『女連れの煌屋化王子』
試合直前
テレビカメラまである。
黒峰は完全に雰囲気に飲まれていた。
緊張で足がガクガク震える。
(あ、これは負けるな)
プレッシャーきつい
えっぷ・・・吐きそうだ
それに比べて
相手の煌屋化王子は
カメラの前でも堂々としている。
綺麗な女子達が応援席から王子に差し入れをする。
「私の彼氏として頑張ってね」
「え、何言ってるの彼と付き合ってるのは私なんだけど?」
「・・・そんな私は?」
「王子君どういうこと」
突如の修羅場にも王子は慌てない。
「?」
「逆に・・・わからないんだけど」
「え?」
「みんなボクの彼女になればいい・・・どこか間違ってる?」
はっと気づく。
そうだ、王子君レベルの男子ならばそれが普通なのだと
彼女たちは思い込む。
「「「間違って・・・ないです」」」
うっとりと羨望のまなざしを向ける彼女達
冷静になればただの浮気男だが、
彼女達は完全に王子の虜だった。
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月間サービスエース、テニス雑誌の記者
は試合前に隣の後輩と談笑していた。
「9割王子君の勝利かな?」
「はは、そんな賭け事は、いけませんよ」
「そういうなよ、つまんねー仕事なんだから」
・・・
ふーん、あれが中央高校の黒峰周吾か・・・
・・・
なんだあの高校生・・・
心の奥底が、
恐怖でおののく様なような怒りの波動
この世のすべての闇を体現したかのような目の濁り
怖い・・・怖い怖い怖い
・・・
・・・ぱい
・・・センパイ?・・・どうしたんスか?・・・
すごい汗ですよ?
ふと我に帰る。
ああ・・・すまん
前言撤回だ。
この勝負どうなるかわからん・・・
いや・・・もしかしたら・・・