竜と惚気
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無事子牛顔ノ人を討伐したカイロス騎士団団長スカイ、いまだ魔獣-モリノケンジャと交戦中の竜殺しバルドル、殺人兎を属性の優位による圧倒で完封した傭兵団「黒き鉄槌」特攻隊長カイナ達…あるものは部隊を指揮しながら、あるものは硬直を維持しながら、あるものは仲間と合流しながら、死の黒波の開幕の狼煙を上げたあの魔力が膨れ上がるのを感じた。
「ほう!これはこれは…元凶は近くにいるようだな」
……
「ちっ!嬢ちゃん派手にやってるなあ!」
……
「サツキ!そっちにいるの?」
……
ズンッ!
世界が震えた。そんな魔力を掻き消すほどの異様な威圧感が森の奥から放たれ、それを追うように…
1匹の竜が現れた。
ソレは飛んでいた。
あの魔力めがけて
<バルドル>
「おいおいおい!コイツはまずい、本物の竜…こんなやばいのかっ!」
バルドルはいまだモリノケンジャが飛ばす羽に対処しながらも、正確にその飛んだ竜の実力を把握していた。
「ソウカ…タシカニコノマリョクダ。カノリュウノサガシモノハミツカッタヨウダ。ネガワクバ、コレデマンゾクシテクレルコトヲイノットルガ…マアムリデアロウ」
バルドルはそんな呟きを聞くと叫びように問うた。
「おい!何を知ってるんだ!?」
「シッテイルコトナドタイシテナイ。タダ、アレガナゼカアラワレ、アレガシハイシ、アレノノゾミヲミタスタメウゴイタダエダ。シカシアレハウゴキダシタ、デキレバネテイテホシカッタガ…マアシカタアルマイ」
そう言うとモリノケンジャは片翼からは今まで通り羽根を発射しつつ、もう片方に魔力を集めた。
「ソレデハサラバダ、ココニイテハシンデシマウノデナ。コドモトトモニココヲハナレル」
「おい、逃げるの…」
「ハヤクイッタホウガイイゾ、ヒガイヲオサエルタメニモナ」
魔力が溜まった方の羽から今までとは比べ物にならないスピードと圧のある羽根が飛ばされると、ソレは一瞬にして地面へと刺さり…その魔力を解放した。
ボンッ!
周囲に風が吹き荒れると、砂埃が舞いバルドルの視界を塞いだ。
「ゲホッ!ゲホッ、ゲホッ…」
次にバルドルが目を開けた時にそこにモリノケンジャはいなかった。
「アイツ手加減してやがったな…」
そんな苦い気分を味わいつつバルドルは「身体強化」を纏い直すとただいま交戦中といった具合の「竜」とサツキの元へ向かった。
<スカイ>
「これは非常にまずい、コイツは…」
同様にソレを感じ取った騎士団長スカイはあることで悩んでいた、それは…
「団長、俺行きたいです」
「お姉さま!ぜひ私を連れて行ってください!」
「私も行きたいです!」
「僕も行きたいかな」
「アース、お前は?」
「うーん、私は…」
誰を共に連れて行くか、である。
なら全員で行けば?と思われるかもしれないが、実際いまだ周りの魔物の殲滅が完遂できておらず、部隊長クラスである彼ら彼女らは周りを指揮せねばならないわけであり…
「よし!決めたぞ!」
そんな中、団長として責務を果たすべくスカイは決断した。
「ルーニー、ボルダーは私と共に来い。アース、マナ、ファルはここに残って部隊を指揮!以上だ!」
「やった!俺もいけるぜ!」
「お姉さま…ありがとうございますっ!」
「仕方ありません…」
「まあ決定ならいいかな」
「もちろん、団長の言う通りに」
スカイは部下達に慕われるいい上司のようだ。
「そ、それでだな、あ、アース…」
「はい、どうしました?」
「こ、この短剣を預かっていてくれないか?」
「?はい、いいですけど…?」
「あ、ありがとう」
短剣を預ける…それはその人に生殺与奪の権利を明け渡すのと同義であり、またその事から私はあなたに言われない限り死なないので絶対に戻ってきますよと言うある意味誓いのようなものなのだが、彼は…(お察し)
さらにそれに気づいていないのも…(お察し)
「で、では行ってくる!」
「行ってくるぜ!」
「お姉さま〜!」
スカイ達は馬に乗り「竜」とサツキの元へ向かった。
「頑張ってください〜!」
「頑張ってきてよ〜!」
「戻ってきてくださいね、団長!」
たくさんのフラグを立てながら…
緊張感無し!
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次回も本編です




