表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。  作者: 木山楽斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/100

49.迷える心⑤

「……うん?」

「……お母さん?」


 そこで、私はあることに気づいた。気配を感じたのだ。

 この森に誰かが来た。私は、それを理解する。同時に思う。今この森を訪れるのが誰なのかと。

 兄貴達だと考えるのは、少し無理がある。皆には、この森のことは話していない。流石にそんな状況で、この森を訪れると考えるべきではないだろう。

 それなら、誰が来たのか。少し嫌な予感がする。


「ふっ……まさか、のこのこと出てきているとはな」

「しかも、あの子供だけだ。こんなにも好都合だと、思わず笑ってしまうな」


 現れたのは、昼間に見た怪しい集団だった。やはり、こいつらが来てしまったようだ。

 数としては、七人である。見覚えがある仮面をつけているので、恐らく昼間に負傷しなかった者達だろう。


「お母さん……」

「大丈夫、リルフは心配しないで……」


 私は、リルフから体を離して、その前に立つ。ゆっくりと剣を引き抜き、構えを取る。

 すると、怪しい集団から笑い声が聞こえ始めた。私の様子を見て、何か滑稽に思ったようである。


「ははは、まさか一人で俺達を相手できるとでも思っているのか?」

「子供は大人しく、家に帰ったらどうだ?」

「あまり舐めない方が、身のためだと思うけど? 昼間みたいに、なるかもしれないし?」

「何?」


 私が煽るような表情を見せると、怪しい集団の態度は変わった。明らかに、少し怒っている。

 どうやら、彼らは単純な人達であるようだ。こんな煽りに乗るなんて、いくらなんでも短絡的である。


「舐めた口を聞きやがって……その減らず口を今すぐに聞けなくさせてやる」

「……」


 怒った一人の男が、私に向かってきた。その手には剣が握られている。

 男は、私にその剣を振るってきた。真正面から一直線、非常に単純な攻撃だ。


「はあっ!」

「ぬうっ!?」


 私は、その剣を受け流した。剣を受け止めながらその軌道をそらして、そのまま相手の懐に潜り込んで行く。


「やあっ!」

「ぐああっ!」


 私は、自らの剣を振るって男の体を切り裂いた。肉を切り裂く感覚を覚えて、なんともいえない思いが芽生えてくる。

 このように人を切るのは、初めての体験だ。今までこの剣術は何度か役に立ってきたが、人を切る機会はなかったのである。

 わかったことは、人を切るというのはあまりいい感覚ではないということだ。できることなら、あまり味わいたくない感覚である。


「ぐああっ……」

「……」


 だが、今はそんなことは気にしている場合ではない。相手は凶器と殺意を持って、こちらを攻撃してくる。そんな相手に対して躊躇えば、訪れるのは死だ。

 私は、覚悟を決めることにする。この剣で、この者達を切ること私は躊躇わない。容赦情けなく、この者達と戦うのだ。

 それが、自らの命を守ることに繋がる。何より、私の後ろにいるリルフを守ることに繋がっていくのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ