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終焉の龍の卵  作者: レッドヴォルト
黒竜編
41/101

砂漠の女王

「ギチギチャァァ!」


大百足の口から岩が吐かれる。豪速球並の速さで飛んでくる岩を俺とギューリーは飛びながら避ける。大百足がその巨大に見合わないスピードで牙を広げながら突っ込んで来る。


『魔法の構築は私に任せろ!オメガは近接戦闘に集中しろ!』


ありがとう!そうさせてもらう!


「グォォォ!」


俺のテールスイングが奴の横顔にクリティカルヒットした。ガキンと俺の尻尾とぶつかり合った大百足が仰け反る。がら空きの胴体にギューリーが切り込む。だが腹も硬くあまり効いてない様だ。


『黒槍!ダークスフィア!竜鋏!』


アルファが魔法を、放ってくれたが黒槍とダークスフィアは打ち消されてしまった。だが奴の足元に2メートルはある竜の骨の顎が現れて足に食らいついた。一気に纏めて3本の足に噛みつき引きちぎった。


「ギチィ!?」


流石にあの高い防御力の甲殻でも細い足までカバー出来てなかったらしい。バラバラと大百足の足が地面に落ちる。


それに怒り狂った大百足が回転しながら突進して来たが飛んで回避した。だが少し掠っただけで鱗が割れた。


「グォォ!」


「ウオラァァ!」


ギューリーと俺の爪が大百足の甲殻に傷をつける。だが傷をつけただけで大したダメージは与えれてない。


『硬すぎだろ!』


「ギチァァァ!」


「グギャァ!?」


ロックブラストが飛んできた。咄嗟の行動で俺は翼を前に出して防ごうとしたが、翼膜が破られて激痛が走る。


そこに追い討ちで大顎を開きながら突っ込んで来る大百足の顎を痛みを我慢しながら咄嗟に掴む。そして火事場の馬鹿力で再生を使い意識が飛びそうな中、何とか翼を治して顎を蹴り距離をとった。死ぬかと思った。ガチでこの世界に来てから初めて本気で死ぬかと思った。


『防ごうとするな!回避に専念しろ!』


ギューリーも迫り来るロックブラストを避けている。だが俺は図体がデカいため被弾してしまう。当たる度に鱗が割れる。体がデカイのも考えものだな。


『ダーククロー!ファイアランス!』


「グォォ!」


ブレスと魔法を食らってもピンピンしてやがる。こいつを仕留めるには決定打が足りない。暗い閃光を使うのもありだがあれは最終手段だ。放ったらこっちも一溜りもない。


『封剣解放!』


ギューリーが封剣の力を使ったが肩で息をしている。無理もない。ついさっきも使ったんだ。こんな短時間で2度も使ったら体に負担が掛かるだろう。無理すんなギューリー!


『お前が体張ってんのに俺が体張らない理由がねえだろ!お前は俺のこと気にせずに戦いやがれ!』


そうさせてもらう!覚悟しろよ大百足!


「グラァァァァ!」


「ギリィィィ!」


俺は大百足にしがみつく。大暴れして俺を振り下ろそうとしてくる大百足の背中に噛みつく。何度も何度も牙を振り下ろした。打ち込む度に甲殻にヒビが入る。だが俺は投げ飛ばされて地面に鞭打つ様に落下した。投げ飛ばされた衝撃で牙が折れて歯肉から血が流れる。痛いが耐えられない訳ではない!まだ俺は戦えるぞぉ!


『その意気だ!ダートハンマー!ブラックアックス!』


土のハンマーと黒い斧がヒビの入った甲殻に飛んでいく。ハンマーが甲殻を砕き斧が肉に刺さる。



「ギリィ⁉︎ギィァァ!」


『危ねぇ⁉︎暴れるなこの糞虫!』


ギューリーが、割れた甲殻の上に乗り剣を振るう。その度に大百足が暴れる力が増し遂にギューリーも投げ飛ばされた。


『いってぇ⁉︎』


「グォォラァ!」


「ギチギチ・・・ギチャァァ!」


負けると思ったのか大百足は大回転しながらこっちへ突っ込んで来た。頭から尻尾まで使い駒の様に回転しながら突っ込んでくる。避ける時間はない。受けるしかない!耐えれるか?いや耐えるだ!


「グォォォォォ!」


俺は拳に暗い閃光を纏わせて振りかぶる。幸運にも俺の拳は割れた甲殻に直撃した。拳に肉を抉る感触、鼻に来る泥臭い強烈な臭い、顔に生暖かい緑色の返り血が俺に掛かった。


「ギチャァァ!」


大百足は吹っ飛び2回ほどバウンドして荒ぶりながらこっちを睨みつけてきた。流石に効いただろう。これで見た目以上にダメージ全く通ってませんでしたとかだったらお手上げだ。


(クイーングラトニーセンチピード)

状態異常 出血(中) 毒(小) 錯乱(小)

HP483/1040

MP324/608


やった!半分以上削れている!それに小だが毒と錯乱も入っている。このまま順調に行けば勝てるぞ!


「ギリィィィ!」


「ピィィ!」


「ピュィィ!」


大百足がウネウネと体を揺すると足の下から1メートル程の大きさの子百足が這い出して来た。数は少ないが居たら厄介だ。ブレスで処理させてもらおう。そう思いブレスを吐こうとした瞬間、俺は目を疑った。


子百足が傷ついた大百足の口に飛び込んで行った。そして口に入った子百足を、容赦なく噛み砕き貪り食うその姿に度肝を抜かれた。それと同時に大百足の体の傷が回復していく。おいおい!まさか固有スキルの食回復かよ!産卵があったし少し嫌な予感はしてたけどよ!子供食いやがった!まあグラトニーセンチピードも兄弟食ってたし虫じゃ普通なのか?


(クイーングラトニーセンチピード)

状態異常 毒(小) 錯乱(小)

HP863/1040

MP24/608


HPが結構回復されちまってる。でもMPがもうほぼない。もう産卵と食回復のコンボは使用できない事を祈ろう。


『オメガお前抑え込めるか?』


アルファか?抑え込めるって何を・・・あれか。


『闘争心をお前がもし抑え込めるならお前が戦った方が良い。それにギューリーの手助けもないと絶対に勝てない相手だ。やるしか選択肢はねぇぞ』


やってみるよ。やるしかねぇもんな。それじゃ行くぞ!闘争心ON!全力で叩き潰してやるよ!


「グォォォ!」


恐ろしく獰猛な竜の雄叫び砂漠の真ん中で木霊した。

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