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operation flags  作者: k.はる
一章 ―新世界(new world)―
20/52

一章・9-1

※'15.11/5 読みやすいように編集しました。

    9

「霧野、そろそろ帰らない?」

「いいのか? 結局トカレフには話せなかったのに」

「うん。でもいいの。なんか忙しそうだったから」

「おまえらしいな」

「いやー、それほどでもー」

「褒めてるわけじゃないからな」

 二人は、一度トカレフを目撃している。だが、すぐに基地のほうへ戻ってしまったのだ。

「なら行こうぜ」

「そうだね」

 二人は席を立ち、会計を済ませ、《美空》から出た。

「なんか焦げ臭くないか?」

「そうかな? ……きっとあれじゃない?」

「そうだな」

 先ほどの火事により、煙はもうなくなっていたものの、においは残っていた。ただ、そんな火事なんて二人は知らない。だから、においの原因は入り口から少し離れたところにある喫煙スペースからのにおいだと二人は思った。

「にしても、居酒屋が禁煙でいいのかよ」

「最近は少なからずあるみたいだよ」

「本当か?」

「……知らないけど」

 二人はそのまま乗ってきた自転車にまたがる。

「じゃあね、霧野」

「またな……って、まだ帰らないからな」

「どこか行くの?」

「そうじゃなくて……ここ来たみたいにお前の家までは一緒に行くからな」

「…………」

「なんだよその明らかに嫌そうな態度は!」

「別に嫌じゃないけど……。でも、なんで?」

「あの森、気に入ってな」

「じゃあ一人で行けばいいじゃん」

「おまえ、考えが悲しいな」

「だってそうじゃん」

 いやなわけではない。ちょっと予想外だっただけだ。でも、俺はちょっと遊んでみることにした。

「一緒に帰る必要ないでしょ?」

「そう……だな」

「いや、否定しようよ!」

 霧野のこの反応には驚いた。まさか納得しちゃうなんて……。

「冗談だから。本気にしないで!」

「そんなことだろうと思ったぜ」

「霧野?」

「おまえの作戦は分かったから、反撃してやっただけだ」

「また負けたってこと?」

「そういうことだ」

「うわー!」

 俺がどんなに冗談やだまされるようなことを言っても、すべて霧野にばれてしまい、いつもカウンターを食らう。

「おまえにはまだ早いって」

「同い年でしょ⁉」

「そうだったか?」

「とぼけないで!」

 カウンターを食らった後は、いつもこうなる。

「じゃあ、お前おいてくぞ」

「さらっと悲しいこと言わないで!」

「おまえがそういってきたから真似しただけだ」

「謝るからさっ!」

「冗談だ。ほら、行くぞ」

「う、うん」

 そういって、二人は帰路につくのだった。


    ☬


「結局、戦果なしか……」

「そうみたいですね」

 《Résistance People Organ》の基地の一つであるこの地下室では、根木達の戦いを観戦していた。

「だが、十分に見ものだったな」

「まあ、今回は死者が出なかったからいいですが、負けておいてそれはないと思いますよ」

「そうか? 特にあの花火、最高だったじゃないか」

「花火は三回出てきたので『あの』と言われましてもどの花火かわかりませんが……」

 興奮しているスカルに対し、補佐はすでにあきれていた。

 こうなることはもう慣れていたのでわかっていたが、やはり納得いくものではなかった。

「おまえもそう固くならないで、一緒に楽しんだらどうだ」

「あなたは危機感が足りないんです。客観的に見すぎなんです。もう少し自覚したらどうなんですか⁉」

「そうは言うがな、ラフト」

 ラフト、と呼ばれたその男は、モニターから目を離し、スカルの目を見た。

「お前がそう思うのもわかる。だが、今は昔と違うだろ? もっと安全なんだ。確かに俺らがやってることは危険なことだ。だが、だからこそこうやって楽しんでいくんだ。そうすれば、自然と危険が遠のくからな」

「…………」

「それと、人も資源も余裕がある。偵察や情報探索でそこまで気を張り詰めていたら、本番でやられるぞ」

「そう……ですか」

「おまえは頑張りすぎている。もう少し休んだらどうだ」

「わかりました。そうします」

「一週間やる。存分に羽を伸ばしてこい」

「ありがとうございます」

 そういって、ラフトはその部屋から出ていった。

「……そうは言うものの、あいつが言ってることも決して的を射ていないわけじゃないんだよな」

 スカルは部屋の機器の電源を落としていく。

「だが、今はまだ、このままでいい」

 すべて電源を落としたスカルは、部屋の電気も消し、部屋を後にした。



「……と言うことで、頼めないか?」

「…………」

「まだ空きがあっただろ?」

「だがトカレフ、そいつらほんとに大丈夫なのか? 襲撃してきたのだろ?」

「その件に関したは問題ない。だから頼むっ」

「まあ、仕方ないな」

「いいのか⁉」

「ああ。お前の頼みだしな」

 トカレフは関東第二派遣隊ヴァイロンズの指令室兼リーダー室にきていた。

 目的は榮留と和岡の件である。

「だが、なんでCapREXじゃなくてお前が頼みに来るんだ?」

「この件は部隊と関係ないからな。俺の責任だったんだ」

「わかった。それで、その二人はどこにいる」

「俺らの空き部屋で休んでる」

「それじゃ、今日はそこで泊めてくれ。移動は明日だ」

「了解。それではな、コーディ」

「コマンダー・コーディだ。略すのではない!」

「わかったって」

 そういって、トカレフはその部屋を後にした。

「まずは二人っと」

 トカレフにはもう一つやらなければいけないことがある。そこを目指し、歩いていくのだった。



「ほんとに大丈夫なのか? ここ」

「たぶん、大丈夫だと思う」

「たぶんって……」

 一方そのころ、榮留と和岡はローレンスに連れられてきた部屋の中にいた。

「だが、敵意はなさそうだっただろ? さっきだって……」

 榮留の言う「さっき」とは、トカレフとローレンスに事情聴取(?)をされた時だ。

「口調だって優しかったし、脅されなかっただろ?」

「それはそうだったが……」

「確かにいろいろ聞かれたけど……」

 襲撃の目的や意図、それ以外にも《RPO》(=Résistance People Organ)のことやそのリーダーに関して聞かれたが、決して無理やりではなかったのだ。

「でも、今は信用するしかないだろ?」

「まあな」

「あとの問題は《OF》だけだな」

「ああ」

「あれの機械、俺らでも10機集めるのが精いっぱいだったんだ。予備あるのか?」

「ああ言ってたんだからあるんだろう?」

「どうやったらそんなに集められるんだ?」

「知ったことか」

 《OF》のゲーム機本体は、大きさや、内部構造などの問題から一度に大量生産ができず、またデータ管理のこともあり、初期の機械数は限られていた。完全予約制かつ同時刻販売で、その場に予約者がいなかった機械はその場で売り飛ばされてしまうので、一人ではどう頑張っても一台しか買えないようになっていた。また値段も高く、仮に一人で複数買えたとしても、個人が複数買えるはずもなかった。組織や会社単位なら買えるかもしれないが、先ほど言った通り一人一台しか買えないため、一人ずつ予約する必要があったのだ。

「脱退者がいたんじゃないか?」

「せっかく買って脱退なんて、もったいねぇ」

「あくまで予想だからな」

「だとしてもそれはほとんどないよな。買うだけ頼まれるってことのほうがあり得そうだ」

「そううまくはいかないだろう」

「そうだが……」

 完全予約制といっても、予約すれば全員が買えるわけではなかった。機械数の何倍もの購入希望者がいたため、抽選が行われたのだ。予約自体は複数行えたためその時いっぱい予約しておいて、当選した券をオークション等に出している人もいたが、ただでさえ高い機械代の何倍もの値段に膨れ上がったそれを複数買うことはできないだろう。

「まあ、気にしてもしょうがないか」

「そうだな」

『開けるぞー』

「はいっ」

「調子は落ち着いたか?」

「ローレンスさん!」

「…………」

「変わっていないようだな」

「それで、何の用ですか?」

「おお、そうだった。お前らの入るところが決まったのだ」

「『入る』?」

「ああ。《ヴァイロンズ》に決まった」

「なんですか? それ」

「私たちの第二隊だ」

「第二隊⁉」

 榮留は驚いた。《OF》は、一部隊10人までと決まっている。そのため、10機集めるのでも大変なのに、第二ということは20機も集めたということだからだ。

「一応、今は第三まであるのだがな」

「だ、第三⁉」

 さらに驚かされた榮留は、一瞬気を失いそうになったほどだった。

「(規模が違いすぎる……)」

「ちなみに、お前たちの仲間の3人は第三隊に入ることになるだろう」

「3人……?」

 榮留たちは、根木に補助隊が助けに入ったのを知らない。そのため、「3人」と言われても誰のことかわからなかった。

「あいつらはお前らの仲間ではないのか?」

「いえ、仲間はいましたがその時は一人だったので……」

「そういうことか。組織から助っ人を呼んだのだろう」

「そうですね」

「それで、話を戻すが、お前らが第二隊に入ることになったのに伴って、お前らの部屋ができた」

「おー!」

「それで、明日そこに移動することになった、ということを伝えに来たのだ」

「わかりました」

「それと、ご飯はそこのモニターから頼めるからな」

 ローレンスが指差す先には、食堂と同様の……しかし、それより小柄な機会があった。

「了解です」

「要件はそれだけだ。何か質問はあるか?」

「大丈夫です」

「それでは、明日8時に迎えが来る。私ではないと思うがしっかり指示に従えよ」

「もちろんです」

「では、私はこれで失礼する」

 そういって、ローレンスは部屋の扉を閉めた。

「だってさ、カズ」

「ああ」

「とりあえず、少し遅いけが昼飯にしないか」

「そうだな」

 そういって、二人は注文モニターに向かうのだった。



「それでは、頼んだぞ」

「ああ」

 トカレフは二つ目の目的を達成し、その部屋を出た。

「やっと終わったか。案外楽だったな」

 今成し遂げたことは、根木達の入隊の件だった。関東第二派遣隊である《ヴァイロンズ》は、榮留と和岡が入ったことにより定員になったため、根木達三人が入隊するのは関東第三派遣隊の《レンジャーズ》だ。そのリーダーに頼みに行き、ちょうど承諾してもらったところだった。

「さて、さっさと戻らないとな」

『♪~』

「着信……誰からだ?」

 そういって、トカレフは【飛燕】を取り出す。

「ディオか……。えっと、『説明終わったからどうすればいいか』と」

 読み終えたトカレフは、『任せる』と打ち込んだところで、

「この報告もしないとな」

 『頼めた』と付け加えて送信した。

「さて、あとは今回の報告をしなきゃな」

 そういって、トカレフは更なる目的地、『基事務』を目指し歩いていった。


 今回から一章が終わるまで二日毎に投稿します。

 できればずっとそれが続けられればいいのですが……

(毎日はさすがに無理です)

 努力しようと思います。



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