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第2話「その人生が意味するものとは」


 自らに刃を向けた時、もう覚悟はしていた。


 はずだった。


 しかし、俺程度の弱者の覚悟などたかが知れており、俺は怯えた。


 もしここがゲームの世界なら、俺が死ぬ直前に俺を悠然と導く存在が俺が死ぬのを抑止するだろうが、生憎(あいにく)ここは現実だ。


 可愛いと分類される異性は俺みたいなボッチで根暗にたいして感情を抱くことなんてない。


 文字通り、路傍(ろぼう)の石だろう。


 

 結局俺は死ぬことはできなかった。


 

 俺は中学3年生の卒業と同時に自殺を図って結局死ぬことができなかったのだ。弱者ゆえに。


 


 どうだ?滑稽だろう? これが物語のプロローグだというのだからなんて暗い話だと、読むことすら億劫になっている者もいるだろう。安心してくれ、ここからも暗黒だ。

 人生というゲームにおいて俺は常に負け組。この先、寸分の幸せは俺に訪れない。


 結局、俺は中卒からの就職という道を決めようと思ったのだが、今の時代高校卒業資格程度は持っていないと、どこの工場も雇うことはしない。

 俺がもし女なら水商売に自らの身体を賭してある程度稼ぐことはできるだろうが、俺は男だ。

 アブノーマルを相手にするのも現実的じゃない。



 つまり、なし崩し的に俺は進学をすることになった。



 進学をすると言っても、勉強などできるはずもなく社交性も皆無。俺は無能だ。


 結局俺はまた迷惑をかけた。高い入学金を支払い、私立高校に通うことになった。






 そんなこんなで今日は私立高校の入学式の前夜である。学校なんてもう2年間は確実に行っていない。

 別に何かを求めているわけではないが、迷惑料が発生しているわけだから事務的にでも、こなさなければいけないワケがある。


まあ、ワケと言ってもとても浅はかなもので、自らの犯してきた過ちの精算。生産性のない俺の育て親への清算。


少しくらいの恩返しはないとだめだろうよ、と。


でも俺には救いなんてないよ。だって人生最弱者。

俺は負け組なんだから。

続く

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