79.騎士団襲来①
私達は、騎士団とともに宿屋に戻って来ていた。副団長であるウェルデインが、そうしたいと言ってきたのである。
「今回の私達の主目的は、終末を望む会の壊滅です。ここにいる騎士団員のほとんどは、私の本当の目的については把握していません」
「本当の目的、ね……」
宿屋の食堂で、私とリルフはウェルデインと話していた。どうやら、彼らはまだ私達を襲ってきたりはしないつもりのようだ。
だが、あくまでまだである。いずれは、私達に危害を加えるつもりなのだ。そのため、まったく気を緩めることはできない。
「終末を望む会は、きちんと壊滅させていただきます。その点は、安心してください」
「それは、安心できるのかどうか怪しい所だね。あなた達は、私を狙うことをやめないということなんでしょう?」
「それは、そうですね……」
私の言葉に、ウェルデインは笑みを浮かべてきた。前もそうだったが、彼は目が笑っていない。その笑顔の裏で、一体何を考えているのだろうか。
「先に宣言しておきましょう。あなた達と戦う予定にあるのは、三人です」
「三人……」
「ローディス様、私、もう一人の三人です。もっとも、ローディス様の手を煩わせる必要はないでしょう。少なくとも、私があなた達を倒すからです」
「自信があるんだね?」
「もちろんです。私は騎士団で、ローディス様の次に強い。あなた達ごときに、負けることはありません」
ウェルデインは、かなり自らの力に自信を持っているようだ。恐らく、その自信通り、彼は実力者なのだろう。
騎士団の副団長という肩書きだけで、それは証明されている。実力がなければ、その地位に就くことは難しいことであるはずだ。
ただ、それは慢心のようにも思える。私達を舐めているかのようなその態度は、つけ入る隙になるかもしれない。
「騎士団は、明日の早朝から動き出します。終末を望む会の壊滅も、もう一つの任務も。あなた達も、今日は早く休むことですね」
「まあ、精々そうさせてもらおうかな……」
「……ああ、この食事、あなたが作ったそうですね。おいしかったですよ」
「それは、ありがとうございます」
私とリルフは、ゆっくりと席を立った。言われた通り、今日は早く休むことにしたのだ。
エルッサさんも、事情は知っているため、宿屋の仕事ももういいと言われている。唯一やらなければならなかった夕食は作ったので、もう休めるのだ。
「……」
「……」
私とリルフは、自然と手を取り合っていた。その温もりで、お互いの心の不安を癒しながら、私達はゆっくりと自室へと向かうのだった。




