血清の鬼人19
[ザー・・・ザ、ザー・・・キミに・・頼るのは・・みの端くれとして・・かと思うが・・・]
[気合いでがん・・ってくれ、ザ、ザー・・・プツンッ]
なんか応援された。雑音でよく聞こえなかったが、気合いで頑張れって・・・何だよ。
朝起きると俺は進化した。
背丈は大して変わらなかったが身体に程よく筋肉がつき、身体能力が飛躍的に伸びた。
後は背中の羽が翼になった。グレードアップだ。今回なら飛べそうな気がする。
ちなみに翼は折たためば、普通に服の下に隠せる。
そして進化して得た新たなスキル【血の特殊者】が強かった。
俺は血に関してはスペシャリストになったと思う。
まず、他人の血を自分のものに変えられるようになり、分身を作る時に血不足に悩まされる事がなくなった。
あと血を遠隔操作できるようになった。
支配に置いた血は必要に応じて身を守る盾に、時には剣に形を変えて相手に猛威をふるう。
血が多く流れるであろう対多数の戦いでは、ほぼ無敵と言えるのではないだろうか。
とりあえず昨日殺した盗賊を食べて腹を満たして、新しく得たチカラを試すためにゴロツキAは置いていき、一人でダンジョンに潜ることにする。
[【職業・盗賊】を獲得した]
[スキル【盗賊の極意】【スリ】【悪意の塊】を獲得した]
傀儡龍がいるエリアボスの部屋までは、作り出した血剣で出てくるモンスターを倒しながら最短で行く。
モンスターを殺すたびにその数を増やす血剣は、エリアボスに挑む時には13本の剣が俺の周りに浮かんでいた。
エリアボスは一度勝ったから戦わなくてもいいらしいが、どのくらい強くなったか調べるには丁度いい相手だ。
部屋に入ると前回と同様に現れる“傀儡龍”。
傀儡龍は身体をうねらせながら襲ってくる。
俺は13本の血剣を重ね合わせて1本の大きな血剣を作り出す。
繰り出した大血剣の斬撃は傀儡龍の開かれた口から尾びれまで斬り裂いて胴体を真っ二つにした。
傀儡龍を斬り裂いた大血剣は元の大きさに分裂させて、操っていたビッグ傀儡師パペッターも四方八方から串刺しにした。
[フィールドボス“ビッグ傀儡師パペッター”を討伐に成功しました]
[攻略者には討伐報酬として“糸斬剣”が贈られました]
報酬が前回と変わったな。まあ、俺は剣を使うので糸斬剣がもらえるのは嬉しい。