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第20話:WBCアメリカ戦 ついにリミッター外して全力勝負だ!!

WBCアメリカラウンド1戦目が、ドジャースタジアムで日本vsアメリカ

橘周が、その先発マウンドに上がった。


「思えば、小さい頃からの色々なスポーツ、トランポリン、空手、ダンス、陸上も、今ここに立つためにあったのかもしれない。今日は壊れてもいいから全力だ!」と今まで考えたことも無いことが頭に浮かんだ。


実況

「橘周が投球練習を開始します。日本では今ひとつ調子が上がりませんでしたが、生まれ育ったロスに到着してから上向きなようです。昨日はストレートのキレが戻ってきたと首脳陣も言っていました。


ロスのテレビでも橘周特集が組まれたようです。アメリカ育ちで、中学では日本に渡り、高校2年の時にはアメリカでダンス大会荒らしをしたことや、大学の陸上で好成績だったこと、さらには就職して投球フォームをアンダースローに変更して開花したこと等非常に興味を持たれているようです」


「そのようですね。アメリカでは左のアンダースローが、メジャーで通用する派と通用しない派に分かれていると聞いています。地上スレスレから投げるサウスポーのピッチャーはアメリカにもまずいないと思いますし、未知の選手ということですね。通用しない派は、橘周の高めのストレートが150キロ前後だから、160キロのストレートに慣れているメジャーのバッターは打てるだろうというものです。」

「さあ、通用するかしないか、ある意味今日判明することになりそうです」


橘周は、アンダースローに変わって初のアメリカ上陸になるが、実はアメリカに来て自信が増していた。まず縫い目が大きいWBC用の公式球を使うと、ストレートの浮き上がる幅が増すし、シンカーやツーシームの落差も増していたからだ。だから大舞台でも緊張をワクワク感が大きく上回っていたのだ。


さあ試合開始。

「初球外角低めストレート。打者がちょっとビックリしてましたね」

「地を這う軌道とキレの良さにビックリしたのでしょう」

「2球目は空振り。落差の大きいシンカーでした」

「これも打者はビックリしてましたね(笑)。真下にガクッと落ちるシンカーも全く見慣れないボールでしょうね」

「3球目。高めストレート。空振り。幸先よく3球三振です。これも打者はあっけにとられていました」

「なんか15センチ以上ホップしていましたね。日本ではホップすると言っても5センチ程度ですが、今日は向かい風もあるし、ボールの違いの影響もあるでしょう。明らかに面食らった顔してました。」


アメリカでベールを抜いた下から上への軌道で、さらに打者の手元でホップしながらキャッチャーミットに突き刺さるストレートに、一部の観客が騒がしくなった。バックネット裏や一塁側からはその軌道が見えたのだ。


右バッター続いて今日のスタメンに2人しかいない左打者。初球カットボールでストライク。

「2球目は中途半端な空振り」

「今のは真ん中と思って振りにいったらインハイだったということで、ビックリしてますね、橘周のストレートはホップするだけでなく、シュート成分もありますから、初めてではまず打てませんね」

「続いて、抜いたボールで見逃し三振。チェンジアップですか?」

「そうだと思います。インハイで脅しておいてのチェンジアップはノーマークでしたでしょう」


3番打者は昨シーズンのホームラン王だ。

「初球はシンカー 空振り」

「2球目高めストレート 空振り」

「3球目 また高めストレートで三振。これで三者三球三振!」


球場全体が揺れるような歓声だ!

「高めストレート続けましたね」

「2球目はストライクゾーンで3球目は高めに外れるボールでしたが、意地になって振りにいって、かなりバットとボールが離れていました。最後のボール20センチほど浮き上がったように見えました。打者からすると本当に未知との遭遇ですね」


高めストレートを捨ててくる(=振らない作戦)かもしれないと、橘周は若干心配していたが、さすがメジャーリーガーのプライドか、ブンブン振ってきた。しかし、アッパースイング気味の打者が多いメジャーリーガーは、全く合っていない。


そう、松山坊ちゃんスタジアムでベールを抜いた時のように、メジャーリーガーのスーパースター軍団を三者三球三振に切って取る、驚愕の全米デビューだ。


3回まで打者9人に対して8三振。3回から独特の落ちるツーシームを交えての三者三振だった。ここで早くもスタンディングオベーションが起った。







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