表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

9.決着

レイモンがとりあえず子供達を救い出した亜空間に、アリスが姿を現した。


「…シスター・アリスなのか?」と思わず問いかけるレイモン。


それもそのはず。

現れたのは見かけが12歳の少女であったが、言動や容姿の特徴から、たぶんシスター・アリスと思われる人物であった。


「いやー、レイ君の魔力をちょっと喰ったらね、こんなに若返るくらい魔力がたまっちゃって~。この姿の時はアリスちゃんって呼んでね!うふっ。

レイ君の魔力って、涎が止まんないくらい、すんごく美味しかったよ~。」


「…やっぱり魔力を喰らっているんだな。」


「うん、そうだよ!

私ったら、何で院長のおすすめを真面目に断っていたのかな。こんなに素晴らしく美味しくて多量なら、他の子達も不要な位だったよ。」


「…そうか。じゃあ、この4人の子達はもとの空間へ帰してあげてくれ。」


「ふふふ。そうねえ~。レイ君の魔力をこれからも大人しく喰わせてくれるなら、いいよー!」


「わかった。これからも魔力は喰わせてやるから、この4人を頼む!」


「うふっ。言質とったわ!」


「だ、駄目よ!レイ君も一緒に!!」と会話を聞いて、初めに助けた少女が叫ぶ!


「そうだよ、お兄ちゃんも一緒に帰してあげて?」と可憐美少年スタンリーがアリスに首を傾けて可愛くお願いする。


「うんもぅ~!スタンリーったら相変わらず、か~わ~い~い!スタンリーもレイ君と一緒に残しちゃおうかな?ぐふふつ」と言うアリスに、レイモンは人質になるとまずいと思い、帰すように頼む。


「4人とも帰さないと、これ以上、魔力をやらないように全力で抵抗するし、ここを破壊しつくすぞ!」


「えー、しょうがないな~。

みんな、向こうで院長先生が待っているから、きちんと言うことを聞くんだよー!

じゃ、またね!『◎●〇移動』」


アリスが魔法を発動すると、4人の子供達はあっさり、この薄暗い亜空間から消えた。おそらく、元の孤児院へと戻ったのだろうと思うレイモン。院長が待ち構えているなら、きっと子供達へきつく口止めしてから、突然、何故子供達が戻ってきたかわからないことにして、何事もなかったようにするつもりだろう。


レイモンがセリウスに報告しているとは知らず。


ともかく、子供達を無事にこの空間から出せたことにほっとするレイモン。もっとも、自分も元の空間へ戻りたいが、どうするべきかと再度、悩むレイモンへアリスはのんきに話しかける。


「ところで、レイ君にも強力な睡眠の魔法を使って眠らせてから、あの球体に入れたから、他の子達みたいにずっと寝ているはずなのに、中で起きた上に、何で抜け出せるのかな?

本当にすごいよね~レイ君

ねえ、何者なの?」


「お前こそ、何者だ?」と言いながら攻撃の準備をするレイモン。


「私?私は『年齢操作の効率の魔女』だよ。魔力さえあれば、お婆さんにも幼児にもなれるの。しかも、他人の魔力を喰らう限り、いくらでも年齢操作の魔法が使えて、私もなかなかすごいのよ。

で?」


「は?」


「それで?レイ君は何者なのかな?まさか、まだレイヤード・ドルトンとかいう男爵家の子とでも言うつもり?」


「…そうだが。」


「ええ~。もうバレバレだって!

君はセリウス王弟殿下の1人息子のレイモン・ランダード殿下でしょ?

何で王子様並みの身分の子が、あの孤児院にきたかはわからないけどね~。

髪が金髪じゃないけど、染めているのね?

もう、よく見たら、セリウス殿下にそっくりだし、魔力を喰ったからよくわかるよ~。間違いなく王族か公爵家以上の血筋だって。」


「…。『拘束!』」とレイモンはもうアリスを攻撃することにした。


「ちょっと!人の話を聞きなさい!!」と言って、拘束の魔法を解こうとするアリスにさらに強力な拘束魔法をかけるレイモン。


「聞く耳もたんわ。『強力拘束。』」


「ちょっとー!女の子になんてことするの!?王族って、子供でもここまでやるの!?すごいね~。」


「おい、俺もここから出せ!」


「え~?どうしよっかな~?」とレイモンに拘束されて、エビぞりの恰好になっているのにもかかわらず、余裕そうなアリスに、苛立ったレイモンは本格的に攻撃することにした。


『雷撃』


ドンガラビッシャーン!!


アリスに弱めであったが、雷のような攻撃をするレイモン。普通の人間なら、髪が黒焦げになり、失神するほどの攻撃であるが、アリスは違った。


「うほー!本当にすごいね~。これも美味しいわ。雷だけあって痺れるぅ~!!」ときゃらきゃら笑いながら雷撃を喰ったアリス。よく見ると拘束も解除したアリスの手に橙色の球体が新たに作られていて、そこに全て吸収してしまっていた。


「ちっ、『魔力吸収』」とあの球体を破った魔法を放ったレイモンであるが、アリスはそんなレイモンに対してニンマリ笑った。


「ああ、それを使って出たのか~。でも、もう無効だよ?」と言って、魔力を吸収するはずのレイモンの魔力も、今度は緑色の球体に吸収させてしまった。


「!!どういうことだ!?」


「あははは!魔力を喰らう能力で私に勝てるわけがないでしょう~。」


そういって、笑うアリスにレイモンはかなり焦ったが、ふと、アリスの背が縮んでいることに気付いた。


「…お前、何か小さくなってないか?」


「え?ああ。いっぱい魔力を喰ったからね!おかげさまで、さらにぴちぴちに若返れたよ~。」


「…ふーん。」


レイモンはアリスが先ほどまで12歳くらいに見えたはずが、今は8歳くらいに見えたことで、ある可能性に気付いた。


こいつにあともう少し魔力を喰わせれば、もっと幼くなっていくのでは?


そう思って、レイモンは自分の魔力の残量がまだ十分にあることを確認し、アリスに連続で攻撃をしてみた。


『水砲弾!』

『氷刃』

『風嵐』

『火砲弾!』

『火矢』

『雷撃』


「むっひょー!喰い放題ですか!?遠慮なくいただきます!!」と狂喜したアリスは、レイモンの攻撃を夢中になって喰いまくった。


夢中で喰いまくったせいで、アリスの体はとうとう3歳未満くらいになってしまった。

そんなアリスの姿に黒く微笑むレイモン。


「さてと。『体強化』」と言って、魔法で体を強化するレイモン。


「え~?にゃにそれ?しょんなことしゅるなら、こんどはレイきゅんをくっちゃうぞ~。(え~?何それ?そんなことするなら、今度はレイ君を喰っちゃうぞ~。)」と舌足らずにいってくるアリスを鼻で笑って、レイモンはアリスに近づき、思いっきり拳骨をした。


ゴンッ


「いったぁー!こんなきゃわいいこになにしゅるの!?」


「鉄拳制裁。」


「なっ!!このー!くっちゃうぞ!!」


「ふっ、お前は愚かだな…。

これ以上、俺の魔力を喰らうと、もうちょっとで赤ん坊どころか胎児だぞ?そうなると魔力を喰うどころか、あっという間に消滅だな。」


「うぐっ。しまった!くいしゅぎた!!」


「さぁて、どうしてやろうかな?」といって、指をぱきぱき鳴らし、さらなる肉体言語で語ろうとするレイモン。


「ひー!」と言って、逃げ出すアリスにレイモンはとどめの一発。


ゴンッ キュウ~。


アリスを気絶させることに成功したレイモンは、気絶したアリスを一応、拘束した上で拾って、この亜空間の移動は先ほど子供達を帰らせる際にアリスが発動した魔法を模倣することで戻れるかと思いつき、実行してみることにした。

レイモンは早く魔法を使えるようになるために、こういった模倣の魔法が場合によって使うことができる。


『◎●〇移動』


すると、目の前は、あの薄暗い亜空間から孤児院の院長の私室に景色が変わった。


「アリス、戻ったの…、あっ!!」と院長はアリスが戻ったと思ったところに、気絶した3歳児未満のアリスを抱えたレイモンを見て、ひどく驚く。


そんな院長が驚いている間に、すぐに拘束の魔法を放つレイモン。


『強力睡眠』

『高度強力拘束』


普通の攻撃魔法では、今の魔力が少なくなったレイモンでは院長に負けるかも知れないため、強力に眠らせてから拘束し、しかも、ちょっとやそっとじゃ解除できないような強力なものにしておいた。


その後に、すぐに、レイモンはセリウスに犯人を拘束し、子供達を無事に救出したことを知らせた。



レイモンが2人を拘束できているうちに、セリウスから派遣された騎士達や魔法省の職員などが孤児院に着き、無事、犯人二人を捕らえることができた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ