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 ある日の記憶。

 僕はいつも通り保健室で過ごしていて、そこで先輩に勉強を教えてもらっていた。先輩は教えるのも上手で、教室で行われているような中学の授業についていけなくなるということもなかった。

 そんなある日のこと。

「・・・・・・先輩?」

「あ、ああ、どうかした?」

「いえ、別に」

 ただ、先輩の方がどうかしたというか、どこか遠くを見ているような気がした。

「疲れてます? なんか心ここに在らずな感じですけど」

「んー、いや、そんなことないけど」

 言いながら先輩は深く息を吐きだした。

「退屈だなーって」

「・・・・・・やっぱり僕に勉強教えるのつまんないですよね」

「あ、ごめんごめん。そういうことじゃなくて」

 手を振って否定すると、

「なんかさ、こうやってお行儀よく学校に来てることとか、日々の過ごし方とか、もっと自由でいいのになーって思ってたの」

「先輩でもそういうこと思うんですか」

「そういう望くんも?」

「まあ、方程式とかよく分からんものを知るくらいなら、僕はゲームの攻略に時間を当てたいです」

「あははは。子供だ」

「子供ですもん」

 そんな冗談めかしに話していたけど、僕はまだ先輩のいう退屈ってものが理解できていなかった。こうやって保健室で会えることも、勉強を教えてくれることも、僕にとってはとても嬉しいことだった。退屈なんて程遠かった。


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