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84話 いざ、物件探しの旅へ!

 ケーキを食べながらノエルの契約についてまとめたけど、特に問題なさそうね。

 ノエル自身も派遣には乗り気だからよかったわ。エレンがうちに居たときに付けた甲斐があったかも?


 ただなぁ


「ノエル、口の周りについてますよ」

「あちゃぁ、言われるまで気が付かなかったわ……。ありがとうですー」


 という、ドジなのか抜けてるのか、何とも言えない子なんだよなぁ。それに作法はいいんだけど、口調がメイドとしてはちょっと怪しい時もあるし。

 わたしと同じでエレンもそのあたりは寛容だから大丈夫だとは思うけど、ちょっと心配ではあるわ。


「まぁノエル、問題が起きたらすぐにエレンやわたしたちに言うんだよ。ノエルの性格から何かしら起こすのはわかってるから」

「ですね。いざってときは大丈夫だとは思いますが」

「もー、お嬢様も先輩も心配しすぎですよー」


 自信満々だけど、間違いなくこれはフラグだね。ホント心配になるなぁ。

 まぁ何があってもわたしやエレン、それにお母様たちも当然助けてくれるから、ノエルには気兼ねなく安心して勤めてもらいたいわ。





 そんなこんなで午後のひと時は終了。お店を出る際、店員から化け物集団を見るような視線を感じたのがちょっと気になるけど。

 いやまぁ5人でケーキを100人分くらい食べたからなのはわかるんだ。もっと食べることができたけど、途中で在庫がなくなりそうだから勘弁してくれって言われちゃったし。これって最悪出禁になるのかな?


「それじゃエレン、ノエルのことお願いね」

「もちろんですわ!」

「それとレイジ君、ノエルが可愛いからって手を出しちゃだめだぞ? 出すなら青年期になってからね~」

「ちょ!? ユキ様は何を言っているのかな?」


 突然の先制攻撃。ちゃんと予想通りに少し慌ててくれたのはうれしいですね!


「レイジ君の気持ちはうれしいけど、私たちは付き合ってからまだ1年も経ってないですよ? 早すぎますー」

「いやいやノエルさん? 付き合うって同僚としてだよね?」


 うむ、ノエルもやるようになったね。その言い回し、なかなか現実味あって効果的だよ!


「やはり思った通りでしたわね! レイジ、わたくしは祝福しますわ!」

「エレン様まで!?」

「披露宴には呼んでくださいね。シズク様も気になされてますから」

「こ、この状態は……。僕には味方が居なかった」


 そしてエレンとアリサが追い打ちっと。相談なしにできるこの流れ作業、さすがわたしたち! 勇者討伐完了だね!


 まぁわたしがレイジの立場だったら返すどころか真剣に受け止めて、もっとパニックになる気もするけど。

 そう考えると、なんだかんだ女性にもてるレイジには余裕だった気もするなぁ。次回はもうちょっとひねったパターンにしようかな?









 エレンたちと別れてわたしとアリサは物件探し。

 だけど改めて意識すると、なんとなく恥ずかしくなっちゃうね。


 そもそも二人で住む家を探すとか、夫婦とか恋人がやることなんだもん。思い付きでやるようなことじゃないから、妙に意識しちゃうんだよなぁ。

 まぁ〝パーティ用の家〟って考えればいいんだろうけど、一度意識しちゃうとなかなか難しいわけで。


 とはいえ買うのは決定事項なので、バシッと覚悟を決めましょー。


 とゆーわけで、この辺りで一番大きい不動産屋にお邪魔する。

 ふむふむ、わたしたち以外のお客もそこそこいるね。貴族もいればそうでない人もいるあたり、結構まともなのかも?


 パーティションの席に案内されたので、とりあえず座って待つことに。

 どうやらカウンターとかでなく、パーティションで区切ったスペースで商談するのね。隣のパーティションからの声が若干漏れ聞こえるから、遮音性能は低めか。聞かれたらマズイとかは無いからいいけど。


「お待たせしました。本日はどのような物件をお探しですか?」


 出されたお茶とお菓子を食べながら待つこと数分、店員さんがやってきた。

 だけど、なんか店長さんっぽい? たまたまなのか意図的なのか、わからないけどまぁいいか。


「学園に通うための家を探してるんだ。そこまで広くなくてもいいから、治安がよさそうな場所にある物件を紹介してもらいたいの」

「なるほど。他にご希望はございますか?」

「えっと、他には――」


 とりあえず思いついた希望をガンガン言ってみる。お庭があったり静かだったり、温泉を引き込めたりなどなど。

 アリサは不審者が存在せず、警備が行き届いている安全な物件をって言ってるけど、心配しすぎだなぁ。もしも襲われたら返り討ちにすればいい! って言ったら怒られそうだから言わないけど。


「ちなみにご予算ですが、ご希望はございますでしょうか」

「ん~、上限は白金貨200枚ってとこかな。いろいろ買ったりもするからできるだけ抑えたいし」

「え? 白金貨、それも200枚ですか!?」

「ひょっとして少なかった? 少なかったらもうちょっと追加できるけど」

「しょ、少々お待ちください! ご希望に沿う物件をすぐにご用意いたしますので!」


 そういうと店員さん、大慌てで奥に行っちゃったよ。しかも他店にも連絡してるみたいだけど、どうなってるの?


「お嬢様、おそらくこの町の場合、もっとお安いのかもしれません。ルアスの地価を基準にしたらまずそうです」

「あーそうなのかも。それによく考えたら借家でいいのか、勘違いしてたわ」

「私もです。ルアスで土地を購入して家を建てる場合でしたら妥当なのですが」


 そうだよね、普通は借家だよね。とゆーことはもっと安いよね。

 案の定、白金貨って言葉で回りが凄いどよめいちゃったし。失敗したなぁ。


 おまけに、なんとなく超VIP扱いになったし。

 お茶とお菓子が追加されたと思ったら、数段グレードアップ。しかもいっぱい出してくれるとか至れり尽くせりに。


 でもこうなると買わないって言えなくなるのがね。大丈夫かな?





「大変お待たせしました! お客様のご希望条件に沿った物件ですが、何件かございます」

「おー。それって今日見に行けるの?」

「もちろんです! よろしければ今からご案内いたしましょうか?」

「んじゃおねがーい」

「畏まりました! ではこちらへどうぞ」


 店員さんの案内で店の出入口とは違う、物件を見て回るための足がある専用の出入り口へ向かう。

 だけどヤバイ、すっごく目立ってきた。わたしたちが他の店員さんのそばを通るたびにお辞儀されるんですけど……。


 見て回るための足もヤバい、いかにも貴族向けって感じのすっごい豪華な馬車なんですけど。なんか思ってた買い物じゃなくなってきたよ……。





 馬車を走らせること数分、一番おすすめの物件に案内された。


 ほほー、一番っていうだけあってなかなかよさそうね。

 もともとは貴族の別荘としていたらしいけど、数年前に売りに出された屋敷みたい。よくある血みどろのとか、怨霊がとかそういうのは一切なく、飽きたから売っただけだそうな。


 元の建物もしっかりしてたそうだけど、さすがに古びた感じだったのでリフォームしたみたい。しかもそのリフォームが完成したのが先週だったという、出来立てほやほや。これは良さそうな予感がしますね!


 入って真っ先に目が行ったのはお庭。

 大きな木があってワクワクするし、綺麗な花壇もある。それに家庭菜園もできるとのことなので、ちょっと惹かれる。土壌も良い状態なのでさらに惹かれる。


 次に屋敷だけど、なんと土足禁止! わたしとしてはすごく好感が持てるナイスポイントですよ。

 中は広すぎず狭すぎずで、なかなか良い感じです。貴族向けではあるけど派手すぎず、程よい感じなのがさらに良いね。

 部屋も複数あるので、お客さんが来ても大丈夫そうだね。


 トイレはもちろん水洗できれい。しかもうちの国から輸入したらしく、最新のウォシュレット機能付き! こういうところもポイント高いですよ。


 台所も広い。何よりパンを焼くための竈がある! これだけでわたしの心は惹かれまくる。

 しかも調理用の魔道具までうちの国から輸入した最新型! 冷蔵庫や換気扇なんかも最新型だわ。しっかりとしたワインセラーまであるね。

 ここまでそろってると、わたしの手持ちのと交換する必要が全くないわ。もちろんポイント高いです!


 そしてお風呂が素晴らしい!

 個人宅には珍しく源泉かけ流しで露天風呂! さらにサウナまでついてるとか、これはもうやられたわぁ。


「いかがでしょうか?」

「すごくいいね、いいね!」

「学園までの道も空いてそうですし、申し分ない物件ですね。お嬢様、ここにしますか?」

「だね。ちなみにここっていくらなの?」

「土地と建物含めてですと白金貨150枚、建物だけですと白金貨110枚となります。ただ申し訳ないのですが、こちらは借家契約が不可となっております」


 買切ること前提なのね。でもアリサと話していたように、うちの町よりもすっごく安いから気にならないかな。ルアスだと土地だけで白金貨200枚とかざらにあるからねぇ。


「んじゃ土地と建物の両方買うね」

「ありがとうございます! それではご契約とお引渡しについてですが――」


 なんとなく勢いだけで買っちゃったかも?

 だけど後悔はしてない、むしろ大満足。これで自由気ままに過ごせる拠点ができた―! って感じだしね。

規格外のお嬢様は、拠点となる屋敷も規格外な物件を買う

ちなみに異世界なので、6歳の子供でも家を買える設定にしてます(未成年者は親権者の同意が必要とかは無し)

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