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第二十九話【オークの村、”ユク”】

 あれから更に一時間後、わたしたちはユク村に到着していた。


 この村は思った以上に大きく、非常に活気がある雰囲気だ。

 家は木造の家が殆ど。いわばログハウスって感じの造り。

 住んでる種族は大柄のオークさんたち。男の人も女の人も、とにかくムキムキでみんな強そう。


 わ、あそこに居る人なんか片手で丸太を三本も運んでる!

 むこうの人は衛兵さんかな? リエッタさんの身長よりも大きい剣を持ってるよ……。

 オークは力持ちって聞いてたけど、ここまでは予想してなかったなぁ……。


「んふふ、ハルちゃん驚きっぱなしですわぁ」

「あ、バレた? えへへ……オークの村来るの初めてだから、驚いちゃった」

「ここユク村は、昔からオークの先住民さんたちが住んでいたんですよー」


 そういえばプースよりも昔に出来たって言ってたよね。昔ながらの生活を送ってるとも。

 確かに服装もちょっと民族的というか、腰みのを付けてる人ばっかりだ。

 ……あ、流石に女の人は上着てるからね? 男の人は半裸の人も居るみたいだけど。


「むう、緑色の肌ばかりだな」

「そりゃオークの村だからね、ソラもツギーノでオークの人見かけたでしょ?」

「そうだが……ううむ、こいつらは友好的なのか? 明らかに敵対的な顔つきだぞ」

「あー、ソラ怖いんだ?」

「怖くない!」


 必死に否定するソラにくすくす笑ってしまうわたし。

 まあ確かに初めて見るとびっくりしちゃうよね、オークの人たちって少しコワモテだし。


「オーク族は見かけに対して他種族に優しいんですよ、王子」

「そ、そうなのか、リエッタ?」

「はい、彼らも結構顔のこと気にしてるみたいで……せめて他種族に対しては優しくしようという文化が根付いてるんです」

「そうか、それは良かっ……コホン、まあ僕はどんな相手だろうと臆さないがな」


 めっちゃ怯えてたくせに……。


「ふふふ……あ、もうそろそろ到着しますよぉ」


 レティシアちゃんが窓の外を見ながら一言。

 一緒に外を見ると他よりも立派な家が目の前に現れる。

 馬車はゆっくりと停止し、その家の前に停止した。

 どうやらここが目的地みたいだね。


「さ、降りますよぉ」


 レティシアちゃんがそう言うと同時、馬車の扉が開かれる。

 わたしたちはレティシアちゃんの後に続いて馬車を降りた。


 目の前にはオークの衛兵さん二人に守られた玄関が一つ。

 衛兵さんのコワモテの顔がわたしたちをじーっと見つめていた。


「どうもぉ、プースから来ました、ドワイお爺さまの使いですー」


 前に出てのんびりと挨拶をするレティシアちゃん。

 衛兵さんの一人が近づいてきて、その顔をぐいと近づける。

 あんな至近距離で見られたら流石に怖いけど、でもその顔はすぐに笑顔に変わって。


「やあどうもレティシアお嬢さま! そしてお仲間さんもようこそ、ユク村へ!」


 にんまり笑顔でわたしたちを出迎えてくれた。

 あまりのギャップに笑いそうになっちゃったけど、失礼だから我慢。


「衛兵さんも相変わらずお疲れ様ですわー」

「いやあ、労ってくれるなんて嬉しいですねえ……村長に用事ですかい?」

「はぁい、遺跡見学の許可を頂きにきたんですー」

「ほう! 勉強の一環ですかな? 実に良いことですなあ」


 ニコニコと不器用に笑っている姿は正直ちょっと不気味さもあるけれど、とにかくいい人だということは分かった。

 このまますんなり許可をもらえるかな、なんて思ってたけれど……。


「しかし困った事になりましたな……実はすぐに許可を下ろせないかもしれません」

「えっ、どういうことですのー?」

「詳しくは村長にお話してもらいましょう、その方が早いですから」


 そういうとオークの衛兵さんは扉を開けてわたしたちを迎えてくれる。

 わたしたちはペコリと頭を下げると、村長の家の中に入っていった。

 すぐに許可が下ろせないって、どういうことだろう……?

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