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女神(妹)と気ままに異世界生活  作者: 月之住人
学校
36/44

遊び

 無事に吸血鬼の館の入り口にたどり着いた俺と茉莉。

 着地点にも大きなクレーターを作ってしまったが、きっと問題はないだろう。

 このぐらいのクレーターぐらいならば、魔法で簡単に埋め立てる事も出来るだろうし。

 そう思っているのは俺だけじゃないよね?

 まあ、そんな事はどうでも良い。

 とにかく、今回は吸血鬼に用がある。

 たかがクレータの一つや二つにかまっている暇はないのだ。

 館の玄関には、地球の家とは違いインターホンはない。

 なので、ドアをノックする。

 ノックの音は、あたりに無気味に響いた。

 きっと館の中にも響いてくれているだろう。

 しかし、少しの間待ってみても、物音一つしない。

 もう一度ノックしてみるが、やはり物音一つしない。

 しょうがない、乗り込むか。

 一応、茉莉に確認を取ってみるが、笑顔で許可をもらえた。

 なのでドアを魔法で爆破する。


爆破(バースト)!」


 ドアは粉々に砕け散った。

 こちらにも、ドアの破片が飛んできたが、小さすぎて痛くなかった。

 まあ、目に入らないように、一応目を閉じていたが...

 目を開けて見ると、俺と茉莉の前にはぽっかりと穴があいていた。

 さて、無事に入れるようになったので、館の中にお邪魔させてもらう。

 中は俺が勝手にしていた予想に反して、クモの巣なども一切なく、逆に埃一つない綺麗な状態だった。

 俺の足元に木の粉が散乱している。

 これは少し怒られてしまうかな?

 まあ、怒られたならその時はその時だ。

 とりあえずは、遊びに来たのだ。

 この館の主を探してみる。

 入ってすぐの場所にはいなかった。

 少し散策してみる。

 しかし、生活感のある場所がほとんどない。 

 本当にこの館に吸血鬼が住んでいるのだろうか?

 とりあえず、探索をどんどん続ける。

 すると、ひときわ大きい部屋の一番奥の方に、大きな椅子があって、そこに誰かが座っていた。

 たぶん目標の吸血鬼である。

 見た目は20~30歳ほどの黒髪の男性で、高身長である。

 がたいは普通ぐらいである。

 すると、急に立ちあがり話しかけてきた。

 

「貴様ら、俺様が誰だかわかっての行動か?」

「もちろんよ。おねーちゃんから聞いてるわ。吸血鬼でしょ。」

「俺様をそこらへんの吸血鬼と同じにするな!俺様は、”災害”の一人、殺戮(スローター) 魔人王ギエル様の腹心の部下、バークレイ様だ!」


 なんか地球にもいそうな名前である。

 名前からしても、余り強そうな感じがしない。

 どこかそこらへんにいそうな感じである。

 こんなのが腹心とか、ギエルは良い部下がいなさそうである。

 それか、バークレイが勝手に勘違いしているのかのどちらかであろう。

 勘違いであるとするならば、とてもかわいそうなやつである。

 同情するつもりはないが。


「貴様らは、俺様の足元にも及ばないのだ。俺様は心が広い。ドアを破壊したのは許してやろう。さっさと帰るが良い。俺様は忙しいのだ。」

「おねーちゃん、もう帰ろうよ。あんまり強くなさそうだし。どう見たって強くなさそうじゃん。そこらへんの吸血鬼と、全然変わらないじゃん。おねーちゃんもそう思うよね。」

「まあ、確かにそうだけど、言わない方がよかったんじゃない?言われた本人がかわいそうだよ。」

「き、貴様ら!所詮人間のゴミ屑どもが!俺様を侮辱しやがって!許さぬ、許さぬぞ!今すぐ消してやる!」


 おお、怒った怒った。

 こいつ、かなりちょろいぞ。

 茉莉に合わせて正解だったようだ。

 だが、俺と茉莉が言っていた事は、俺達からすれば事実である。

 ステータスを見てみても、総合力は8000000程度で、一年前の俺よりも少し低い。

 だから、俺達からしたら、奴の強さは普通、またはすくし弱いのである。

 まあ、そうじゃなかったらこんな挑発していない。

 バークレイは、本当に俺たちをすぐに消し去ろうとしているらしい。

 魔法の詠唱をし始めた。

 まあ、スキル 魔神の化身で知ることのできる魔法であるのであれば、俺らを消すことは不可能である。

 何せ俺には、対魔法で奥の手があるからだ。

 俺が今まで見てきた中で、五本の指に入るぐらいの無駄な行動を取っているバークレイ。

 バークレイの周りには、ルルが魔法を使った時のように、周囲に魔法陣が展開されている。

 大きな魔法を放つ時には、魔法陣を展開した方が良いのだろうか?

 まあ、魔法陣を作る分の魔力がもったいない。

 だから、俺はそんなもの作らずに極大魔法を作っていく。

 まあ、他の人は、魔法陣を作って魔力を増殖させないと、魔力が足りないのだろう。

 今はそんな事どうでもいいか。

 バークレイの方を再度見てみると、頭上に火球が出来ている。

 その火球はだんだん大きくなっている。

 俺はそろそろころ合いだろうと思い、俺はとある行動を取る。


詠唱中断(マジックストップ)...」


 この魔法は、拳大の白い玉を相手に飛ばすのだが、その玉の速度は避けられないほどではない。

 だから、この魔法を使っている事を相手が気づいて、よけたら元も子もないのだ。

 しかし、詠唱するにはかなりの集中力が必要であり、集中する為に目を閉じいる人が多い。

 バークレイも、目を閉じて詠唱をしているため、気づくには魔法発動の詠唱の声を聞くか、魔力を感知するしかない。

 だが、わざわざ小声で言ったし、詠唱中断(マジックストップ)は、魔力を感知しにくい魔法である。

 化け物でも何でもないバークレイが、感知できるはずがないのだ。

 俺の予想通り、白い玉はバークレイの中に吸い込まれるように入っていった。

 ここから起きる事は、ルルの時とさほど変わらない。

 バークレイはが急に膝をつき、火球は消え、代わりに別の赤い玉が出てくる。

 その玉が、鼓動するかのように動き出す。

 そして、対消滅させきれないエネルギーはすべて、爆発のエネルギーに代わり、大爆発を起こす。

 今回は、詠唱中断(マジックストップ)の発動を、相手が魔法を発動させるぎりぎりまで待ったのだ。

 さらに、バークレイが発動させようとしていた魔法は、ルルが発動させようとした魔法よりも強力である。

 だから、今回の爆発の威力は、前回とは比べ物にならない。

 多少離れた位置にいる俺達は、ちょっと危険な状態である。

 この爆発に巻き込まれたら、無傷では済まないだろう。


「茉莉、ここから出よう。」

「うん、そうだね。転移(ワープ)

「くそ、貴様ら待ちやがれ!待ちやがれ!...」


 茉莉は、俺の手を取って魔法を使った。

 一瞬にして景色が変わる。

 ここは、館から少し離れたところだ。

 一応の為に、必要以上に距離を取ったのだろう。

 すると、館の一角が消し飛んだ。

 無事に爆発してくれたようだ。

 館の一角が消し飛んだ影響で、館全体が崩れ始めた。

 これで死んだかな?と思っていると、館の上に、バークレイがいた。

 全身ぼろぼろである。

 しとめ損ねたか。

 そのままバークレイは、転移してどこかへ消え去ってしまった。

 マップにも映っていないから、俺がまだ一度も行った事のないところにいるのだろう。

 まあ、今回の目的は遊びに来た、と言うだけであり、しとめるのが目標ではない。

 結果的に、バークレイはここからいなくなったのだ。

 これで魔物(モンスター)大量発生(スタンピート)も解決するだろう。

 と言う事は、目標以上の事が今回で来たのだ

 十分であろう。

 さあ、セバスチャンが待っているところへ戻ろうか。


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