92いじめてベートーヴェン
いつも感想ありがとう!!!!!
すんすん。
ぺろ。
かぷ。
ごくり。
ワインレッドを咥えたユリカはその興奮と背徳感に身体と脳を支配される。
「ユリカちゃん……」
振り返るとそこにはイヴの姿。
ドン引きして青ざめると引き攣った顔をしている。
(あぁ、その顔……その顔が見たかったの……)
冷たすぎる視線は研ぎ澄まされた刀のように刺さる。
「何……してるの?」
もっと怒られたい。もっとその視線を浴びたい。もっと鋭利な言葉で斬られたい。
「イヴさんの……イヴさんの匂いが……嗅ぎたくて……」
「き、」
(あぁ)
「気持ち悪っっ」
最も求めていた言葉で斬られる。
「あぁ……」
「え、何で笑ってんの……? え、ユリカちゃん変態なの……?」
「はい……ユリカは変態です。イヴさんの脱いだモノを顔にこすりつけて匂いを嗅いじゃうド変態です」
「うわ、自分で言ってるよ……最低。最低すぎる」
「はい、ユリカは最低です。ユリカは最低なんです」
「最低。変態。もうそれ着れないじゃん。どうしてくれるの?」
「ごめんなさい……イヴさんが言ってくれればなんだってします」
「なんでもって言ったよね……」
「はい。なんでも命令してください。なんでも……」
イヴの足がユリカの身体をその場に押し倒す。
床に寝転がったユリカの上にはイヴが氷結した視線を下しながら、その御御足を顔へと持っていく。
「最低。命令しろって言いながら喜んでるじゃん。バカなの?」
「ユリカはバカです。だから躾が必要なんです」
「ほんっとにゴミだねユリカちゃんは。なんでも言うことを聞くの? じゃぁ、この足舐めてよ」
「はい……イヴさん」
「違うでしょ」
ため息と視線が刺さる。
なんて言えばいいのかなんて分かっている。
「はい、ご主人様……」
つたない舌でイヴの足先を舐める。
指と指の間を、足裏を。丁寧に丁寧に舐める。
もうむしゃぶりつきたい気持ちのユリカは両手でイヴの足を掴むと、いくらだって舌を伸ばす。
「最低。人の足舐めて喜ぶとか」
「最低なんです。ユリカは最低の雌豚なんです。だから、イヴさんもっと躾けてください。いけないユリカを教育してください」
「……立ちな」
ご主人様に言われて、ユリカは立ち上がる。
イヴはいつの間にか手に首輪と鎖を持っていて、ユリカの首に犬ようの太い首輪を巻くと鎖で繋いだ。
「ご主人様」
「いい? ユリカちゃんは今から私の犬だから。奴隷以下の存在だから」
「はい、ご主人様」
「私のことだけを考えて、私のためだけに奉仕して、私のことだけ見ていなさい」
「もちろんです。ご主人様」
「そう、なら――誓いのキスをして」
「は、はい」
目を閉じて唇と突き出すと、イヴがグイと首輪を引く。
「違うでしょう。ワンちゃんなんだから嬉しいときは舌を出して喜ぶものでしょ。舌を出したままキスして」
「は、はい……イケないクズわんこでごめんなさい……」
「じゃぁ、もう一度」
「ご主人様……」
妄想終わり。
目の前にはそんな妄想とはかけ離れた現実がある。
届けられた寿司をつつく三人。
イヴは機嫌良さそうに寿司を口に運び、イヴの祖父は茹蛸になりながらビールを煽る。
「んがっはっは!! お嬢ちゃんもたんど食えよ!」
「ありがとうございます……」
「ユリカちゃんマジで遠慮しなくていいからな。どうせジジイの金だから」
「んだんだ! どうせパチンコの金だ! 好きなだけ食ぇ食ぇ!!!」
ため息が出そうだけど、ため息をするのは失礼だから胸の内で吐く。
現実では代わりに中トロの寿司を口に運ぶ。美味しい。
チラリ廊下の向こうにある脱衣所の扉を見る。
扉の向こうからは洗濯機の回る音がする――ゴウンゴウンという音は、まるで絶望が音になったようだ。
洗濯機の音が、まるでベートーヴェンの悲壮のように耳に残る。
悲しく、でも凛々しき曲。
あの中でワインレッドが回り、洗われ、美しくなる。そう思うとほろり涙が出そうだ。
寿司を食い尽くしたイヴは満足そうに腹を叩くと、今度は持ってきたお菓子袋を手にする。
「ユリカちゃん部屋いこうぜ」
「あ、はい。ご馳走様でした」
「あいよー。ジュースもあっがら、持っていぎな」
「ありがとうございます。ご馳走様です」
お菓子とジュースを持ってイヴの部屋へ。
以前と変わらぬシンプルな部屋。
ベッドとトレーニング道具くらいしかない部屋。
でも、イヴでいっぱいの部屋。
「俺の部屋何もないからさ。こっちおいで」
ベッドに腰掛けると、イヴは足を開いて出来た空間に来いとベッドを叩く。
「はい」
イヴの足の間に腰を下ろすと、イヴが後ろから抱きしめてくる。
「あぁーいい匂い。しかもやわらけー」
(え? なんで急に? え?)
いきなりの展開にユリカは戸惑う。戸惑いながらも喜ぶ。
先ほどまでのベートーヴェンが。
悲壮だったベートーヴェンが。
今。
歓喜の歌に変わる。
「ユリカちゃんは可愛いなぁ」
歌えよ観衆。
歌え歓喜の歌を。
ユリカの脳内オーケストラが始まる。
「え、な、なんですか急に!」
「いやー、俺にも今度妹が出来るんだよ。だからさ」
「そ、そうなんですね……」
「ユリカちゃんみたいに可愛い妹になるといいなぁ」
ユリカちゃん、可愛い。
ユリカちゃん、可愛い。
ユリカちゃん、可愛い。
脳内のオーケストラが最高潮を迎える。
「そ、そんな可愛いだなんて」
「ユリカちゃん可愛いよ。よしよし」
なんて。
なんて。
言いながら。
頭を。
撫でないで。
「そんな……」
「あぁー、ユリカちゃん可愛いわー。好きだわー」
抱き合おう、百合の人々よ!
この口づけを百合の花園に!
姉妹よ、この白百合の上に!
聖なる女神が住みたもうはず!
ベートーヴェンは何故耳が聞こえないにも関わらず、あのような曲が書けたのか。
ユリカには分かった気がしていた。
ポイントを!!!!下からお願いします!!!!!
あと一言でもいいので!!!!
感想が!!!!
ほちいです!!!
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