第四十話 乱立
遠くから花火が空に打ちあがり、その音で今日も岡崎清龍は宿屋の一角で目を覚ます。
カーテンを開け窓からメインストリートを見ると朝も早くから広告を配る人達が目に入る。そんな中、1枚の広告が風に乗って舞い上がり清龍の部屋に飛び込んでくる。
清龍はその広告を拾い上げると記事に目を通した。
広告にはこう書いてあった――。
本日7日『ダイア』新装開店!! ジャンジャンバリバリ本日出玉大放出!!
新台『魔導少女サヤ2』20台導入!!
店長も驚愕な出玉に酔いしれろ!!
そんな記事を見て清龍はため息を吐くともう一度外に広告を配る人達を見る。
広告を配る人達は全て『魔導遊技機専門店』を謳う店に雇われた者達だ。
その中でも配っているのは『ダイア』の系列店ばかりである。あの店を作ったタルスラ伯爵は『ダイア』のグランドオープンから始まる連日の盛況ぶりとその利益に味をしめ、直ぐに系列店舗を建てはじめたのだ。王都には現在『ダイア』の他、『ガナム』、『ダルハ』、『ガラク』等3店舗以上の店がオープンしている。
清龍のため息の原因の一つだ。
清龍は現在魔導遊技機ギルドに席を置き、Sランクプロとして登録されている。その為にタルスラ伯爵からも名指しの依頼がかなりの頻度で来るのだ。
そして、その内容が酷い――。
出玉のアピールを依頼された時は当日抽選している人より早く入場させられ、指定の席に着かされた。そして周囲の台が全く出てない中で自分の台だけ当たりまくる。それを店全体が出ている様にアピールしろと言うのだ。
他の依頼では明らかに低設定な台を打つように依頼され、それで出てないのを高設定だけど自分のヒキが弱かったというように強要されたりもした。
そんな依頼ばかりが飛び込んできて、なおかつ伯爵という身分を振りかざされ断ることも出来ない。冒険者ギルド並みに魔導遊技機ギルドが大きくなれば断ることもできるだろうが……立ち上がってから数カ月のギルド等後援者も少ないために厳しいのだ。前に後援者の一覧を見たが数名しか記載されていなかった。その中には『ハデス』のオーナーらしき人の名前もあったが、貴族でも無い一店舗のオーナーでは話にならないだろう……。
清龍はため息をもう一つ吐き出すと身支度を整えて魔導遊技機ギルドへと向かったのだった。今日は依頼が『ダイア』のタルスラ伯爵からでなく、『ハデス』のアルゼリオ店長から来ていないかなと淡い期待を抱きながら――。
案の定、魔導遊技機ギルドに着いて受付に話しかけるとタルスラ伯爵からの指名依頼が入っていた。『ダイア』の新装開店を『龍とアリスの連れスロ!』で紹介してほしいのだという。巻き込んでしまうアリスに対し罪悪感に苛まれながら清龍は受付嬢に依頼承諾の旨を伝えるのだった。
そして『ダイア』の開店時間と同時に番組の収録が始まった。
『今日も見てくれてありがと~! 龍とアリスの連れスロ! はっじまるよ~』
天真爛漫なアリスが話始まるが清龍の気は重く胃が痛い。
今日の依頼は新台で導入された魔導少女サヤ2の出玉をアピールすることだ。
まだそれならばいい、これが『ハデス』なら一般入場に合わせて抽選をして台が取れなかったらまた別の台の紹介をしてと言われるところだが『ダイア』は違う。先に収録用の席が確保されているのだ。そして清龍が聞かされているのは収録用の2台だけ設定6、他の台は設定1という事。つまり事故でも起きない限りほぼほぼこの20台ある新台の中で出ているのは収録用の台だけになってしまう。つまり針のむしろだ。
3時間も経つと出玉が徐々に増えていきメダルを箱に入れ始める2人。横でアリスは楽しそうにはしゃぎながら台の解説をしている。何も知らないという事がこんなにも素晴らしい事なんてと思いつつ感情を押し殺して清龍は箱にメダルを詰める。当たることが時として苦痛になるなんて……。
『清龍さん見てください!! この画面って設定6確定画面じゃなかったですか!?』
依頼をしてきたタルスラ伯爵には良い展開なのだろうが、清龍はアリスにうるさい黙れと言いたかった。出ている台はこの2台だけ、そして周囲は負のオーラが溢れ何とも言えない表情や目でこちらをずっと見ているのだ。お通夜と結婚式の部屋が隣になってしまったレベルでアリスと周囲とのテンションの差が激しい。頼むからアリスそんなキラキラした目を向けて俺に話しかけるな。
そして『ダイア』閉店後依頼者のタルスラ伯爵に呼ばれた清龍とアリスは望む結果以上に宣伝が出来たという話で追加ボーナスを頂いていた。
「ブホホホホホ、また頼むよ2人とも」
「わ!! こんなにたくさんのお金いいんですか? 是非またやらせていただきます!!」
煩いアリス勝手に引き受けるな。
そんなことをアリスに思いながらも清龍の口は本心と違う事を話しだす。
「伯爵様、また是非ご依頼ください。私たちで良ければ『ダイア』をアピールするお手伝いをさせて頂きます」
こうして岡崎清龍はストレスでやつれていくことになるのであった。
『ハデス』から依頼……こないかなぁ……。
間が空きまして申し訳ありません。
世間は5.9号機から6号機にシフトしようとしていますが、有利区間の出玉規制がさらに厳しくなりパチスロは下火になってきそうな気もします。
ただ、先週導入された6号機を打った個人的な感想だと出玉が早くなったので5.9号機よりは楽しめるかもと思いました。
11月中旬に出る6号機のある新台を期待しつつ、11月後半にユニバカサミフェスを楽しんでこようと思います。




