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AI少女、今日も成長中!  作者: 回路屋
第2章:動き出す巨悪篇
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第14話:レイナ VS スズメバチ

静寂。

森林地帯に吹く風が、二人の間に漂う緊張で張り詰めた空気を僅かに揺らす。

スズメバチは、無表情のまま拳銃を構えている。

レイナは、体制を僅かに低くし拳銃への警戒レベルを上げていた。

「(次、攻撃されたら一気に懐に潜る。)」


その次の瞬間、スズメバチが何も言わず速射。

「ヤバッ!」

レイナはギリギリで反応できたものの、僅かに服をかすめてしまった。

しかし、即座に体勢を整え一気にスズメバチとの距離を詰める。

「(何!消えた!?)」

「ファーストヒットもらった!」

「チィッ!(これは、やられた。)」

レイナは拳を一閃し、スズメバチの腹部に一撃を入れた。

その攻撃でスズメバチは大きく吹き飛び、後ろの木に直撃した。


「流石というべきかしら。あのタイミングでよく腕を挟み込めたわね。」

スズメバチはレイナに吹き飛ばされる直前、左腕を入れ直撃を回避していた。

しかし、それによって左腕は骨にはひびが入りほぼ使い物にならなくなってしまっていた。

「ふん。(今の単純な軌道だからギリギリ読めた。異常ともいえる速度。これは警戒度を上げておく必要があるな。)」

「次は仕留める。」

「(こいつに、単純な攻撃は通用しないな。だとすれば、搦手(からめて)を使うまでのこと。)」


次の刹那、レイナが再度距離を詰めにかかる。

「近づけねぇよ!」

その直後、スズメバチが何かを地面にばらまいた。

それは、鈍く光る鉄の撒菱(まきびし)であった。

「この程度どうってことない!」

レイナは躊躇いなく撒菱地帯に突入したが、僅かコンマ数秒速度が落ちていた。

その数秒で、既にスズメバチの照準はレイナに定まっていた。

「減速したな。さっきのお返しだ。」

「(しまった。防御に切り替え…。)」

レイナは咄嗟の防御行動に転じたが、それは遅すぎた。

放たれた弾丸は、レイナの左肩に命中した。

即座にレイナはスズメバチからバックステップで距離を取り、岩陰へと身を隠した。

「(久々に無茶しちゃったかな。左腕は使い物にならないわね。ん?)」

レイナは左肩を見て、困惑の表情を浮かべた。


レイナの左肩は、通常の弾丸による損傷ではなく、まるで酸性物質で溶かされたかのような傷となっていた。

「なにこれ、溶けてる?」

「気づいたか。俺の弾丸には、私の能力で作り出した『毒物』が埋め込まれている。さっきの銃弾には、金属をも溶かす毒が仕込んであるんだよ。」

「(なるほどね…。ここでむやみに姿をだせば、拳銃でおしまい。『黒錠』を出してもいいけど、毒で溶かされるかもしれない…。)」

「どうした、もう終わりか?(あいつのパワーとスピードは危険だ。距離を詰めさせないようにありとあらゆる手段で完封する。)」

「(このままだと、どのみちジリ貧で負けちゃう。そういえば…。)」


戦場には静寂の時間が流れていた。

その静寂を破ったのは、スズメバチが投擲(とうてき)した手榴弾だった。

そして、その手榴弾がレイナの隠れていた岩を破壊した。

その煙が晴れたとき、そこには『黒錠』を装備したレイナがそこに立っていた。

「やっと出てきたか。(なんだ…あの奇妙な武器は。)」

「ええ。時間もないし、さっさと終わらせましょう。」


一方その頃、テータは半分半泣き状態で家にたどり着きナターシャとナズナに今までの経緯を話した。

「なるほど承知しました。ナターシャ先輩、テータちゃんたちをお願いできますか?」

「了解。ナズナちゃんも気をつけてね。」

ナズナは、すぐ自宅から森に向けて走り出した。

「ナターシャさん。レイナ様は大丈夫でしょうか…。」

「レイナさんは大丈夫だよ。ほらほら、泣かない泣かない。」

「わかりました…。」

「(また、人攫い…。嫌な予感がする。)」


ナターシャの心配をよそに、レイナとスズメバチの戦闘は最終局面を迎えていた。

奇妙な武器(そんなもの)を出しても、私の射撃技術の前には無意味。(あの形状的に、近距離特化型の武器。距離を保ち続ければ消耗戦で私の勝ちだ。)」

スズメバチは嘲笑と共に毒入り銃弾をフルオート乱射した。

レイナはその攻撃を全て『黒錠』で受ける。

「無駄無駄!俺の毒はどんな金属でも溶かすことが…あ?」

「(思った通り、『黒錠』は毒程度では溶けない!どんな素材使っているか正直よくわからないけどね!)」


レイナは昔、零から『黒錠』に使っている素材に関してレクチャーされたときのことをあの瞬間に思い出していた。


『いいかいレイナ。『黒錠』にはありとあらゆる耐性を付与してある。』

『ありとあらゆる耐性?』

『例えば、耐酸化とか耐腐食とかかな。まぁ、そこら辺にある物理法則程度じゃこいつは壊れないからもしもの時は盾にでも使うといい。』

『盾って、それ武器でしょ…。』


『黒錠』の耐毒性をみたスズメバチの顔に少し焦りが見えた。

その僅かな揺らぎをレイナは察知しながらも、『黒錠』の先端をスズメバチに向けた。

それは、他者から見れば明らかに異質な行動。

「なんだ…!?(何かヤバイ…。)」

スズメバチが回避行動をしようとしたその刹那、『黒錠』の先端が一瞬まばゆい光が出たかと思うと、スズメバチの頭上をとてつもなく巨大なエネルギー弾が通り抜けた。

その威力はすさまじく、スズメバチの背後一直線にあった森林をなぎ倒し、雲すらも吹き飛ばすほどであった。

「なんだ…今のは…?」


スズメバチが、その威力にあっけを取られていたその隙にレイナは『黒錠』を瞬間的に黒い鍵に戻し、懐に潜っていた。

「やっととれた。」

「しまった!回避…。」

レイナはスズメバチの足を踏み、その場に留めさせ回避行動をとらせなかった。

流れるようにレイナは正拳突きの体勢に入った。

「(防御も間に合わない。これはやられた…。)」

「子供たちの受けた痛み、少しでも味わいなさい!」

その言葉と共に、レイナの右手の正拳突きがスズメバチの腹部にめり込んだ。


「ガハッ…。」

まともに食らった、スズメバチは十数メートル吹き飛びそのまま意識を失った。


レイナは、スズメバチが気絶したことを確認するとその場にへたり込んだ。

「勝ったぁ。ちょっと無理しすぎたかな…。」

レイナの身体はすでに限界に達しており、足もスズメバチの撒菱を強引に突破したことでボロボロになっていた。


こうして、レイナは辛くもスズメバチとの戦闘に勝利することができたのであった。

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