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転生人語 ー紫の語りー 紫式部は現世も見て物語を書いていたのかもしれない!?  作者: 岩田 ヒロ
花散里(はなちるさと)

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断られる勇気と受け取る勇気

 花散里という女は、華やぎを競うことなく、穏やかな情を静かに湛える人である。移ろう季節の花のように、目立たぬ佇まいながら、寄り添えば心を和ませる温かさがある。境遇に恵まれずとも嘆かず、慎ましさをもって日々を重ねるその姿は、派手さとは異なる深い美を宿す。静けさの中にこそ、揺るぎない優しさが息づく――それが彼女の魅力である。

 見返りを求めずに人に親切にすることは立派なことだ。ただし、その親切を余計なお世話と思う人もいる。最近はそんな場面をよく見かける。


 ***


 先日、電車の中で、おばあちゃんに席を譲ろうとしたお兄さんがいた。


 これまでも、こうした場面は何度か見たことがある。譲られて「ありがとうございます」と座る光景は、周りの人まで温かい気持ちにさせる。 


 しかし、そのおばあちゃんは「結構です」と断った。お兄さんは「次で降りますから、どうぞ」と繰り返したが、おばあちゃんは頑なに拒否した。結局、お兄さんはばつが悪そうに席に座り、次の駅で降りていった。


 多くの人はスマホを見ていて気づかないふりをしている。そんな中、勇気を持って声をかけたのに断られるのは、少し理不尽にも思える。


 わたしはというと、勇気を出しても、断られるのが嫌だから、よほど具合の悪い方でないと声をかけない。


 良かれと思って行動したのに拒否されるとはどういうことなのか。「席を譲られるほど年寄りではありません」と思っているのか。それとも、人の親切を受け取ると後が怖いと考えているのか。


 わたしが歳をとって席を譲られたら、

「ありがとう」と言って喜んで座ると思う。せっかく勇気を持って声をかけてくれたのだから。


 声をかけたのに断られる。しかも見知らぬ人たちの前で恥をかく。そんな思いをすると、親切をしなくなる人が増えるのではないか。そんな世界は、あまり見たくない。


 ***


 そもそも、ありがたい親切と余計なお世話は紙一重だ。昔から「親切に見返りを求めるな」「親切を仇で返すな」と言って、うまく噛み合わない人たちをたしなめてきた。


 昔からいろいろな人がいる。だからこそ、お互いを許し合えるような余裕が、人間関係の潤滑油になってきたのだ。


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