第245話:延長で失点する厳しい状況からの・・・まさかのプレー
延長12回表、橘周がマウンドに上がる。
初球の縦割れシュートにバッターが反応する。ボールの上に当てて、1,2塁間に転がる。セカンドがギリギリ追いついたが、ファンブル。すぐさまボールを掴んで1塁に投げるが、セーフ。
ノーアウトでランナーを許してしまう。
次の左バッターの2球目は、横曲がりのカーブ。バッターは腕を伸ばしてバットの先端に当てて、三遊間のゴロ。ショートは2塁の間に合わないので、1塁へ送球する。がしかし、逸れた。ファーストの後ろに転がる間に、ランナー1塁3塁になった。
アンラッキーが2回続いてしまった。
大ピンチとなって、内野手とコーチがマウンドに集まる。
「すまない」
「俺もすまない」
「いや、あそこに打たれた俺がすまない。ここから頑張ろう」
次のバッターはファーストゴロが大きく跳ねた。ファーストがジャンプし、なんとかボールをキャッチし、ベースカバーに入った橘周にトスしてアウト。
しかし、1点を献上して均衡が破れた。
「あちゃー、微妙なゴロ3連発で1点取られた。ついていない・・・・でも、ここで抑えて逆転するぞ」自分に言い聞かせてマウンドに戻る。
以前1アウト2塁のピンチが続いている。
実は、サイドスローになった橘周には、アンダースローの時の浮き上がるストレート(ライジングストレート)が投げられない以外にも弱点があった。それはクイックのフォームで投げた時に、スピードのダウン幅が大きいこと。
だからランナーが出ると、バットに当てられる確率が上がってしまう。
ここで橘周は、盗塁されることを諦めて、セットアップモーションでしっかりと投げることにした。
気合を入れ直して、ギアを上げる。
ストレート、ライジングカッター、ツーシーム、縦割れシュートを全力で投げ続けた。
結果は、2奪三振で、12回を投げ終えた。
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しかし、12回の裏に点を取らないと2連敗決定である。
1アウトからジャックス・ハーランがフォアボールで出塁。
ここで橘周。
ピッチャーは、高めの速球と、高速スプリットで攻めてくる。
このコンビネーションが橘周を攻略するのに有効との判断だろう。9回の三振もそうだった。
しかし、橘周はどんなパターンでもアジャストする能力が高い。
追い込まれて、高めストレートを強振し、大き目のファール。
次は、予想していたスプリットがきた。
低目をバットで拾い上げ、下半身のバネと、強い背筋と握力で振り切る。
打球は高く上がり、右中間方面へ飛んで行く。
大きいセンターフライと思われてたが、橘周の打球は伸びる!伸びる!
入った。ホームラン!!!
起死回生の逆転サヨナラ2ランホームランだ。
もみくちゃにされながらホームイン。
延長12回の死闘を、どうにかこうにか制した。
監督から「さっきは、シュウからピッチャー交代も考えたんだが、結果的に代えなくて正解になるとはね。流石だ。やっぱりスーパーヒーローだな。」
「いやー1点取られて悔しかったので、僕は再起動することができたよ。身体中がガーって燃えて(笑)」
「まさか、あの展開のあの場面で、ホームラン打てるなんてね。すごいよ!」
その後観戦していた、妻のレイラ・ストームが、頭をなでながら褒めてくれた。
これが今日の最高の瞬間だ!(^^)!




