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刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。  作者: 木山楽斗


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48.迷える心④

「……リルフは、私のことが嫌い?」

「え?」


 そこで、私はそんな質問をしてみることにした。

 リルフが何を思っているかはわからない。ただ、いくつか可能性は思いつく。一番に思いついたのは、そのことだったのだ。


「私のことが嫌いになったから出て行った。そういうことじゃないの?」

「……そ、そんなことはないよ! お母さんのことは、大好きだよ!」

「そっか……」


 私の言葉に、リルフは力強く反論してくれた。その言葉を聞いて、私は少し安心する。リルフにそう思われているのは、嬉しいことだ。

 しかし、それならどうしていなくなったのだろうか。次の可能性を、私は考えてみる。


「それじゃあ、自分の正体が怖くなったの?」

「それは……」

「あいつらに狙われて、自分が何者かわからなくなって、飛び出したとか……」


 次に思いついたのは、そんなことだった。

 リルフは、自分が何者か悩んでいた。それは、一時はそれ程気にしなくなっていたことだ。

 しかし、あの集団の来訪によって、それは嫌でも気にしなければならなくなった。その恐怖心で訳がわからなくなって出て行ってしまった。そういうことなのではないだろうか。


「……ボクの正体が何者かは、悩んでいる。でも、出て行ったのはそれが理由ではないよ」

「そっか。違うんだね……」


 しかし、私の予想は外れていた。恐怖心はあるが、訳がわからなくなったという訳ではないようである。

 それなら、どうしてなのだろうか。その次の可能性を考える前に、私は一度問いかけてみることにした。


「それなら、どうしたの?」

「……」


 今なら、リルフが話してくれるような気がする。なんとなく、この子の心に触れ合えているようなそんな気がしたのだ。


「ボクがいると……」

「……」

「ボクがいると……迷惑がかかるから」

「リルフ……」


 リルフの口から出てきたのは、悲痛な思いだった。迷惑がかかる。その一言で、リルフの思いがわかってくる。

 きっと、ずっとそんなことを思っていたのだろう。大好きだからこそ、リルフはそのような結論を出してしまったのだ。


「馬鹿!」

「うわっ、お母さん……?」


 私は、リルフの体を抱きしめた。同時に放った言葉は、少し語気が荒くなっていると思う。


「あなたがいなくなって、それで私が、私達が悲しまないと思っているの!?」

「え? そ、それは……」

「あなたがいなくなって、皆心配して、町中を駆けまわってくれている。私だって、心配で仕方なかった。皆、そんなこと望んでいないんだよ……」

「お母さん……」


 私は、しっかりとその体を抱きしめながら、己の心の内を吐き出していく。

 この子のことをどれだけ大切なのか。それをわかってもらわなければならない。手を放したいなんて思っていないと、わかってもらいたい。

 そんな思いが、抱きしめる力を強くしていく。その小さな体を決して離したくない。私の心は、リルフへの思いでいっぱいだった。


「あなたがいなくなる方が、私は嫌だよ。迷惑をかけられてもいい。傍にいて欲しいんだ……」

「……お母さん」


 私の言葉に、リルフはこちらの体に手を回してきた。その腕に、ゆっくりと力が込められる。それは、この子の答えということなのだろう。

 リルフの目から流れる涙が、私の肩を濡らしていく。そんな優しい子の頭を、私はゆっくりと撫でるのだった。

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