第56話:前半終了し、オールスター戦出場だ!
対戦チームの高めのボールを振らない作戦もさほど通用しなかったし、橘周は順調に勝ち星を重ねていく。メジャーリーグ1年目ということで、球数制限があるものの、ストライク率がメジャーでも1番で75%を超えており、平均して7回まで投げていたから、勝ち星が付きやすいのだ。
普通ならバッターを翻弄するピッチャーは、ストレートと落ちる球種とスライダー、カーブ、ナックルカーブ、ツーシーム、シンカーのうち2種類ぐらいで真っ直ぐ、落ちる、曲がるを使い分ける。
しかし橘周は、その上浮き上がるボールが2種類もあり、落ちるボール、曲がるボールも複数あるので、試合の中で慣れることも、的を絞ることも難しいのだ。
そして、プロ野球よりメジャーリーグの方がむしろ成績が良いのは何故なのか?
まずは、屋外球場が多く、風によって浮き上がりやすい。ストレートに加えて高めのカットボールもライジングカッターとして勝負できる球種となっている。
次に何度か説明しているが、日本よりアッパースイングのバッターが多いから、浮き上がるボールを捉えにくい。
そして、バットを短く持ったり、フルスイングせずに、ファールを打ちながら耐久勝負に挑んでくる打者が少ない。
日米の選手の身長差も関係する。当然背が高い選手の方が高め一杯の位置が高いわけだが、高いほどアンダースローの橘周の手の位置との高低差ができる。そして高低差が大きいほど、浮き上がり幅が若干大きくなって、より打ちにくいボールになる。
■オールスター出場
前半戦14勝1敗、防御率1.02の完璧な内容で選手間投票でオールスターに選ばれた。
そして栄えある先発投手を任された。オールスターなので特別な投球として、
全球ライジングボール。ライジングストレートとライジングカッターの2種類。3人を三振、ポップフライ、三振に仕留めて大歓声に結果で応えた。
出場している選手が全員スーパースターという中で少しはビビっていたが、マウンドに上がってしまえば関係無かった。試合前には、実際橘周がどうやって投げているのか質問に来るピッチャーが多かった。
少し休んで、後半戦に向けてまた長い戦いが始まる。




