45シボウ遊戯
脱ぎながら、何故と問う。
それは相手も同じようである。
凛も綾香も、互いに会話はない。
どちらもイヴとの入浴を希望していた。
当然のこと――前回も同じ組み合わせであった。
次こそは、次こそはと願うのは至極当然のことである。
なのに。
「はああああああああああああああ(クソでかため息)なんでまたロリビッチとなんだろう……」
「はああああああああああああああ(絶望&苦痛以外のなにものでもないため息)なんでおかっぱと裸の付き合いしなきゃならないのかな」
どこまでも二人は同じ気持ち。
ただそれは残念ながら同じ苦痛を味わうという意味合いである。
ふと、綾香は脱衣所のあるものへと視線が注がれる。
そして、凛も綾香がみたのとは別のものへと視線が注がれる。
(こ、これは――!!!!!)
綾香が目にしたもの。
それは最新式の体重測定器である。
体重を図るだけではない。年齢、身長などを入力することで体脂肪率、BMIでさえ測定することが出来る。
「ねぇ、凛さん」
「なに」
「これ……測ってみない???」
「そ、それは――!!!」
(最新式体重測定器!?)
ゴゴゴゴゴゴゴ――。
「凛さん……どうですか……?」
その綾香の顔は――すでに凛に挑戦状をたたきつけている表情だ。
(こ、こいつ……! イーちゃんと入浴できなかったからって、あたしに憂さ晴らしを!!!!!!)
キッと顔を険しくする凛。
惨すぎる争い。誰も得をしない争い。脂肪で脂肪を洗う戦い。
即ち――。
どちらがデブであるか確かめる聖戦ッッッ!!!
思いもよらぬ戦いの火蓋が切られる。
(でも――これは凛が圧倒的に有利! 何故なら――!)
その身長に於いてであるが、凛は綾香よりも低い。
イヴ、綾香、千鶴、凛。
その四人を並べたとき、一番小さいのは凛である。
その幼児的な身長の低さから見ても、凛は綾香に勝てる自信がある。
(こいつ、フフ……自ら自爆しにきたわ♡ いいでしょう、綾香ちゃん! あなたのその脂肪さ、思い知るがいいわ!!!)
ちょこん。
凛が先に体重計に乗る。
現れた、その数値は――
48kg
凛の持つ身長と年齢と考えれば、平均的な数値よりも下回る数値である。
しかし。
(えっ、あたしの体重そんなにあったっけ!?!??!!?!)
衝撃であった。
ここしばらく凛は体重を測ってはいなかった。
さらにいえばその読書好きや作家を目指す執筆作業から、運動らしい運動もなく――。
凛は以前の体型よりも脂肪っていた。
示された体重に震える凛。
(やばい、このままじゃ、綾香ちゃんに……!!!)
綾香の方を見る。
その顔は――邪悪な笑みに汚れている。
(!)
「この勝負――……」
綾香が、体重計に乗る。
「私の勝ちだ!!!!!!!!!!!!」
勝利宣言。
綾香はまだ数値が示されていないにも関わらず勝利の雄たけびをあげる。
上昇していく数値、震えながら体重計を見る凛。
示された数値は――。
40kg。
(あたしよりも8キロも軽いだと!?!!???!?!?!?!?!?!?!?!?!??)
「ハッハッハッハッハー!!!!!!! 見たかロリビッチ!!!!!!!!!!」
その差、8kg。
圧倒的差をつけて、綾香の勝利が決定している。
(私は運動が出来ない――……だが! お前らみたいにしょっちゅうお菓子食べたり、ごはん食べてるわけじゃないんだよ!!!!)
綾香のその食生活は――偏っていた。
朝は、コーヒーのみ。
昼は母の作ったお弁当。
そして、夜。米などは食べず、綾香はそのほとんどをオカズしか食べない生活を送っていた。
栄養バランス、必要な栄養素、そんなものはまるで考えられていない食生活。
故――40kg。
「そんな! あたしが……あたしが綾香ちゃんよりもそんなに重いなんて!!!!! 嘘だ!!!!!!!!」
「嘘ォ!?!?!? 何が嘘だっていうんだ!!!! この体重計は最新式のもの!!!! 凛さんだって分かっているだろう!!!!」
その黒く傷一つないボディは、まさしく最新式のものである。
「そんな、そんなバカなああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「今日からお前はロリビッチじゃぁない!!!!! 今日からお前はデブビッチなんだよぉ!!11 凛さぁあああああああん!!!11」
悪魔の笑い声が響く。
惨い笑い声、相手をあざけ笑う声。
なのに。
「クックック……ククククク……綾香ちゃんはおばかねぇ!!!1♡♡♡」
(!?)
勝ったはず。確実に勝利したはずなのに、凛は綾香に負けぬ声で叫んだ。
その目は死んではいない。むしろ生き返るような闘志全開の眼差しをしている。
(な、何故だ!? 何故、凛さんは死なない!!!! それにこの気迫……何故こんな気迫が!?!?!)
綾香には理解できなかった。
完全勝利のはず。完璧な勝利であるはずなのに、目の前の凛は高らかに笑っている。
「な、なぜそんなに笑えるの!」
「くっくっく……綾香ちゃん、とてもシンプルな……とてもシンプルな質問を一つしてもいいかなぁ???♡♡♡」
魔女のような、まるでサキュバスのような妖艶な笑みが目の前にゴリ押ししてくる。
「な、なに……!? 何を聞きたいの!」
「フフ、とてもシンプルな質問よ♡♡♡ そう、たったの一文字で答えられるシンプルな答え……ククク」
瞬間、綾香は青ざめる。
そう、綾香が体重計を見ていたとき、凛が見ていたのは――
ブラジャー!!!!!
「ま、まさか……」
「さぁ、質問です♡ 綾香ちゃん♡ あなた……ブラのサイズはいくつ???♡♡♡」
(…………!!!!)
その心臓は――その思考は――凛の悪魔の手で握りつぶされる。
「え、え、え、え、えーと……C……かな」
滝汗。泳ぐ視線。
「C、間違いない?♡」
「う、う、う、う、う、うん……」
滝汗。
「あらぁ?♡ おかしいなぁ、ここに……凛の手には今、4つのブラがあります」
「!」
「ちょっと……拝借してしまいまして……クク……ほら、ブラにはサイズが書いてあるでしょう……?♡」
一つ、凛は読み上げる。
「これはF65……つまりイーちゃんのブラ♡」
綾香の鼓動が速くなる。
「こっちは……D70……ちーちゃんのだね♡」
もう綾香の息は途切れそうだ。
「こっちはさっき凛が脱いだもの……E75♡」
(や、やめろ……! やめてくれ……)
「そしてこれは……あらぁ? おかしいなぁ? これはA65ってなってるの♡」
「あわわ……あわわわわ!!!」
「おかしいねぇ♡ 綾香ちゃんはCって言ったのにねぇ、今この脱衣所にCのブラはひとつもないの♡」
「ああ………あああ……ああああああ……」
「綾香ちゃんが脱いだブラはどこにいっちゃったのかなぁ♡ ねぇ、あ・や・か・ちゃ・ん♡♡♡」
脂肪マウントを取ったはずの綾香が、口から泡を吐き出すと今にも卒倒しそうである。
問い詰められ、ついてしまった嘘。
その嘘すら、きっと凛は予想の範囲内であったのだろう。
A65のブラを手に、凛が詰め寄る。
「これはぁ♡ 誰のブラジャーなのかなぁ?♡」
「あああ、あううううう」
「いいよ♡ 体重は凛の負けで♡ でも」
やめてくれ。やめてくれと綾香はすがる思いだ。
勝利していたつもりが、いつの間にか敗北している。
体重差8kg。
しかし、その極端な食生活と運動不足の身体はあるべきものをつけずに成長している。
脂肪。
その痩せ気味の身体には脂肪がない。
悪く言えば貧弱体形。悪く言えばつるぺた。
「ちーちゃんのD……」
「ぐぅ!」
その言葉はナイフより鋭利。
「凛のE……」
「はう!」
その言葉は銃弾より貫く。
「イーちゃんのF……」
「ぐほぁあ!」
その言葉は13階段のように。
「Aは……」
(言わないでくれ――……)
「綾香ちゃん!!!!! このA65はあなたのものでしょぉ!!!♡♡♡」
「ぎいやあああああああああああ!!!!」
膝をついて倒れる。
そう、綾香は――綾香は、四人の中で誰よりも脂肪がない。
そう――、
誰よりもつるぺたなのであるッッッ!!!!
失神した綾香はビクビクと痙攣している。
勝利の笑顔を浮かべ、凛はA65のブラを綾香の顔に落とした。
「フフフ♡ 綾香ちゃん、あなたがC? とんだ笑わせものね」
「……」
「これで引き分け♡ さぁ、お風呂に入りましょう♡ Aの綾香ちゃん♡」
倒れた綾香の足を掴み、引きずって浴室へと消える凛。
(来世……来世があるのなら)
崩れ行く意識の中、綾香は思う。
(神様、どうか私にE以上の乳をお授けください)
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