第4話「幼馴染」
俺には『幼馴染』と言える奴がいた。
母親から聞いた話によると、俺が初めてそいつと顔を合わせたのは、
2人が2歳のときだったらしい。
母親どうしの中が良かったから、2人が話すついでに話のネタとして連れてこられる、
そんな感じだったのだろう。
まさにありふれた幼馴染。 THE幼馴染である。
毎日のようにどちらかの家に集まって遊んだり、
幼稚園に入る前に2人して剣道のクラブに入ったり、
時々喧嘩をしてはすぐに仲直りをしたり。
親友と呼べる存在だったのだろう。
ましてや幼いころから人見知りだった俺にとっては、幼馴染というのはかけがえのない存在だったのだろう。
何せ、もしそいつすら失ってしまったのなら、俺には友達など一人も残らないのだから。
無論、幼いころの俺は、そこまで考えることなどできもしなかった。
「もし友達が友達ではなくなったら」そんなこと考えもしなかった。
しかしそれは、小学を卒業し、中学に上がってからも同じだった。
もともと好んで人付き合いをしようとしないから。
コミュニケーションを取ることを極端に恐れていたから。
俺は、人との付き合い方が分からなくなっていただけではなく、
唯一いた親友の大切ささえ、忘れてしまっていたのだ。
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そして俺は中学1年の秋を迎える。
俺は、十数年間も付き合った来た親友との関係を、一切迷うこともなくぶち壊した。
3年になって剣道部部長となったそいつに、幾度となく暴言を吐いたりもした。
もはや今となっては、
2歳で初めて出会い、その後の十数年間を共に生きてきたはずの幼馴染の、
顔すら思い出すことができない。




