81.騎士団襲来③
私とリルフは、町外れのお墓に来ていた。一度、リルフのことを、私の家族に紹介しておこうと思ったからだ。
「ここに、お母さんのお母さんとお父さん……ボクにとっては、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんがいるんだね」
「うん……それで、こっちが私の育ての親のラルーファさん。私のお母さん代わり……いや、お祖母ちゃん代わりかな? まあ、とにかく私にとって、とても大切な人なんだ」
「そうなんだ……」
ここには、私の大切な人達が眠っている。その人達には、リルフのことをしっかりと理解してもらいたい。
私の大切な子供。それができたことは、きちんと伝えておかなければならないことだ。
「お父さん、お母さん、ラルーファさん、私に子供ができました。ちょっと早すぎるかもしれないけど、でもそれでも大切な子供ができたんです。この子のことは、私の全てをかけて守りたいと思っています。もしかしたら、皆もそうだったのでしょうか?」
リルフという存在ができて、私は自分が今までラルーファさんから受けてきたことや、人から聞いた両親のことを思い出していた。
お母さんは、私を産むことが危険だとわかっていても産むことを選んだ。お父さんは、お母さんが亡くなった悲しみを抱きつつも、私を頑張って守ろうと決意したらしい。そんな二人の気持ちが、今ならよくわかるのだ。
私も、リルフのことを守りたいと思う。そのためには、命すら惜しくない。
「お母さん、ボクもお母さんのことは守りたいよ」
「リルフ……」
「ボクのことは、お母さんが守ってくれる。お母さんのことは、ボクが守る。それなら、完璧だよね?」
「うん……そうだよね」
私は、リルフをそっと抱きしめた。この子のことが、愛おしくてたまらない。その思いをぶつけるように、私はリルフを力強く抱きしめる。
「ごめんね、リルフ……」
「え? どうしたの? お母さん?」
「本来なら、あなたを戦わせるべきじゃないはずなのに……私が、私の力だけで、あなたを守れれば、こんなことにはならなかったのに……そう思うんだ」
そこで、私はリルフに謝罪していた。本来なら、この子を戦わせるべきではない。それなのに、こうして戦場に連れてきてしまっていることに、私は少しだけ罪悪感を覚えていた。
私の言葉に、リルフは少し驚いたような顔をしている。きっと、そんなことを言われるとは思っていなかったのだろう。
「お母さん、ボクは……」
「リルフが何を言いたいか、それはなんとなくわかるよ。でも、謝らせて欲しい。そして、その上で言いたいんだ。私と一緒に戦って欲しいって……」
「お母さん……」
情けない話ではあるが、私はリルフを頼っていた。私もよりも強大な力を持つからとか、そういうことではない。私はこの子に隣にいて欲しいのだ。
リルフが隣にいることで、私の力は何倍にも膨れ上がる。安心できるから、信頼できるから、守りたいから。そんな様々な思いが、私に力を与えてくれるのだ。
「その質問への答えは、決まっているよ。もちろん、喜んで。ボクも、お母さんと一緒に戦いたいよ」
「うん、ありがとう……」
私とリルフは、お互いを抱きしめる力を強くした。お互いの結束を高めるために、強く強く抱きしめる。
私達は、二人で戦う。二人ならば、どんな困難でも乗り越えらえる。私は、今もそれを信じている。




