会議室A
―錬成魔法—
ルミナ・スプレッドのスキルによって移住してきた人たちを住まわせる家を建てた。忘れがちであるがルミナは吸血鬼の女王でもあり魔王でもある。そのため魔力も強大である。しかし、今回ばかりは規模がはるかに大きすぎたためアリスと協力して住居やその他の施設を建てた。そして一番重要なのがこのコロシアムである。
「はい注目!アリスが喋ります。みんな静かにしてね」
アリスはスーツを着こなし、会議に熱を注ぐ社員のように振る舞う。そしてホワイトボードにペンをこつんこつんと音を立ててみんなの注目をひいた。
「まずはみんな、入国手続きや審査お疲れさまでした。拍手!」
パチパチと拍手が広がる。アリスの弟子でレオの妹であるカレンは人一倍拍手を送る。マリ、レナ、レオ、カレン、スグル、ルミナ、師匠の七人とアリスで会議を始めた。
「まだこれからも人はやってくるので作業は続きますが一旦落ち着いたと思います!」
続いてアリスはホワイトボードに何かを書き始める。
「次のイベント、、、とは?」
ルミナが棒読みでアリスの書いたことを読み上げた。
「さて、アリスが次に企画するイベントは何だったでしょうか?」
みんなに質問を投げかける。そして間髪入れずにはいと手を挙げたのはレオだった。
「闘技大会です」
「そう、その通り!」
アリスはえっへんというように腕を前で組み解説を始める。スグルは話しについていけるよう必死で耳を傾ける。
「闘技大会の目的は国に仕える兵士を集め戦力を整えることにあります。闘技大会の内容によって人材を引き抜きます。」
アリスは自身の話したことを端的にホワイトボードへまとめていく
「その関係で新設するのがカミヤ国の近衛兵団です!」
メンバー全員がおおと盛り上がりを見せた。
「そして、そのカミヤ国近衛兵、騎士団長をなんと、、、」
まさか俺か、、、でも自信ないなあ、さすがに荷が重いなあ、という感じでスグルはあたりをちらちら見始めた。
「いやさすがにおr、、、」
「レオ君です!」
一瞬の沈黙の後、レオは席を立ち宣言する
「アリス様、ありがとうございます。この命に代えましてもこの国のために戦うことを誓います」
レオは堂々とした振る舞いで皆に宣言した。
「レオ君はずっと師匠の訓練を一生懸命取り組んできました。これからも頑張ってください」
ルミナの執事でありレオの師匠でもあるオティンは粛々と拍手で祝った。レオはオティンの厳しい訓練を乗り越えるだけでなく、自身でのトレーニングも欠かさなかった。それを知っていたアリスからの相当な評価であった。
「あ、そういえばお兄ちゃん何か言いたげだったけど、どうしたの?」
「いや、、、何でもないよ」
アリスは笑いを堪えきれず後ろを向いて笑い出した
「ということで、この紙に書かれている通りの役割で当日は動いてもらいます。何か質問がある人はいますか?」
事前に作成した資料を全員に配る。そこにはこの世界の文字がびっしりと印刷されていた。
実際、わざわざこの国にきて兵士になりたい人などいるのだろうか。冒険者はそもそも自由を求めるものなのに、わざわざ自国の兵士を止めてこの国の兵士になるとも考えられない。この計画には欠陥があるのではないか。もしかして俺は天才かも、、、
「アリス、それで本当にこの国のために兵士として働いてくれる人は集まるのか」
「お兄ちゃんなかなかいい質問だね。」
うん、、、それで、、、とみんなの視線がアリスに集まる。スグルだけではなく皆同様に疑問を持ったようだ。
「それで、、、アリスには何か策はあるの?」
沈黙に耐え切れずスグルは質問を続ける。
「策はないよ。だって本人の気持ち次第だし、、、まあ莫大な興行収入が見込めるからリターンは大きいよ。あと、アリスが楽しみだから、、、ね!」
「ね!じゃないのよ。アリスが出場するのはお兄ちゃん絶対反対だからね」
ええーという声が会議室に響いた。これにて闘技大会の打ち合わせが終わった。優勝賞品は内緒とあったがアリスは次の日に突如、世界全体に中継モニターを使って宣伝をした。
「二週間後に我が国で闘技大会を開催します。優勝賞品は何と、言霊の神、この力です。」
世界の各地で配信がされるがこの力を知る者はほんの一部の人間である。しかし、能力を知っている者はこの事態に大きな反応を示した。
「みなさんこの、言霊の神という力を知らない人も多いと思います。私が所持していることも含め実際に使ってみせます。」
—みんな静かに私の話を聞いてね—
この力を知るものは慌てて攻撃を防ぐために動き、知らない多くの人々は一時的に言葉を失いアリスの言葉に耳を傾けた。
「さて、みんなの参加を待ってますね」
そう告げてアリスは配信を止めた。そして、そっとつぶやいた。
「この世界はアリスとお兄ちゃんのものだよね」
アリスの目はドキドキとワクワクに満ち溢れ、不敵に笑う。部屋の明かりを消し、窓越しに外にいるレオとカレンを見つめていた。




