理不尽なリリィ
スターチスの二人はリリィを探し瞑想するみゆきちゃんの前で歌った。
するとみゆきちゃんのオーラが金色に染まった。
「すごい、力が満たされていく。リリィさんの居場所が分かったわ。それにその面影までが見えてしまうなんて」
「それでみゆきちゃんリリィはどこにいるの?」
「リリィさんは人間とハーフとして生まれたアラタト人として生まれているわ」
「じゃあ、もしかしてアラタトの人間にしか見えないの?」
「そんな事はないわ私達人間にも見えるって言っている」
「で、そこはどこなの?」
「沖縄の那覇市よ」
沖縄か、初めてリリィと出会った時、そういえばフロリダ州だったっけ、遠い昔の事だが昨日のようにリリィと出会った事を覚えている。
「さてそれが分かったら、早速リリィを仲間にするために沖縄の那覇市に行くわよ」
「待って、沖縄には私達と戦ったカッサライ達よりも強いカッサライだわ。私達と戦った事でパワーアップしているわ」
「それじゃあ、これからは迂闊にカッサライには手が出せないわね」
「でも戦いは免れない。それでもリリィさんの所に行くの?」
「もちろん行くよ」
「じゃあとりあえず沖縄の那覇市までアラタトでワープして」
私はアラタトの動力の球体に振れて、日本最南端の沖縄までワープした。
一瞬でワープしてモニターを映してみると、緑がいっぱいで綺麗な青い海が観測できた。
「ここが沖縄?」「凄い青い海が見渡せる」
二人はワクワクしているが「遊びに来たんじゃないよ」と念を押しておく。
「ここにもカッサライの幹部が生息している。リリィ達はそいつ等と対峙している」
と、みゆきちゃんは言っている。
「じゃあ、助けなきゃだね」
エイちゃんをお留守番にして私とスターチスとみゆきちゃんは外に出た。
沖縄の外に出ると夏の香りがした。
私達は森の前の砂浜に着地した。
「見てよボラン」「綺麗だねチス」
浜辺へ走っていく二人を見て、「何度も言っているでしょ、遊びに来たんじゃないって」
「いいじゃん少しぐらい」「そうだよ。メグお姉ちゃん」
全く二人には呆れてしまうな。
そういえば二人はいつも一緒で子供ぽっかったりしたっけ。
「みゆきちゃん、どう?」
「この森の奥にリリィさんを感じる」
「二人とも遊んでないで、行くよ」
そんな時である、カッサライが四人現れた。
「エヘヘヘヘ、姉ちゃん達うまそうだな」
私達を食べるつもりか、だが相手が悪いのを彼らは知らない。
指を拳銃のように構える。
「ダン、ダン、ダン、ダン」
四人に発砲して見事命中して、四人は灰と化して死して行った。
「メグさん」
みゆきちゃんが心配して私の所に駆けつけてくれた。それにスターチスの二人も。
「カッサライ達はパワーアップしたんじゃなかったの?」「あんな事ぐらいでやっつけられるなんて」
「良いや、本当にカッサライはパワーをアップしているわ。強めの吸血鬼ガンを放ったのだから。
とにかくみんな森の中に入っていくけれど、くれぐれも離れないようにね」
「この道をまっすぐ行けば、リリィの長の集落がある。
みんなみゆきの後に付いてきて」
森の道筋になっているが、魔女でも出そうな程の真っ暗闇に染まっている。
気を引き締めて行かないと。
ザザーと森がざわめいた。
するとみゆきちゃんは「みんなカッサライよ」
みゆきちゃんの合図で私達は気を引き締める。
「ひゅ~ひゅ~」
とチンパンジーのように木を伝って出てくるカッサライ。
カッサライ達は二十人、弓や槍などを持っている。
あまりにも敵が多い、このままじゃやられてしまうかもしれない。
みゆきちゃんに弓矢を放ってきたが、私はそれを素手で受け止めて、矢を放ったカッサライの一人の脳天に突き刺した。
カッサライ達はその光景を見て、恐れている。
「あなた達、覚悟は出来ているわよね。殺す覚悟があるなら殺される覚悟もあるんでしょ」
私は吸血鬼ガンをマシンガンのように打ち、カッサライ達を皆殺しにした。
「メグさん怖い」「抵抗しない奴でも容赦しないんだね」
二人はそんな私を見て、恐れていた。
二人に怖い思いをさせて悪いんだけれども、私はカッサライを許す訳には行かない。私達の子供達をアリのように殺したカッサライに対して。
そんな二人を余所に、「さあ行くわよみゆきちゃん。リリィの所まで案内して」
二十人くらいのカッサライを見ると、マントだけ残して、ちりのように消えていった。
なぜこのような奴らがいるのか私には理解が出来ない。
こいつ等はどこから来てどこに消えていくのか?
カッサライ達には魂が感じられない。
そして私達は森の奥へと進んでいった。
さらに進んでいくと、真っ暗で何も見えなくなってきた。
するとみゆきちゃんは指を一本突き立てて、ホーリープロフェットの炎を明かり代わりにして進んでいった。
「凄いねみゆきさんは」「何でも出来ちゃうんじゃん」
「このホーリープロフェットの炎を照らせば、カッサライはやってこないわ」
みゆきちゃんは言う。
「だったら、最初からそうしていれば良いのに」「そうすればカッサライに会わずに済んだのに」
「私はメグさんみたく、無限の力の持ち主じゃないから、少しでも力を温存しておく必要があっただけよ」
さらに森の奥へと進んでいく。
するとザザーと木の枝から、猫が現れた。
「こんな所に猫がいるなんて」「きっと西表山猫だよ」
「珍しいわね、聞いた話だと、十年沖縄に住んでいても巡り会う事すら出来ないよ」
私が言うと猫は喋りだした。
「この先はララァ様の集落じゃ、お主達、ララァ様に何か用事でもあるのか?」
「猫が喋りだした」「何だこの猫は?」
スターチスの二人は驚いて、私もみゆきちゃんも正直驚いた。
そこでみゆきちゃんは「そのララァさんに私達は力を借りにきた」
「先ほどからお主達を偵察していたが、カッサライ達をいとも簡単にねじ伏せてしまうなんてお主達は何者だ」
「私達はカッサライからこの世を平和にするために、カッサライの長を倒しに行くんだ。そのためにはリリィではなかった、ララァさんに力を借りにここまでアラタトで来た」
「何!?アラタトじゃと、ララァ様が探している天空に常に浮遊する大陸アラタトか?」
「話が早そうだね猫君。君たちの長であるララァに会わせてもらえないかな?」
「だがララァ様はルーアーツと言う、首借り族の長の幹部の討伐に向かっている」
「ルーアーツ?」
「そうじゃ、ルーアーツの軍勢がやってきて我々の村がルーアーツの軍勢にほぼ壊滅されてしまった」
その事実を聞いた私はいてもたってもいられなくなり、猫のうなじをつかみあげ、「そのルーアーツはどこにいるの?」
「な、何をするのじゃ、離せ!」
「離してもらいたかったらそのルーアーツの所に案内して」
「分かったから離さぬか!」
私は猫を離して、猫に案内してもらう。
「お主達なら、ララァ様のお力になれるかもしれない」
「私達の事を気配を消して、見ていたのでしょ」
「そうじゃ、ルーアーツは一見普通の子供にしか見えないが、恐ろしい力の持ち主じゃ、じゃから一刻も早くララァ様の元へと向かってください。案内はわしがやる」
私達は林を越えて、猫が進む方向に向かっていった。
猫はすばしっこく早いが、私はついてこれるが、みゆきちゃんとスターチスの二人には追いつくことが出来ない。
なら私だけで十分だ、そのルーアーツと言う奴に会いに行って私がルーアーツを倒せば良いのだ。
私は禁忌を犯した吸血鬼、死ぬことはないのだから。
森を抜けて、子供と対峙する女性がいた。
女性はおそらくララァでありリリィの生まれ変わりだろう。
そしてその少年の姿をしたのがルーアーツだろう。
リリィは圧倒されている。
「くっくっくっ、ララァよ僕にかなうとでも思ったのかい?」
「お前、許さない。私の仲間達の為にも」
「君が弱いんじゃない。僕と相性が悪かっただけだ」
そして私が「そこまでよ」
吸血鬼のガンを両手で乱射させる。
すべて命中したが、敵の幹部だけあって、私の吸血鬼のガンは少年が着るマントにはじき返されてしまった。
「何者だ?」
「私は禁忌を犯した吸血鬼メグ。私はあなた達カッサライを見ると殺したくなるほど憎いの」
「そうか、お前がフンババのバカを殺した者か」
「あなた達は仲間達の事さえ尊重し会わないのね」
フンババは許せぬ相手では会ったが、同情をしてしまった。
「僕はフンババのように弱くはないぞ」
「私もあなたのような子供に負ける私ではないわルーアーツ」
「どうして僕の名前を」
「そんな事、どうでも良いでしょ」
そこでリリィが「あなた、誰?手出し、無用」
「私はあなたの味方よララァ」
「邪魔、しないで、こいつ、私、狩る。村のみんな、こいつにほとんど殺された。その敵、私、取る」
「私はあなたの力になりたい」
リリィの両手をギュッと胸に引き締めて私は言った。
「あなた、いったい?」
「さっきも言ったけれども私は禁忌を犯した吸血鬼のメグ」
「メグ、力、貸して」
「お安い御用さ」
私はキッとルーアーツに威圧的な視線を向けた。
「こちらから行かせて貰うよ」
私は瞬天のごとく、ルーアーツに浴びせ蹴りをお見舞いした。
見事に命中して、倒れ伏せるルーアーツ。
「なかなかやるようだね」
と余裕を見せるルーアーツ。
何やら何かをもくろんでいる。
再び瞬天のごとくパンチを決めた。
見事に決まり、ルーアーツは吹っ飛んでいった。
「くっくっくっ」
とルーアーツは不気味に笑い、奴も瞬天のごとく私にあびせ蹴りを仕掛けてきた。
突然だったので驚いた私は、もろに命中して、倒れ、吹っ飛んだ。
さらに瞬天のごとくパンチまでお見舞いされてしまった。
なるほど、こいつは敵の攻撃をコピーする事が出来るみたいだ。
でも私には攻撃は効かない。
私は禁忌を犯した吸血鬼だからだ。
「さっきララァが見せた、こんな事も出来るよ」
地面を両手で叩きつけ、地割れが起こった。
これはリリィの怪力の力だろう。
私はリリィを抱えジャンプして、木の太い枝に着地した直後、ルーアーツは瞬天のごとき現れて、リリィにナイフを突きつけたが、私はリリィの身代わりとなり、代わりに私が胸にナイフが刺さってしまった。
ルーアーツは私の内蔵をナイフでマサグった。
しかし私にはそんな攻撃は通用しない。
「なぜ死なない!?」
「ルーアーツ、聞かなかったか?私は禁忌を犯した吸血鬼だと」
「くそっ」
すると今頃到着したのか?みゆきちゃんとスターチスの二人が私の元まで追いついてきた。
「あいつ等はお前の仲間だな。だったら仲間を殺されていく姿を見て永遠の慟哭をするのだな」
みゆきちゃんに瞬天のように迫ったが、みゆきちゃんも油断はしていない、ホーリープロフェットの炎をたぎらせて、ルーアーツに出迎えた。
「うわあああああああ」
ルーアーツの断末魔がこちらまで届いてきた。
バカな奴だ。さすがに聖なる炎を浴びれば、邪悪その物のルーアーツはただでは済まない。
満身創痍になったルーアーツ。
「くっくっくっ、良い物を見せてくれたよ」
「ああ、良い物を見せて上げたよ」
私が言うとルーアーツは「余裕でいられるのも今のうちだけだよ」
するとルーアーツは聖なる炎を放出して、その自分から発した聖なる炎に焼かれて灰となり、消えていった。
ルーアーツ、愚かな奴。
「みゆきちゃん。突然出てきて私はルーアーツの餌食になることをはらはらしたよ」
「敵の戦略を事前に知っておいたから」
なるほど、みゆきちゃんは私と猫に追いつけないからと言って、チャクラで私達の状況を見ていたんだね。
「それにスターチスの二人にも力になってくれた」
「なるほど」
そこで肝心のリリィに目を向ける。
「探したんだよ。ララァではなくてリリィ」
「どうして私の祖先の名を知っている?」
「それは百五十年前私達は同士だったんだよ」
リリィはいったん考える仕草をして、「なるほど、お前達は私の同士だったんだな」
「そうだよ」
するとリリィは私を叩いた。
「どうしてもっと早く来てくれなかった?もっと早く来てくれれば、村のみんな、救う事、出来た」
リリィは理不尽な事を言っている。
でもそれはリリィが一番知っている事だろう。
「悪かったよリリィ、もっと早く来なかった私達が悪いよね」
リリィは泣いている。
でもリリィ、涙を流した者はあんただけじゃないんだよ。私もカッサライによって仲間達を失って来たんだよ。




