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刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。  作者: 木山楽斗


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87.騎士団襲来⑨

 リルフの魔法によって、私の体から毒は取り払われた。

 毒を回復する魔法を使えるようになったということは、ナルジャーの持っている薬はもう私達には通用しない。それは、こちらがかなり有利になったことを表している。


「どうやら、形勢逆転のようだね?」

「形勢逆転?」

「あなたの毒は、もうこっちには通用しない。あなたの一番の武器が通用しなくなったんだ。こっちがかなり有利だと思うけど」

「ふっ……」


 私の言葉に、ナルジャーは笑っていた。どうやら、向こうはまだ自分が優位であると思っているようだ。


「俺を舐めてもらっては困る……薬だけが俺の武器じゃない。この剣だって、俺の確かな武器だ」


 そこで、ナルジャーは初めて剣を抜いた。

 剣士としての彼の腕は、未知数である。だが、ドーピングで強化されたナルジャーの身体能力はかなり高い。そこから繰り出される剣技も、かなり強力なのではないだろうか。


「……でも、なんだろう?」


 しかし、私は違和感を覚えていた。何故かわからないが、剣を構えたナルジャーがまったく怖くないのだ。

 構えた姿からは、彼が確かに剣技の心得があるとわかる。それなのに、どうしてもこんなにも怖くないのだろうか。


「行くぞ!」

「うっ……」


 そんなことを考えている内に、ナルジャーがこちらに向かってきた。先程と同じように、彼はとても素早い。やはり、かなりの身体能力であるようだ。


「ふん!」

「くっ……!」


 ナルジャーが振り落としてきた剣に、私はなんとか対応する。とても力強い一撃だ。少しでも気を抜くと、すぐにでも切り裂かれてしまう。

 普通なら、私もそんな感想を抱いていたかもしれない。だが、今の彼に対して、私はそんなことは思っていなかった。なんというか、負ける気がまったくしないのだ。


「おおっ!」

「うぐっ……!」

「ふん! 防戦一方だな!」


 さらなる攻撃にも、私は簡単に対応することができた。別に、彼の剣技が甘いという訳ではない。しかし、私は簡単だと思ったのだ。

 それが何故なのか、そういう余計なことを考える隙間がある程に、彼の剣技は簡単に捌ける。本当に、不思議なことだ。どうして、この素晴らしい剣技は、私に通用しないのだろうか。


「俺は騎士団の中でも、随一の剣士……ドーピングで強化したこの肉体から繰り出されるその剣技は、騎士団長にも劣らないだろう!」

「ドーピング……騎士団長……」


 攻撃しながら、ナルジャーは自らの強さを誇示する発言をしてきた。

 その発言のおかげで、私は理解できてきた。彼の攻撃が、どうしてここまで怖くないのかを。

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