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77話 新たな恋の予感、かも?

少し長いです

 ふぃ~、おいしすぎてちょっと食べすぎたかも。デザートのプリンも最高だったし、すっごい満足。

 さてと、ご飯も食べたことだし、本題に入ろうかな~。


「それでお嬢様、先ほど家を買うとか仰ってましたが」

「あーそれね。さっきアリサ勧誘されてたでしょ? なんかそういうの多くなりそうなら、もう家買っちゃおうかなぁって。そうすれば邪魔な人来ないしねー」

「あ、あの、えっと、そう、ですね」


 うん、予想してたけど、すっごい顔真っ赤になってるわ。

 そりゃ恋人なり夫婦が二人っきりで住む家を買いましょうって状況にも受け止めることができるからねぇ。で、アリサは完全にそう受け取っちゃってると。


 まぁわたしたち以外の人、例えばエレンとレイジも一緒に住める冒険者パーティ用の家にするのもアリかな。

 さすがにわたしの一存で決めるわけにはいかないから、そのあたりはアリサと相談しながらだね。反対はしないと思うけど、どうなるかな。


「とりあえず明日の放課後、ちょっと探してみよっか? すぐに買えるかは分からないし」

「で、ですね!」


 う~ん、アリサが完全に恋する乙女みたいな感じになっちゃった。もう少し段階を踏んでからにするべきだったかなぁ、ちょっと失敗したわ。

 ま、まぁ明日になればもう少し落ち着くでしょう、落ち着くよね?









「むー、ねもい」

「しっかりしてください、そろそろ学園に着きますよ」


 朝食もいっぱい食べすぎたせいで、ちょっと眠いわ。馬車が快適なのもあるからさらに眠い。

 家を買う発言の効果が強すぎたのか、アリサが朝からすごく張りきって料理を作ってくれたので、その勢いに圧倒されてほんといっぱい食べちゃったからなぁ。

 まぁ朝から美味しい物をいっぱい食べるとかすっごく幸せなんだけど、さすがに食べ過ぎたわ。


「んーっと、今日はどういう流れだっけ?」

「本日は最初に能力測定があるそうです。測定が終われば選択教科の見学に移ることができます」

「能力測定かぁ、ちょっと楽しみかも」


 わたしたちに匹敵する存在が居るか確認できそうだからね。今のところは匹敵するような人、全然見ないけど。

 でもそれ以上に他の種族の人がどういった力を持つのか、実際に見てみたいのもあるからなぁ。特に獣寄りの獣人とかが気になるわ!


 しばらくして学園に着いたけど、あー、うん、一気に囲まれた感じがする。昨日の今日だから、まだ物珍しさの方が勝ってるんだろうなぁ、この馬車。

 これは外に出たらやっぱ昨日と同じかなぁ……、ちょっとだけ憂鬱。まぁ深く考えないで、さっさと教室に向かうのが一番だね。

 それにたぶん、わたしよりもエレンの方が大変だろうし。この国の貴族様なのもあるけど、転移門から来るから余計に目立つだろうなぁ。





「さんざんな目にあいましたわ!」

「お、おぅ、挨拶の二言目がいきなり愚痴だとは思わなかったわ」

「だって見てくださいまし、この手紙を!」

「えーっと『あなたを見るたびに僕の心は震え』って、ラブレターかい」


 手紙を思わず机に叩き付けちゃった、いかんいかん。

 しっかし教室に入った早々、エレンが挨拶もそこそこに愚痴ってきたからなんだと思ったらこういうオチですか。しかも1通や2通じゃなく、軽く30通はあるよこれ。エレンも大変だなぁって、あれ? もしかして……


「ね、ねぇアリサ。もしかしてもしかすると、わたしの方にも……」

「はい、昨日からお嬢様にも大量に届いていますが、すぐに処分しています。なので安心してくださいね」

「あ、はい、そうだと思ってた」


 まぁこうなるとは思ってたよ。わたしも興味無いからいいんだけどさ。

 というか、エレンがこういう手紙を受け取ってるってことは、レイジが間に入っての対応をしてないのかな?


「ねーねーレイジ、エレンへのこういう手紙はレイジが受け取ってエレンに渡すとかじゃないの? わたしの場合、全部アリサが間に入るんだけど」

「それが入ってはいるけど、僕一人だと追いつかない状態なんだ。これらもいつの間にかエレン様に渡っていて、正直頭が痛いよ」

「レイジの対応を抜けるとか、なかなかやりますね。私も気を付けないと」

「いや、アリサなら大丈夫じゃないかな。僕は執事というよりも護衛って感じだから」


 あらまぁ、予想以上に深刻みたい。これは何か手を考えた方が良いかなぁ。


 というか今更だけど、アリサとレイジって普通に名前で呼び合ってるんだよねぇ。従者教育を一緒に受けていたからか従者友達みたいな感じになって、いつの間にか駄人とも呼ばなくなってたし。カイルはいまだに駄狐だけど……。





「そもそもですけど、実はレイジが女子に囲まれたのが原因ですわ」

「はい~?」

「ちょ、エレン様、それは言わない約束したよね!?」


 キャパオーバーじゃなく、女に迫られた隙を突かれたって事かい。


 まぁレイジって見た目は割と普通なんだけど、性格がイケメンだからねぇ。さりげない気配りもちゃんとできてるし。

 しかもエレンの従者だから、ちょっとしたエリートさんなんだよね。モテるのも当然かもしれないわ。


 あとは勇者ボーナスの一つ、〝主人公補正〟の影響かな。

 優しく対応するだけでコロッといったり、ラッキースケベによく会ったりする典型的な能力。わたしも注意しないと対象になりそうだから、ちょっと厄介な能力なんだよなぁ。


「そういえば私も何度か相談に乗ったことが。女性からの頂き物に対しどうしたらいいか、など。それは惚気ですか? って思う時が多々ありましたが」

「まってアリサさん、それも言わないって約束したよね!?」


 へぇ、レイジってわたしが思ってた以上にモテてたのかぁ。アリサが呆れて追撃したくらいだし、そうとうな頻度で何か貰ったりしてそう。これはもう天然たらしの称号を贈呈できるね!


「お嬢様、たぶん考えてることがブーメランですよ?」

「マジ?」

「マジです。レイジの事を天然たらしと思ったようですが、お嬢様も同じですからね?」

「ですわね。それにユキさんの場合、レイジと違って男女問わずですし」

「あーそれは僕も思ってた。種族補正とか関係なく、老若男女分け隔てなく好意を持たれる感じだよね」


 すごい聞きたくない真実を聞かされて、思わず頭を抱えて項垂れちゃったよ。

 でもそんなにかなぁ? たしかに自分が不利になった時、意図的に可愛い子ぶったりして悶えさせてはいるけど、それとは違うってことかね。

 それに嫌いというか無関心な人に対し、結構冷たく当たってるんだけどなぁ。


 まぁいいや、自分が分からないところでそうなってるとか、どうしようもないし。問題があればきっと誰かが何とかしてくれる!





「まぁわたしのことはさておき、いっそのこと従者増やしてみる? レイジが大変ならそれも手だとは思うけど」

「ですわね。ただジョイスはもう従者じゃないので、今のところ当てがないのが問題ですわ」


 ジョイスって、あー、あの従者2号か。すっかり存在を忘れていたよ。


 んー、エレンがわたしと同じ家に住んでるならアリサに手伝ってもらうもできるけど、それはそれで問題があるからなぁ。

 アリサはあくまでわたしに仕えたいって感じだから、渋々とか嫌々やる可能性もあるわけだし。


「お嬢様、彼女をエレン様付けにするのはどうでしょうか」

「彼女? あー、なるほど、確かに適しているかも」

「いつも思いますけど、あなたたち二人のその意思の疎通はほんと謎ですわ」

「謎すぎるよね。僕は意識の共有でもしているんじゃないかって考えちゃったよ」


 二人の言いたいことはよーくわかる。わたしも何となくで通じるから不思議だもの。

 まぁアリサに聞いても『お嬢様の専属メイドですから』の一言なのはわかってるんだけどさ。ほんと〝メイド〟ってどういう職業なんですかね……。


「えっとね、うちに居たときに付けたメイドさんが二人居たでしょ。人族の子は王都からの研修でうちに来てる子だから無理なんだけど、狼族の子はうちのメイドさんだからエレンに付けることができるよ。まだメイド研修中だから数日置きになっちゃうかもだけど」

「でしたらお願いしたいですわ。レイジもその方が助かるでしょ?」

「ですね。なるべく僕一人で対応できるようにするけど、今日みたいになるとさすがにね」

「それじゃちょっとお母様に聞いてみるね。あーせっかくだから、お母様に頼んでいたアレも持ってきてもらおうかな。とゆーわけでアリサ、わたしのケータイ出して」

「ケータイですね、はいどうぞ」


 普段は通信用の術式使っちゃうけど、学園内だと術とか使えないから道具に頼らないといけないのがね。まぁ見た目は普通のガラケーでも中身は魔道具なんだけど。





『あらユキちゃん、こんな時間にどうしたのかしら』

「えっとですね、お母様にお願いしたいことがあって。実は――」


 お母様にエレンの事情とかを説明。お母様は承諾してくれたけど、本人の意思次第なのでどうなるかは分からないみたい。

 まぁ今日の放課後、一旦来るらしいからその時かな。


 せっかくなのでちらっと家を買うことについて聞いたら、なんかすっごい後押しされたわ。

 やっぱりわたしが寮で暮らすの、心配みたいね。過保護といえば過保護なんだけど、ちょっと嬉しいかな。





「というわけで、放課後には来るみたいだから続きはそこでかな」

「ありがとうですわ。よかったですわねレイジ、あの子とまた会えますわよ」

「へ? エレン様、急に何を言ってるんですか?」


 おやおやおやぁ? レイジってあの子に好意を持ってるのかな? たしかにあの子も可愛いからなぁ、ちょっとドジっ子だけど……。


「いや、ユキ様までなんでニヤニヤするのかな。僕はあくまで同僚が増えるのは良いことだなぁって思ってるだけだよ?」

「うんうん、そうだよねそうだよね。〝好きな女の子が同僚になる〟のは良いことだよね~」

「はい?」


 オブラートには包まないで直球ドストレートでかます、それがわたし!

 まぁ反応見る限り、恋愛感情とかはまだないっぽいね。でもこの流れは悪乗りしたくなっちゃう。


「おやレイジ、あの子に好意を持っていたのですか? そういえば私にあの子のことを聞いてきた事がありましたね」

「ちょっとまって!? 意味深な事を言っているけど、僕が聞いたのはメイドの訓練内容についてだけだよね?」


 うん、アリサも悪乗りしてくれたね。こういう対応をしてくれるところ、わたしは大好きです。

 でもほんとにないのかな~? 割とお似合いな気がするんだけど。


「本当は好みとかを聞いていたのでしょ? さぁさぁすべて話してくださいな」

「いやいや、エレン様まで何を言ってるのかな?」

「堪忍したまえレイジ君。わたしも悪乗り、じゃなかった、ひじょーに気になるから、さぁさぁさぁ」

「今悪乗りって言ったよね!?」


 ちょっとからかうの楽しくなって、能力測定に行くの忘れそうになっちゃうね!

 しっかしこれが前世でわたしと命がけで戦った勇者とか、ほんと世の中わからないものだなぁ。

レイジ君は弄って遊ぶこともできる万能キャラ

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