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捜査開始とギブアップ。

結局、エルさんの作戦をざっくりと却下して私、アルトさん、エルさんの三人で軽く見回りに行くことになった。ぐだぐだ考えずにとりあえず動いて行こうと言う訳だったのだけど……


「エルさん、この辺なんですか?人通りの少ない所ですね。」

「犯人の行動範囲から人通りの少ない所を選んだからねぇ~」

「どうでもいいがエル……」


私とエルさんは馬車からフラフラと降りたアルトさんの方を見て言った。


「なんですか、アルトさん?」

「なんだいアルト?」


「なんで俺はこんな格好をさせられているんだ!?」


アルトさんの言うこんな格好とは、紫色の生地と少なめの優しい感じのレースで出来た、綺麗なドレスだった。つまりは女装。

ざっくりと却下したエルさんの作戦は、アルトさんが女装する作戦だけが実行されていたのだ。「囮にはできないけど、男の数を少なく思わすには丁度いいじゃんっ!」と言う言い訳でエルさんが押し切った。


「大体、なんで俺だけなんだ、作戦的にはエルもするべきだろ!」

「アルト何言ってんの、俺が女装したって………バレるじゃん?」

「その間はなんだ、その間は!」


まぁ、多分エルさんとしては、ただ面白そうだったからやっただけなんでしょうね。しかしアルトさん、本当にそれ女装している男性ですか?本当はこっちが真の姿なんじゃないんですか?


「ところで、犯人ってどんな人なんですか?」

「犯人の特長は、赤毛の男で手に大きな傷があるそうだ。」


さっきまで恥ずかしそうにしていたアルトさんは、なんとか吹っ切って凛とした様子で自分の右手の甲を指差していた。


「手に傷ですか……」

「毎回上手く顔を隠していてそれ以上の特長は分かっていないらしい。」

「とりあえず、聞き込みしながら裏路地でも捜すか。」


そして私達は人通りの少ない道で調査を始めた。






ここは、お店や大きな建物なども無く小さな民家がいくつかある通りだが近くに小学校みたいな施設があるらしく、犯人からしたら絶好の犯罪スポットだった。自分で言って置いてなんだが、犯罪スポットって……


「ふむ、ここも特に異常は無いな。」

「見つかりませんね犯人。」

「こんな簡単の捜査で見つかる方が奇跡なんだけどねぇ。」

「次は向こう側の道を捜してみるか。」

「はい!」



そして数時間後……


「い、いないですね……はぁあ。」

「やっぱデタラメに捜しても駄目だったかなぁ?」


結局私達はなんの成果もなく、数時間ずっと歩きながら聞き込みと裏道のチェックをし続けて、ずっっごくクタクタです。普段、こんなに歩く機会なんて無いですよ。


「それにしても、アルトさん達の体力って底無しですね…」


アルトさん達の体力の底が全く分からないんですが……あれだけ歩いて息一つ上がってないとかおかしくありません?


「まぁ、俺達の体力が異常だからねぇ。」

「そうですか…」

「リリアは少し休んだ方がいいな。」



     ※



と、言う訳で現在私はベンチの上です。 いやぁ~、人の好意にちゃんと甘えるのも大切ですね。ぶっちゃけ、限界でした!


「しかし…アルトさん達も休めばいいのに……」


私だけが休んでいるのもなんだか悪い気がする。アルトさん達、さっさと捜査に戻って行っちゃったし……

足の疲労が減り次第、私もまた手伝うことにしよう。


じー…


「?」

なんか、見られている気がする。気のせいかな?


じぃぃいーー……


気のせいじゃないですね。明らかに誰かに見られてます。そして私はゆっくりと後ろを振り返る。



「……子供?」

「……」


そこには三人の子供達がいた。三人とも、8歳位の子達で女の子一人男の子が二人で私をじーっと見ていた。


「えっと……何かな?」


すると一人の女の子が指を差して言った。


「お姉さん、ボール取って。」

「ボール?……あぁ、コレね。」


私の座っていたベンチの下にはまりのような赤いボールがあった。

おそらく、いつもここに置いているのだろう。そこに私がいて取り出せなかった訳か。


「はい、どう……」

バシッ!!


私が最後まで言う前に前にいた甘栗色の髪の男の子が私の手からボールを奪うようにとった。


……落ち着け私。相手は子供だ、そのグーにした手をゆっくりと戻そうか。


「ごめんね、邪魔だった?」

「うん、邪魔。」


イラッ……

こらこら、私さっきまでグーだった手をチョキに変えるな。コレじゃあまるで私がこの子供に目潰しするみたいじゃないか。


「俺達より3歳位年上だからっていい子ぶんな!」


ぶっちん!


「私はこれでも15だぁああ!!」


そして私は私その男の子にグーにした両手で頭をグリグリと攻撃する。


「イタタタタ!痛てぇよ!お姉さんそんなバレバレの嘘つくなよぉ!」

「嘘じゃないわ!」


そして私は、さらに攻撃する力を強くする。後ろにいた女の子は、あぁーみたいな事を言って。もう一人の男の子は……なんとなく「もっとやれぇ~」みたいに言っている気がした。



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