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【第1面】 (6)

「ところで、あなたは何? 説明して」

 私はユイに言った。この少女は、ゲーム内の不確定要素だった。戦闘は避けられない相手かもしれないが、今は避けたい。魔物を消し去ったユイの攻撃は侮れない。正直、戦えば分が悪い。

 私は自分の詳細なパラメーターさえ知らない。さっきのような原因不明のパワーダウンも怖い。今は会話を長引かせて時間を稼ぐしかない。

「ユイも新参です。【ショウブ】ちゃんより少し前にゲームに入りました。ユイは一緒に冒険に出てくれる仲間を探していました。だから冒険者合宿所で待機していました」

「なぜ私の名前を知っているの?」

 私は距離をとる。……やはり、この少女は食わせ者では? 

「同じフィールドに居るプレイヤーの名前は腕輪に出ます。腕輪は他のプレイヤーの接近・出現・名前を示します。計器類の仕組みは分かりますか?」

 ユイに言われ、私は腕輪を見た。ドット表示で「ユイ」と書かれている。……なるほど。

「あと、これです」

 ユイは、後ろにあった踏切型ロボットを示す。

 気付くと私の背後にもロボットがあった。

 じつは、城の中や、魔物と戦闘中も、ロボットは視界の隅をちらちらとよぎっていた。

「ロボットはプレイヤーを自動追尾するんです。ですから物質透過や瞬間移動もします。ゲームの世界では腕輪とロボットが計器になってます」

 ユイは説明を続ける。

 私は自分のロボットを見た。頭部に並ぶ意味不明な数字。

 

  6/20

 15

 99/99

 

「ロボットの上部にはプレイヤーのステータスを表すカウンターがあります。一段目はHPヒットポイントです。HPはお分かりですよね。0まで削られたらゲームオーバーです。二段目は残りログイン数。残機ですね。現在のログインを1として数えます。たとえば『01』という表示なら、残りログイン回数が無いことを表します。残機がなくなればゲームオーバーです。三段目はプレイヤー内での順位。ショーブちゃんはゲームに来たばかりだから、99人中99位ですね」

 現在、私のHPは6、残りログイン回数は14回、順位は最下位、……ということか。

 ユイのステータスを見てみる。

  

 42/42

 11

 89/99

 

 ユイのHPは私の二倍以上あり、順位も10位ほど上だった。相手との差が数字で表記されると、気持ちが萎縮する。

 だけど、私はゲームに入ったばかりだから、一番弱いのは当然だ。すぐに巻き返してみせる。こんなユイなんか、すぐに抜いてやる。

「大丈夫だよ。ショーブちゃんはすぐ強くなるから。だって、勇者さんだものね?」

 ユイに励まされた。気に入らない。馴れ馴れしいやつだ。脳天気な人間は好きじゃない。私は買い言葉で言った。

「私が強くなったら、あなたが困るでしょう。ゲームをクリアできるのは1位だけだって聞いたわ」

「ユイはですね、クリアしたいっていうより、誰かと一緒にゲームしたいんですよ。ユイは気付いたらこのゲームに招待されていたんです。ゲームの世界を見て回りたいと思っていたところです。そこにショーブちゃんが登場しました。ユイはショーブちゃんを気に入りました。一緒に世界を旅したいと思いました。だからユイを冒険に連れて行きませんか?」

 気付いたら招待されていた? そんなケースもあるのか? 招待したのはヒジリだろうか。あるいは、ヒジリの他にも裁定者インストラクターが居るのか? 興味あったが、情報の少なさを露呈するのが癪だったので、あえて訊かなかった。

 それにしても、ユイといい、大学でのメガネといい、私はどうでもいい人間に気に入られるのが得意だな!

「だけど、のんびり旅してたら、あなただってログイン回数が切れるわよ。あなた今、えっと、あと10回しかログインできないんでしょ?」

 私だって人のことは言えない。10回も14回も大差はない。ゲームレベルにもよるが、このログイン回数のファクターは曲者だ。クリアするには少なすぎる気がする。

「それは、ログイン回数を増やせるテクニックがあるんです。冒険者合宿所で習いました。ログインの回数が減ってきたら、ユイが教えますよ」

 ユイを仲間にしてもよさそうだと、私は算段した。

 ユイが私より多くの情報を知っているのは確かだ。最初は仲間にしておいても損はないかもしれない。情報を得るだけ得たら捨てればいいのだ。どちらにせよクリアのためには蹴落とす必要がある――。

「いいわよ、じゃあ、連れて行ってあげる」

「わあ、ありがとう!!」

 ユイが仲間に加わった。

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