第71話:ワールドシリーズでフェイウェイパークでの3連戦は、野手としての出場だ!
2戦目を終わってすぐにボストンまで移動した。
2戦目で好投した橘周は、中1日を挟んでレッドソックスとの3戦目に臨む。
次の先発は6戦目ということで、このフェンウェイパークでの3連戦は野手としての出場も有り得る。
そのため昨日も外野守備の練習をしたのだ。登板日の翌日なので肩と肘を休ませるため、捕球のみに限定した練習だった。またバッティング練習も無しだった。3戦目当日の練習ではバッティング練習も行って、試合に備えた。
[3戦目]
7回に出番が回ってきた。代走だ。その後ライトの守備に着いた。
実は橘周の外野守備の能力は、既にチームで2番か3番と認められていた。スピードはNo1だし、捕球技術、スローイングもトップクラス。唯一正規の外野手に比べて経験値が少ないことが懸念材料というわけだ。
8回の右中間の当たりは、俊足で抜ける手前で押さえてシングヒットにした。
しかし、この日はチームは敗退した。
[4戦目]
そして、1勝2敗となって負けられない4戦目。監督は橘周を思い切って7番ライトで起用した。それは監督から見て、全選手の中で最も「勝つんだ!」のオーラを感じたからだ。出場すれば何かやってくれそうな期待感があった。
2回には、犠牲フライで先制点を上げた。泳がされながらもすくい上げてライトフライを飛ばした。
5回は俊足を2回披露した。左中間方向のセンター前ヒットをツーベースにした。さらに次の打者のショートゴロエラーで一気にホームまで駆け抜けた。レッドソックスファンが多い球場で、メジャーリーグで1番の俊足をこれでもかと披露し、ブーイングと歓声が交錯した。今やピッチングだけでなく、走塁でも最も沸かせる選手となっていた。
3打席1安打1犠打で2点に貢献し、チームも勝利した。
[5戦目]
この日は翌々日の登板を控えて、もしもの時のみ出場の予定だった。
しかし、1点リードされた6回に、変則左腕がリリーフ投手として登板していたため、代打1番手で橘周にお呼びがかかった。そう橘周は、バッターとしてはスイッチヒッターなのだ。
3球目の低目のボールを強振すると、レフト方向へ上がった。フェンウェイパークの名物である、高さ11.3mのグリーンモンスターを超えた!
逆転2ランホームランだ!!!先発でシーズン23勝400奪三振超えのピッチャーによる代打ホームラン。しかもグリーンモンスターを超えていく、大き目の一発だ。レッドソックスファンは一瞬シーンとなったものの、「恐れ入りました」の歓声に変わった。
これで各選手に火がついて、連打が6回・7回と続き、チームは7-3で快勝した。監督が感じた橘周の「勝つんだ!」のオーラがチームに拡散した瞬間だ。
橘周は、WBCとも日本シリーズとも違う、特別な雰囲気を充分に味わっていた。またこの時点でワールドシリーズMVP有力候補となっていた。
次はドジャースタジアムに戻って第6戦目。再び先発投手としてマウンドに立つ。




