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第87章 ― マアヘスとモントゥの最期の抵抗

「この物語は歴史と普遍的な神話に基づいたファンタジーです。」

「……くそっ。

あの野郎、強すぎるな……」

マアヘスはそう吐き捨てた。

その傷は癒えつつあったが、確実に消耗していた。

「今こそ全力を使う、マアヘス。

これで勝てねば……もはや手はない」

モントゥはそう答えた。

彼の再生も、限界に近づいていた。

隼頭の神は天へと舞い上がり、

神力を解き放つ。

その頭より、巨大な二本の角が噴き出し、

筋肉は倍に膨張した。

次の瞬間、

四肢で地に叩きつけられ、

小さなクレーターが生じた。

モントゥは激昂した雄牛の如く咆哮し、

瞳孔は消え、

双眸は血のような赤に燃え上がる。

コンスは一瞬、驚愕の表情を見せた――

――だが次の瞬間。

モントゥの角が、

一直線にコンスの胸を貫いた。

全身を紅く輝かせ、

モントゥは吼えた。

「バカ・ペフ (Baka Pef)(ブクスの突撃)!」

モントゥはそのまま飛翔し、

角に串刺しにしたコンスを引きずりながら、

山へと叩き込んだ。

岩山は崩壊し、

大規模な地滑りが発生する。

月神は瓦礫の中へと埋没した。

マアヘスは口を大きく開き、叫んだ。

「アペデマク・タウェ (Apedemak Tawe)(アペデマクの息吹)!」

顎から火炎の奔流が噴き出し、

瓦礫を包み込み、

核爆発のような閃光が火星の大地を裂いた。

「……まだマナは残っているのか、モントゥ?」

マアヘスは荒い息の合間に問う。

「……否。

だが、ほとんど尽きかけている。

この形態は、一秒ごとにマナを喰らう……」

その声を遮るように、

瓦礫の中から男の声が響いた。

「それは残念だな。

俺はまだ、イコールもマナも有り余っている」

――コンスが、

無傷のまま姿を現した。

「遊びは終わりだ。

マラクどもを皆殺しにし、

あのタニンの小僧を捕らえる。

解剖し甲斐がありそうだ」

だが――

次の瞬間、

モントゥが再び突撃した。

無数の拳撃が降り注ぐ。

コンスは内臓破裂を試みた――

――だが、初めて異変を感じた。

(……硬い?

皮膚が……操作できぬ)

「知るがいい、コンス!

この姿はマナを削るが――

力と速度は桁違いだ!」

モントゥは咆哮し、

拳でコンスの身体を引き裂いた。

血と肉が飛び散る。

「ダセル・セトゥウェト (Daser Setut)(紅き太陽光)!」

角の間に紅の球体が生じ、

それが放たれた。

空も地平も、

すべてが血色に染まる。

赤以外、何も見えぬほどの光。

モントゥは胸を叩き、

狂獣のように吼え続けた。

「まだだ!

まだ終わらん!」

マアヘスも再び火炎を放つ。

第二の爆発が荒野を裂いた。

だが――

モントゥの変身は、

突如として解除された。

マナは完全に枯渇。

彼は地に崩れ、

荒く息を吐く。

「……これが……限界だ……」

「心配するな、モントゥ。

今度こそ、本当に――」

マアヘスの言葉は、

恐怖と共に凍りついた。

モントゥの身体が、

水風船のように破裂した。

血と臓物が、

赤い砂漠に撒き散らされる。

コンスは立っていた――

重傷を負いながらも。

左腕――鞭を操っていた腕は消失。

顔の半分は焼け、

左眼は完全に潰れている。

彼は残った手を掲げていた。

――その手が、モントゥを爆殺したのだ。

「この俺が……

アムンの偉大なる息子たる俺が……

貴様ら虫けらに傷つけられるだと!?」

彼は掌をマアヘスへ向けた。

爆殺を試みる――

だがマアヘスは、

盲目となった左側へと疾走した。

コンスは唸り、再度試みるが、

マアヘスはその死角を周回し、

すべてを回避する。

「貴様の念動力は視界が必要だ!

片眼は失われ、

もう一方は血で塞がれている!

今のお前では――俺に勝てん!」

マアヘスは全速で突進した。

「我が最強の技!」

「デハ・デス・エト (Deha Des Et)(多重刃撃)!」

彼の腕が霞む。

千の腕が生えたかのように。

一瞬で、

無数の斬撃がコンスを切り裂いた。

紅く輝く刃。

蓮の花が宙を舞い、

槍となって突き刺さる。

コンスの意識は、

闇へと沈みかけた。

(……この無価値な獣に、

俺が殺されるだと……)

その刹那、

彼はマアヘスの頭部を捉えた。

マアヘスは両刃を振り下ろす。

X字の斬撃――

空に紅き三日月が描かれた。

――同時に。

コンスは、

マアヘスの脳を爆裂させた。

獅子神の身体は、

力なく崩れ落ちた。

意識を辛うじて保ちながら、

コンスは血濡れの地を這う。

「……アンブロシア……

アンブロシアが……必要だ……」

その瞬間。

マアヘスの最期の一撃が、

遅れて炸裂した。

巨大な紅の光球が生じ――

コンスの身体は、

上下に裂けた。

胴と頭が脚から滑り落ち、

腸が赤い砂漠に降り注ぐ。

視界が暗転する中、

彼は一つの影を見た。

――ケレス第十二位。

遥か東、大和の地より来た異邦の神。

「……き……さま……

た……す……け……」

コンスの声は、

血に濡れ、途切れ途切れだった。

「そなた、よき戦を為したな、コンスよ」

東方の神は、

静かに告げた。

「卑しき存在なれど、

その勇、認めぬではない。

武士の死を、与えん」

青みを帯びた刃を持つ、

巨大な太刀を抜く。

「ま……待――」

遅かった。

一太刀。

首は宙を舞った。

「腸を好みし者よ」

ヤマトの神は淡々と言った。

「今は己が腸に溺るるがよい」

刀を納める。

「さて……

逃げし者どもを追うとするか」

彼は全速で飛び去り、

ロドリゴと生き残ったマラクたちの進路へ向かった。

「ここまで読んでいただきありがとうございます!次回もぜひお楽しみに。」

「翻訳に間違いがありましたら、お知らせください。」

「とても感謝しています。」

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