第240話:真のヒーローはやっぱり違う
ドジャースタジアムでの5戦目。ドジャースは大手をかけている。
追い込まれているメッツは、惜しげもなくエース級を投入してくる。
試合が始まる。
1点リードされて1アウト2塁で橘周の3打席目で、マウンドには2人目の先発投手。
2塁には俊足のジャックス・ハーランがいる。
浅目に守っていたレフトの右横に痛烈なライナー。レフトは1点のリードを
守るためにスライディングキャッチを試みるも、後逸。
無情にもボールは点々と転がっていく。
この時点で、ドジャースタジアムはすぐさま熱狂に変わった。
そう、橘周の超絶ベースランニングとランニングホームランを見たいからだ。
期待通り、橘周は、ぐんぐんと加速し、例のオリンピック陸上短距離選手の
ような大きくてスムーズなストライドで、あっという間にセカンドベースを
蹴って前に突き進む。
「ウオーーーっ」という大歓声で何も聞こえない。
当然のようにサードベースも蹴り、なおも加速し続ける。
ベースランニング史上最速の男は、最後は、長い距離の高速スライディングで締めくくった。
こうして、ポストシーズンの大事な場面でもランニングホームランを達成!!
興奮し過ぎて酸欠状態のファンが続出している。
その中には、橘周の妻であり、ハリウッドスターの「レイラ・ストーム」も混ざっている。アクションスターのレイラは、VIP席で興奮してバク転したいのを、ぐっとこらえた(笑)。
今年3度目のランニングホームランは、まるでマイケル・ジャクソンがムーンウォークを披露した時のような盛り上がりとなった。
相手チームはたまらない。威力のあるボディストレートを食らってうずくまるボクサーのようだ。5回に1点リードされただけなのに。
案の定その後ドジャースは、ソロホームラン3発含めて4点を追加した。
メッツの選手達は、橘周のランニングホームラン以降シュンとした感じで、元気なく敗退。先発投手を4人も投入して、執念は見せたものの、皆集中力をどこか欠いた状態だった。
これでドジャースは、ナ・リーグチャンピョンに輝き、ワールドシリーズ出場を決めた。
MVPには、印象あるプレーを幾度も見せた橘周が選ばれた。
ゴールド「ホームランよりランニングホームランが目立つのは、
ずるいぞ(笑)」
ハーラン「その通り。でも最後の最後まで加速できる身体能力とスタミナは、
シュウだけのものだから仕方ない」
橘周「いや、顔に出さないだけで、おじさん案外疲れるんだよ(笑)」
カスティーヨ「奥さんがレイラなんて相当ずるいよ。俺に俊足があれば、
もっとモテたのにさ(笑)。」
と、MVPをかっさらわれた選手達は、不満をもらしながら楽し気に笑っている。
監督のバークシャー
「さあ、これで予想通りワールドシリーズだ。体調整えて、チャンピョン目指すぞ!」




