表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/73

【第2面】 (5)

「現実」の風景が広がっていた。

 

 大学から駅へと向かう大通りは、現実世界そのものだ。

 人混みのゴチャゴチャした流れ。渋滞や路駐をし、クラクションを鳴らす車。うっすらと空気にブレンドされた排気ガス。

 しかしこのフィールドは『ゲーム』なのだ。そのことが私を混乱させた。吐き気を感じる。

 ユイはきょとんとした顔で私を見ながらついて来る。私はユイがしたことがない不愉快な顔をしているのだろう。ユイだって年をとったら私のような顔ができるようになる。

 現実世界には無いものが、ぱらぱらと存在した。

[ダーク・マスター食品][ダーク・マスター交通]といった看板。お菓子屋の店頭にはためく[ダーク・マスター饅頭]ののぼり

 横断歩道のたもとでは、牧師らしき人間が説教をしていた。

「父なるダークマスターは言われた。子らよ、卑賤と悪徳と姦淫に励みなさい」

 ここはやはり現実世界ではない。

 もっと「現実」的とも言えた。

 道を歩く人々の中には、尻尾が生えている人間がいた。ヌメッとした黒い尻尾だった。背中から小さな翼が出ている人間もいた。腕や首から白い泡が吹き出している人間も居た。一旦それと気付くと、続々見えてくる。赤い目の人間。口から粘膜状の袋を膨らませ、歩く男。まったくふつうの格好だが、手だけが七本ある男性。モデルのような綺麗な顔なのに、体がただの黒い棒である女性。仰向けになり、手足をカニのように動かし移動する人間。手足がなくムカデのように歩く、体毛だらけの人間。そういう怪物が、風景に溶け込んでいた。魔物の町と化していた。醜い光景だった。

 だが、魔物とは、戦うわけにはいかない。こちらは二人。多勢に無勢である。

 魔物の方でも、私達を気に留める様子は無かった。無理して戦う理由はなかった。私達は先に進んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ