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地上10センチから世界を征する 剛腕の左のアンダースロー  作者: 伊藤ライリー
メジャーリーグ編
51/219

第51話:シーズン3度目の先発登板で、あっさり偉業達成!

今年29歳になるメジャーリーガー1年目の橘周は、立ち上りから10連続奪三振で、わずか1試合で注目の選手になった。


2試合目は、高めストレートはやや少なめで、6回1失点にまとめて2勝目を上げた。試合ごとや打席ごとに少し違うピッチャーに変わることで、事前の分析を役に立たないものにしたり、バッターを慣れさせない工夫をしている。

これも勝負できる球種が多いからこそ成り立つのだ。


==

今のところ4月と5月は、もしものケガを防ぐために、バッターとしての出場予定無しがチーム方針だ。もちろん、守備や走塁でも出場が無い。しかし、6月以降のことや、マンネリ解消のために何度かバッティング練習は行っている。実際は、橘周がとんでもない飽き性であることを首脳陣に伝えているせいもある(笑)。


2試合目の登板の翌々日、バッティング練習を告げられ、喜んで打席に立った。実はこれまでは、強振せずにミート中心のバッティング練習に終始していたが、この日初めて長打狙いのバッティングに切り替えた。左打席でレフト前ヒットの後、左中間右中間深くに飛ばし、その後ホームランショーになった。あまり力感無いフォームで130m級の飛距離を連発し、チームメイトも含めてかなり驚かせた。そう昔イチローさんが練習ではポンポンとホームランを打つことで、長距離バッターとしても成功するだろうと言われたことを彷彿とさせる。


次に、サウスポーピッチャー用の右打席でもホームラン連発した。ピッチャーでありながらスイッチヒッターという、過去になかなかいない付加価値がある。その上いつでも長打が打てるのだ。


野球に関して苦手なことがほぼ無い(唯一マウンドからオーバーハンドのピッチングフォームで投げることが苦手)橘周の一旦を魅せた。


==

思い切りバッティングをしてスッキリした4日後、ドジャー・スタジアムの公式戦初マウンドに上がった。


2試合までは80球の制限が設けられていたが、早くも100球制限にアップしたので、この日は7回か8回まで投げることを目標にした。そのためには、やはりストライク先行だ。


今日のテーマは序盤は高めストレートの代わりに高めカットボールを使うこと。ストレートと曲がりが逆で少し遅く、さらに少し浮き上がるボールを見せ球的に使う。日本ではほとんど浮き上がることが無かったが、縫い目の大きいメジャーリーグのボールで、しかも風がある時はストレート同様に20cmほど浮き上がる。そして低めストレート、ツーシーム、シンカーで打ち取っていく作戦。


4回からは、高めストレートを混ぜ、6回からチェンジアップを混ぜる。そうやって、いつも間にかランナー出さずに9回のマウンドへ。


日本で3回も達成したパーフェクトゲームを、最後は高めストレートで三振に取り、メジャー3戦目で早くも実現したのだった。ほぼこの日のノルマ通り、わずか102球で完封だ。


早くもパーフェクトゲーム達成で、全世界で人気と実力があることを知らしめた。

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― 新着の感想 ―
めちゃくちゃ面白いです。 応援しております。
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