そして、蜘蛛の真横にしゃがみ込んだ。攻撃はされない。


「近づくだけなら大丈夫、次は撫でてみよう……」


 ミミが手を伸ばして蜘蛛の表面に触れた瞬間、蜘蛛は一度距離を取り、ミミへの攻撃を開始した。


「触るとダメなのか~。でも、すぐそばまで近づいてもいいのは助かるな」


 そう言いながらミミは蜘蛛を倒し、別のモンスターを探し始めた。



「おっ、モンスター発見!今回は遠くから行動を観察してみようかな」


 視線の先には狼のモンスターがいた。

 ミミは狼に気づかれないように背後へと回り、後をついていくことにした。

 狼は一か所にとどまることなく、常に動き回っているようだった。


「追跡って楽そうなイメージがあったけど、やってみると結構ハードな動きを要求されるな~」


 ミミは狼の動きに合わせて茂みを飛び越えたり、ときには木に登ったりしながら、見つからないようについていった。

 そんな中、ミミはスキルを手に入れた。

 

 パッシブスキル「モンスター追跡」

 1度視界に捉えたモンスターの足跡をしばらくの間可視化する

 取得条件:モンスターを一定距離追いかける。


「今回の状況にぴったりなスキルだね。セットしよう」


 それからは距離に余裕をもって狼を追いかけることができるようになった。



 しばらく追跡していたミミはあることに気づく。


「あれ、地図を見ると一定の範囲内で移動しているみたいだね」


 地図を見てそのひらめきを検証していると、狼側に動きがあった。

 鹿のモンスターと鉢合わせたのだ。

 狼は鹿に飛び掛かり、噛みつきを繰り返して倒してしまった。


「モンスター同士でも戦うことがあるんだね」


 鹿がいたところには肉がドロップしていた。

 狼はその肉を食べるかと思いきや、肉をくわえてどこかへと歩いていった。

 歩いて行った方向は狼の移動範囲の中心だった。


「やっぱり移動範囲があるのには意味があったんだね。

 肉を持っていくってことは……食糧庫みたいなものがあるのかも。お宝があるといいな」


 後ろをついていくと、小さい洞窟があった。

 ミミが入るには少しかがまなければならないほどの大きさだ。

 狼は肉をくわえてそこに入り、すぐに出てきた。その口には何もくわえられていなかった。


「やっぱり肉を置いていったね。

 後は狼が離れたタイミングを見計らって、中身をもらっちゃおう」


 ミミはしばらく待ってから、洞窟に入っていった。



 洞窟の中にはミミの予想を裏切る光景が広がっていた。

 あたりには食べ散らかされた肉の切れ端や、無数の噛み跡が付いた動物の骨が転がっている。

 そして、食事を終えて眠っている子狼がいた。


「そうか、ここは巣だったんだ。さっきの狼が親だったんだね。

 この子狼、すごくかわいい。撫でたいけど……今から敵対するのは嫌だな……

 そうだ、肉なら食べられるかも。餌付けできるか確かめるために買っておいたのがあるはず」


 現金なことに子狼を見た途端感情移入してしまったミミは、インベントリから肉を取り出し、その場に置いた。

 子狼は鼻をひくつかせ、目を覚ました。

 近くにいるミミに驚いたような表情を見せながらも、食欲には勝てなかったのか肉を食べ始めた。

 ミミはしばらくの間、肉を食べる子狼を眺めていた。


「今日のところは親狼に見つかる前に帰ろうかな。

 また来るときも肉を持ってくるからね」


 子狼が肉を食べ終わり、我に返ったミミは時間を確認してから洞窟を出た。

 それからミミは毎日のようにその洞窟に通った。

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