第242話:ワールドシリーズ第1戦は、日本人ピッチャーが立ちはだかった!
ワールドシリーズ第1戦。ドジャースタジアムで開催。
ドジャースは、1回表にレッドソックスに1点献上し、その裏の攻撃。
マウンドには大岩彰吾。188cm112キロの大柄な体格から、速球、スライダー、カーブ、スプリット、シンカーを投げる右の本格派。
橘周は、カウント2-2から、完全にタイミングを外されて空振り三振。
「なんだ、今のは?データに無かったぞ!」
大岩投手は、落ちる無回転系の球種は、スプリットだけとの認識だった。
スプリットなら150キロ弱だが、今のは127キロで、バッターの手元では
もっとだいぶ遅くなるので、ギャップが大きい。
その後ベンチで動画を見た。
「パームボール!この日のために隠してたのか?」
橘周としては、初めて体感するパームボール。
パームボールは、手のひらで押し出して投げるボールで、バッターの手元でフワッと落ちる。投げる難易度は、チェンジアップよりは高く、ナックルよりは低い球種。
ただチェンジアップは落ちずに遅いだけになりがちだが、パームボールはその点は制御しやすい。また指先を使わない分ケガの心配が少ないメリットがある。しかし落ち幅は大きくなく、難易度高めなので、扱うピッチャーが少ない。
次のバッターであるライダー・ゴールドもパームボールで空振りを取られた後、内野ゴロに終わった。
大岩彰吾は、このパームボールを橘周とライダー・ゴールド対戦用として、密かに練習していた。元々少しは投げられたが、試合ではほとんど使っていなかったのを、今回練習して磨いて実践で使うまでになった。
橘周は、2打席目も苦戦。スプリット、パームボール、スプリットで追い込まれた後、外角のバックドアになるスライダーを見送って三振!
2種類の落ちる球種に気を取られて、曲がるボールについていけなかった。
実際、高速のスプリットと遅めの無回転系の落ちる球種を投げわけ、しかもどちらも決め球になるレベルのピッチャーはなかなかいない。
ちなみに弟の橘壮太郎は、時々スプリットとチェンジアップの両方を、効果的に使う時があるが、スプリットが苦手なので、両方うまく操れる日は少ないのが現状だ。
橘周「いやー、やられた。未知のピッチングだ」
ライダー・ゴールド「ストレートも速いし、難しいピッチャーだ」
橘周「でもパームボール2球見たから、次はなんとかしてみせる」
ライダー・ゴールド「頼むよ。俺もどうにか・・・」
橘周の第3打席。
ここでは、初球ストレートの次に、緩いカーブを混ぜてきた。3球目のインコース寄りスプリットを捉える。打球はなんとか三遊間を抜けてレフト前ヒット。「渋いヒットだが、これでちょっと楽になった」とほっとした。
大岩彰吾は、7回1失点と好投してマウンドを降りた。
橘周の第4打席は右打席で、左中間ツーベースヒット。4打数2安打1盗塁と活躍したが、試合は、1-6で完敗となった。
試合後
高井「今日はパームボールにやられたな」
橘周「他のボールも良かった上にパームボールでしたからね。
まあやられました」
高井「第5戦でまた出てきそうだけど、次は打てる?」
橘周「ええ、俺とライダーで2発ずつ(笑)。でも次は仕留めますよ!」
まだ始まったばかり。第2戦に向けて相手先発ピッチャーの研究だ。




