みゆきの魂の浄化
私とエイちゃんはカッサライを振り切りながら豊川先生に続く。
「この先にカッサライを生み出す邪悪な玉がある」
豊川先生は言う。
「それさえ壊せばカッサライを止める事が出来るのね」
私が言う。
「とにかくこのカッサライを止めるには玉を壊せばいいんだな」
エイちゃんが言う。
カッサライを振り切りながら私達は続く、そして森を出れば、何百人のカッサライ達がいる。
「見つけた、あれだ」
豊川先生が指さしたところに邪悪に染まった紫色の大きな玉があった。
その玉にカッサライ達はその玉を囲むように守っている。
すると豊川先生は走りながら手を上げて、「伏せろ」と言ったとたん豊川先生から小さな光が出てきてそれを放った。
私とエイちゃんは豊川先生の言うとおり地面に伏せた。
伏せながらいったい何が起こったのか分からないので、伏せた体からちらりと光を見ると、大きな爆発が起こり、私は思い出される。
核戦争が起こったときのことを。
あの豊川先生はいったい何者だろうか?
あれは核なのか?
いや違うだろう、核は人の体からは出てこない。
あの豊川先生が時はなったのは何かしらの必殺技だろう。
爆発が止んだ時、カッサライを生み出す玉は壊れていた。
これでカッサライを生み出すことは出来ない、でもあの邪悪な玉に召還されたカッサライ達はまだ生き残っている。
そんなときである、みゆきちゃんが聖なる炎をめいっぱい放出してカッサライの連中は聖なる炎に焼かれて一人残らず消えていった。
あれだけの力を放出したみゆきちゃんが心配になり、私は森の方にいるみゆきちゃんの元へと戻った。
「みゆきちゃーん」
みゆきちゃんはスターチスの二人に抱えられ、どうやら私の察したとおり、力を使い果たしたみたいだ。
みゆきちゃんは元の姿に戻り力を使い果たして、満身創痍だが生きている。
そんなみゆきちゃんを両手で抱え込み、「みゆきちゃんよく頑張ったね」と気絶したみゆきちゃんに労いの言葉を言った。
「さてリリィ、エイちゃん、スターチス、それに豊川先生アラタトに戻ろう」
私がそう言うと、今自己修復中のアラタトに戻った。
豊川先生は「これがアラタト、もう少しで奴らの手に渡り、取り返しのつかない事になっていた」
そこでリリィが「アラタト、リリィ以外、使える者いない」
「だがチョウジは不気味な妖術を使い、リリィを操り人形にして襲いかかってくる事も考えられる」
「リリィ、そんな、間抜けじゃない」
「そう言う意味で言った訳じゃない。でもそう言う事も考えられるからだ」
「豊川、お前、リリィ、甘く見るな!」
そこで私が「それよりも豊川先生あの光の技は何なの?原爆を思い出させる光であった」
「人間には原爆三十個分の核エネルギーが収縮されている。僕はその力を使えるものだ」
「それは命を削る事になるんじゃないか?」
「まさにその通り、命を削る事になる」
「私やエイちゃんにもそれは使えるの?」
「残念だが禁忌を犯した吸血鬼には使えない」
「そうかあ・・・」
私は残念そうにうつむいた。
「まあ、でもこれでチョウジも迂闊に僕達に手を出せなくなったのは事実」
「それよりも豊川先生、自分の命を削るのは私は胸が痛いよ」
私は抱えていたみゆきちゃんをアラタトのベットの上に寝かせておいた。
そうして豊川先生の所に戻り、「豊川先生、あまり無理をしないでくださいね」と言うと豊川先生は「このご時世仕方がないことだよ。それと僕には村のみんなが待っている」
「豊川先生の村!行ってみたいですね」
「この近くにある、君達なら大歓迎さ」
「でも今日は豊川先生もみゆきちゃんもスターチスも力つきているから、今日はアラタトで休んだ方が良いんじゃないかな?」
「でも村がカッサライの奴らに襲われたりしたら大変だから僕はとりあえず戻るよ」
「私もついていって良いですか?」
私が言う。
「俺はお留守番しておくよ。またカッサライに弱ったみゆきちゃんやスターチスにリリィを守る義務がある」
「じゃあ、私だけ行ってくるよ」
そこで豊川先生は「リリィも一緒についてきて欲しい」
「どうして?」
「君はチョウジに狙われている。君がチョウジの手に渡りアラタトを利用されたらそれまでだ。だから一緒に来てくれ」
「リリィ、さっき、言った、そんな間抜けじゃない」
「君が間抜けじゃないことは僕が良く知っているよ。いやここにいる仲間達も」
そこで私は「リリィここは大人になって」
「それじゃ、リリィ、子供みたいじゃん」
「そう言う意味で言った訳じゃないけれど」
「分かった豊川の言うとおり、すれば良いね」
そこで豊川先生は「ありがとう」とお礼を言う。
それで私とリリィは豊川先生の仲間がいる村に向かった。
先ほどカッサライ達と戦った森を抜けて、とある門番にたどり着いた。
門番には槍と盾を持った青年が立っていた。
「メルヘム様、ご無事だったんですね」
どうやら豊川先生は村人にメルヘムと呼ばれているそうだ。
「そちらの方達は?」
「僕の同士さ、門を開けてくれないか?」
「分かりました」
門が開くと縦穴式住居で立てられた村が露わになった。
「これって縦穴式住居?」
「文明の利器だね」と豊川先生。
中に入ると、みんな茶色い外套をまとっている。
「メルヘム様お帰りになったのですか?」「メルヘム様がいない間何もございませんでしたが不安でした」等々、豊川先生はこの村の長らしい。
「皆の者よ、話がある」
すると豊川先生は設置された高台に立ち、私とリリィも豊川先生に高台につれられ、豊川先生は言う。
「皆の者よ、この者達は我らの救世主だ」
「おおーー」
と民の者はざわめく。
「僕はこの者達と共にチョウジを倒しに行く」
「でもメルヘム様がいなくなったら、この村は?」「メルヘム様行かないで」
「皆の者よ安ずる事はない。ここにはもうカッサライは現れない、僕達はこの者達と共にチョウジを倒しに行き、永遠の平和を約束する」
「メルヘム様がそう言うなら、私達は永遠の平和を約束される」「メルヘム様がそう言うなら私達は大船に乗ったつもりで行けば良いんですね」
「その通りだ。僕はこの者達とチョウジを倒しに行く、すぐにここに戻るだろう」
「我々に平和を」「ついにこの時が来たのですね」等々、そう言って、民の者達はバンザイ三唱をした。
そして私達は祭壇降りて、アラタトに向かった。
アラタトに到着すると、みゆきちゃんはベットに倒れたままだ。
そこで豊川先生は「メグちゃんそれと英治、君達は禁忌を犯した吸血鬼だ、眠ることさえないだろう。だから僕達がここでアラタトの自己修復が完了するまで、見張りをしていてくれないか」
「分かりました、豊川先生」「分かったよ父さん」
「英治、また再び父さんと呼ばれる日が来るなんて思いもしなかったよ」
「俺もだよ」
何か不思議、生まれ変わった豊川先生の方が年下なのに改めてエイちゃんが父さんと呼ぶなんて。
私とエイちゃんは共にアラタトの周辺を夜空の星を眺めながら、座っていた。
「こうして二人きりになるなんて久しぶりだね」
「お互いに見飽きただろ。俺達の関係って」
「何よそれ、私の事あきたって事!?」
私は少々怒気を込めながら言った。
「お前はそうじゃなかったのか?」
「当たり前でしょ、私はエイちゃん一筋何だから」
するとエイちゃんは私に小さなキスをした。
「それを聞いて安心したよ。俺達は互いに離ればなれになってはいけない存在な気がして・・・」
「気がして?何?」
「とにかく俺達はソウルメイト、もしいるなら神様が俺達をここまで導いてくれたのかもしれない」
「ソウルメイトって言うとみゆきちゃんにスターチスに豊川先生?それと私とエイちゃん?」
「そうだ。俺達は年を重ねる事で出会いや別れを繰り返してきた。みゆきちゃんのホーリープロフェットの炎を浴びなければ、俺達は淀んだ魂の存在だった」
「そうだね。その事に関してはみゆきちゃんに感謝しなければね」
「みゆきちゃんがやがて年をとり、また来世でみゆきちゃんに出会えるかなって不安に思っている」
「でもその前にカッサライ達をやっつけないとね」
「そうだな。父さんは相変わらずに頭の切れる存在だ。本当にたのもしい存在だ」
「だね」
そう言って私はエイちゃんに寄り添って、くっついた。
こんな気持ち久しぶりだ。またエイちゃんとこんな気持ちになれるなんて思っても見なかったからだ。
これが本当に夫婦の存在なのだな。
吸血鬼の体は冷たいのだが、今は胸が燃えるように熱い。
そして楽しい時間はあっと言う間に過ぎ去ってしまって、私達は朝を迎える。
私はエイちゃんを見張りを一人で任せて、昨日力を使い果たしたみゆきちゃんの元へと行く。
みゆきちゃんは起きていて、「豊川先生を見つけたんだね」
「見つけたって言うより、やっぱりソウルメイトだからか?勝手にこっちに来たみたいな」
「ふーんそう、後はアラタトが自己修復が完全に関知したら終わりね」
「今、朝ご飯を用意するから待っていて」
「その前にこの付近にいた人間達の成仏されていない魂を感じるわ」
そうだった。この周辺に豊川先生が統括する村があったんだ。そこでもカッサライに殺された人々の魂が集まり漂い続けているのだろう。
そこでみゆきちゃんが「豊川先生、ちょっと村まで案内してくれないかな?」察しの良いみゆきちゃんだ。きっと豊川先生は村を統括して、その長をしている事を察したのだろう。
「うん。分かった。護衛にリリィとメグちゃんも連れていって良いかな」
「どちらでも構いません」
「じゃあ、スターチス、英治お留守番を頼むよ」
「分かった」とエイちゃんは言う。
森に入るとすぐにみゆきちゃんは踊りだした。
それに呼応するように水色の魂が浮かび上がってきた。
みゆきちゃんは踊りを踊りながら森の中へと行く。
そこで豊川先生は「何人かカッサライを倒しに行き何人者人間がこの森の中で死んでいった。みゆきちゃんにはお礼を言わなくてはな」
森の中を踊りながら進んでいくみゆきちゃんに私達は付いていった。
「ここにはカッサライに殺された人がたくさんいるのね」
みゆきちゃんは踊りながら悲しげに呟いた。
「カッサライを生み出す召還の玉を壊したのだ。これでしばらくはカッサライは現れない」
「そうは言い切れないわ、カッサライ達は日に日に強くなり始めている。
今度カッサライが私達に襲いかかってきたらみゆきの力ではどうにも出来ないかもしれない」
「確かにそうだ。カッサライ達は強くなっている。でも僕達の力も増している」
「だからと言って絶対に安じて良いことではないわ」
「分かっているさ」
みゆきちゃんの踊りの舞は村まで続いた。
そこでリリィが、「リリィ、護衛とは言ったけれどそんな必要、あったの?」
「正直言ってないけれど、君はチョウジに狙われている。もしチョウジが君にリリィに怪しげな術で、操られたりもしたら大変な事になってしまう」
「リリィ、そんな、間抜け、違う」
「間抜けとか腑抜けとかそう言う問題じゃない」
「良いや、豊川、リリィ、侮っている」
「侮ってないよ」
するとリリィは森の巨大な樹木を引き抜き「豊川、リリィ、侮っている、ここで勝負する」
そこで私が輪に入って「争っている場合じゃないでしょ。私達は仲間、ソウルメイトよ」
「とにかく、豊川、リリィ、侮るな!」
樹木を捨て、来た道を帰るリリィ。
ようやくソウルメイトが集まったと言うのに、いきなり仲間割れかよ。先が思いやられそうだ。
でも豊川先生の言う事も一理ある。
豊川先生が恐れている事態に巻き込まれたら、そこでおしまいかもしれない。
「リリィ、アラタトはどれくらいで自己修復が完了するんだ?」
「後四日ぐらい」
「四日かあ」
「メグも、リリィ、文句ある?」
「別にないけれど、機嫌なおしてよ」
「別に、リリィ、機嫌、悪くない」
そう言ってリリィは来た道を折り返して帰ってしまった。
そこで豊川先生は「プライドが高いのは良いことだが、あれはちょっと危険かもしれない」
私も豊川先生の意見に同調した。
本当にリリィがチョウジに操られて、アラタトで全世界を破壊されたら元も個もない。
そしてみゆきちゃんはすべての魂を浄化させ戻ってきた。
「お待たせみんな」
「ご苦労様」
「カッサライに殺された人達、この辺にはかなりいたわ。でも魂は浄化され、また輪廻の輪をくぐることが出来るわ」




