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異世界に強制転移させられた上に国王になれといわれたので現代兵器を使って最強軍事国家を目指します。  作者: Tel


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03. 祖父の足跡

意識を取り戻したあと、魔女さんに事のあらましを話した。凛とのデート中に突然謎の男に刺されて意識を失ったこと。祖父が病に伏し、亡くなってから数十年経過していること。森に着いた時に謎の石碑に触ると力が抜けたことを話すとふむ。と相槌を打つ。


「おおまかな経緯は理解できました。それではこちらがお話する番ですね。結論からお話しますがキヨマサ。貴方は残念ながら亡くなっています」


「やはりあれは夢ではなかった……」


肩の力が抜ける。

喪失感と焦燥感。そして少しの歓喜。

学生時代、ハマっていたライトノベルを読み漁っていたときによく耳にする単語"異世界転生"の言葉がよぎる。

しかしその思いは一のごとく過ぎ去る。

1番頭の中を駆け巡るは愛しの妻。内藤凛のことだった。

彼女が学生時代のときに自身と出会いそのまま婚約。

議員時代もかなり苦労をかけた。

今年で齢35歳。しかもめでたいはずの誕生の日に死んでしまっては彼女の一生の枷になってしまうことは想像にかたくない。

 森で意識が目覚めた時には一縷の望みがあった。

事件のことは全て悪い夢で、酔いでもして森の中で迷子にでもなってしまったんだろう。そう自己完結していた。


「じゃあここは死後の世界ってことでしょうか…」


「いいえ、ここは貴方がいたニホンという世界とは別の異世界ということになります。あぁ、それとそちらでは魔法を扱える存在も人を襲う魔物もいないのでしたっけ」


 日本は正式的には世界ではなく国の名称なのだが…と思いつつ、魔女さんが空中から巨剣を取り出したことに僅かな衝撃を受ける。

どうやら俺は本当に魔法が当たり前に存在する世界に飛ばされてしまったらしい。魔物、というとあの大蜘蛛も該当するのだろう。よく考えるとあの大蜘蛛から生還したのは奇跡的だったのではないだろうか。


「ニホンというのは貴方の祖父。"マサオミ"から聞いています。魔法も魔物も存在せず、代わりにデンキ?が世の中を動かしていると。雷属性の魔法にすぐれた魔女は見たことがありますがそのようなことができるとは到底思えませんでした。大変興味深いです。行ってみたいです」


基本的に無表情な様子の魔女さんは日本にとても興味があるらしくふんすふんすと手を振り、目をキラキラさせてそんなことを言った。


「ちょ、ちょっと待ってください…ずっと気になっていたのですが貴女と祖父はどういったご関係で?」


興奮のあまり急に距離を詰めて来た俺に対して魔女さんはわわ、とビックリしたようで身を引いたが体勢を立て直し俺に告げた。


「貴方の祖父。マサオミは貴方同様亡くなってから、そちらでいうところの異世界。今まさに私たちがいる地に転生してきました。その後、私と出会い、その知識と技術で東の大国ミゼラブルの"王"に成り上がり、数年で他の国に引けを取らないほどの大国にした賢人です。そこから数十年という期間国を維持し続け、彼は天寿をまっとうし大勢の国民に惜しまれつつ安らかに永遠の眠りへとつきました」


「───」


驚きすぎて声も出ない。転生?王?

第1に俺の祖父は日本でなくなった時にはもう年齢的に後期高齢者だった。そんな祖父が国を守り抜いた英雄?人違いではないのか。じゃあ魔女さんは今一体何歳なんだ。と疑心たっぷり顔が表に出てしまっていた。

 それを見透かしたかのように魔女さんは立て続けに言い放つ。


「懐かしいです。私がマサオミと会ったのはもう数十年も前のことですから。あの時の私もひよっこで、ただの"魔女"。力も強くなく、ミゼラブルも昔のような強国は影も見えない弱小国でした。マサオミとちょうどこの森で出会い、協力をしてここまで成り上がった。気づけば彼は一国の主。私は魔女協会が認定する大陸に5人しかいない【ネームド】を冠する"正義"の魔女と呼ばれるようになっていました」


祖父との思い出を楽しそうに語る魔女さんは誇らしげだった。思わず笑みを浮かべてしまう俺だったが、疑念は晴れない。


「祖父が仮に、こちらの世界で活躍をしたとして…こっちで祖父が亡くなったのはおおよそ90を超えた老人でした。それがどうやって……」


と、聞くとキョトンとした顔で聞き返してきた。


「マサオミとこの森で出会ったとき、彼は貴方くらいの見た目でしたよ? 若々しい印象でした。人間年齢でいうところの30歳手前ほどでしょうか。あと、敬語はよしてください。昔のマサオミに似てる分なんかむず痒いので」


「えっ、、わ…わかった。」

 

どういうことだろう。突然の情報量に頭がパンクしそうになる。

まず俺は今45歳で控えめに言っても若くはないと思う。

シワも増えたし、最近自分の枕の臭いに嫌気がさしてきたところだ。

魔女さんがいうには祖父は若返っていることになるのだが……


「申し訳ない、鏡などはあるだろうか」


「ありますけど、何に使うのですか?」


そういうと魔女さんはローブの内ポケットから金属製の鏡面に花を模した額縁にはめられた可愛らしいプレートを寄越してきた。非常に女の子っぽい。意外だ。

などと考えていると魔女さんが なにか? と怪訝そうな顔で見てきたのでさっさと自分の顔をみることにする。


「若返っている……」


シワもなく、最近悩みの下顎のたるみも無い。

目元は若々しく、肌もツヤがあるように思う。

あきらかに若返っていた。

どうりで森で見た時、加齢による下っ腹が消え、彫像のような腹斜筋も。体の軽やかさもあったわけだ。


「そういえばマサオミも『体が軽い!若いって最高!』って時々奇声をあげてましたっけ。私は当時冷ややかな目で見ていましたが異世界に渡る際に体が再構築して若返ったのでしょうか。むむむ…研究のしがいがある題目ですね。転移魔法の応用にも…………」


と独り言を呟き、自分の世界に入ってしまった魔女さんを尻目に窓から見える庭に目を向けた。

凛は今大丈夫だろうか、と思いを馳せつつ今後のことを考える。

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