どうやら、「まだ」プロローグは終わらないらしい
僕は“ひげ”を拭きながら、笑うあずみに今一度“確かめる”ように質問をした。
「あ、それでなんだけど、、今日“会議”だったんだよね?それには、全員で、、だよね?」
握りしめた鍵を財布にしまい、鞄の中に入れては、「やっぱりね」と言いたげな顔をしながら下から見上げるように笑みを作って言葉を返してきた。
「あーやっぱり忘れてたんだー。そうですよー。全員での“合同”会議だったんですよー」
「やっぱり全員だよね。。。」
「うん。だけど、それがどうかしたの?」
あずみは「何かあった?」と顔を斜めにしては、僕の顔を見てきた。
「い、いや、、さっきあずみと会う前に“よし乃”を見かけたからさ」
「“よしよし”?何かあったの?」
「いや、誰かと話をしてるのを見ただけなんだけど、、」
「ふーん。そうなんだー。。。あ、ところで“よしよし”とは、どーなってるの?」
「え?うん。。え?なんで?」
「知らないとでも思ってたの?ほとんどの人知ってると思うよ。“よしよし”が“行ってる”ってこと」
「え?。。。やっぱりそうなんだ。。。」
僕はあずみの言葉を聞いて「やっぱりか。。」と、心のなかで呟いた。確かに、柏田も言っていたけど“ここまで”知られているとは思いたくもなかった。ましてや、あずみに対する気持ちも少なからず“持っている”。だけどまだ“何も”決まってもいないし、“始まって”もいない。自分の“心”にも“定まって”いないことに、なんとも言えない心境に陥っていった。あずみは、そんな僕の“心境”をよそに、言葉を列ねていく。
「でもね、“よしよし”って、可愛くて“いいこ”なんだけど、余り“良い”噂聞かないんだよねー。」
「え?」
「実際どれが“本当”のことなのか“わからない”から、変なことは話せないけどね」
あずみはよし乃の噂話をしては、「あ、これは言っちゃダメだったかも」と、慌てて手で口を隠しては、「聞かなかったことにして」と顔をさげながら拝むように手を合わせてきた。
「あはは、謝らなくていいよ。。。って、あずみって、そんな性格だったっけ?」
「え?知らなかったっけ?。。。そっか、、、でも小さい頃は“こんな”性格だったんだけどねー。まぁ、“色々”とあったからさ。。。」
「そうだよね。“色々”とだね。。。それで、、よし、、、。いや、それでこれから“どうするの”?」
僕はよし乃の“噂”なるものを聞こうとしたが、言葉を飲み込んだ。耳にしたからには聞きたくなるのは“人の常”なのだが、やはり“過去”や“噂”で、“その人”を決めるように見たくはかった。それに“今”の僕には、これ以上“悩み”を増やしたくはなかった。
僕は飲み物を一口飲んでは、カップを置き、テーブルに両肘をついては手に顎を乗せるように前のめりになり、目の前で飲み物を口にするあずみを見ては問いかけた。あずみは頬を緩め、両手でカップを置いてはうつむいて、言葉とともに顔をあげた。
「これから?って“彼”とのこと?」
「うん。今後“大丈夫”なのかな?って」
「“それ”は、大丈夫だと思うよ。それに、今は“話せる”人もいるしね」
あずみは、“今まで”一人で我慢してきた自分とは“違う”と、あずみ自身に言い聞かせるように僕に話してきた。僕は「だよね」とあずみの顔を見ては口にだし、「もう、一人じゃないからね」と言葉を繋げては、優しい笑みを作った。
「あー、なんか“嫌な顔”してるー」
「え?嫌な顔って、ただ微笑んでるだけなのに?」
あずみは照れを隠すように言葉をついては、“今まで”とは“違う”感覚に自分の気持ちを隠そうとしていた。
「でも、あずみは、もう“我慢”しなくていいんだし、“これから”のことを考えないとね?」
僕は照れを隠すように話すあずみに、「これからだよ」と伝えては、飲み物をのんだ。
僕は、あずみの姿を見ながら伝えた“その言葉”が、自分にも“伝えてる”ような気がした。
少し前まで話し声が聞こえていた店内は人影がまばらに、働く店員の休憩時間に入ってきていた。
「それで、“話”って、その事だけ?」
僕は、あずみの“新しい鍵”の入った鞄を指さしては言葉をふった。あずみは「うん」と言っては「一応、報告を兼ねてね」と優しい笑みを見せては、鞄に手を置いた。
「あ、それとけんちゃ、、、柏田さんのことなんだけど、」
「ん?けんちゃんがどうしたの?」
あずみが“けんちゃん”と言いかけたのを聞いては、僕は、柏田のことを“けんちゃん”と言っては聞き返した。あずみは、「そうだよね」と笑っては言葉を続けた。
「うん。そのけんちゃんなんだけど、明日で“謹慎”がとけるんだよね」
「そうなの?とうとう柏田も“復帰”かぁ」
「うん。これでまた、“みんな”揃うね?」
あずみは僕の顔を見ながら「みんな」と言ってきた。“謹慎処分”中だった柏田。それに休みだった僕と。会わなかった時間はそれほど長かったわけではない。だが、あずみとしては長く感じたのだろう。ましてや、あずみ自身“変化”に気付き始めているのだから仕方のないことなのかもしれない。
「また、仕事場で会うことになるねぇ」
「うん。それとなんだけどね。“何か”あったら、私にも話をしてね?“ひとり”で考え込まないでね?」
「う、うん。大丈夫。話すって、むしろ話してるけどね」
「そうだけどさー、、、」
あずみは口を尖らせては頬を膨らまし、強く息をはいては笑っている。僕はそんなあずみを見ては「そうなんだよなぁ」と、自分の心に“おもい”を連ねてはゆっくりと飲み物をすすった。
「チャチャチャッチャッチャー」
ポケットにしまう携帯が音をだして鳴り響いた。
「あっごめん。バイブにしていたはずなんだけど」
僕はあずみに“言い訳”紛いな言葉をはいてはポケットから携帯をとりだし、携帯の画面を見た。
「え?柏田?」
「え?けんちゃんから?」
「うん。なんだろ?ちょっとごめんね」
僕はあずみに謝るように顔の前で手をたてては「ちょっと出てくるね」と言葉を残し、店の外に出ていった。
「はい、もしも、、、」
「おう、今大丈夫か?」
通話をすると同時に柏田の声が聞こえてきた。
「えっ、あ、うん。大丈夫だけど、どうした?」
「あー、ちょっとな。それよりも今どこにいる?」
「え?どこにいるって駅中の店だけど」
「あー、そうか。。。。なら、その店の場所、メールで教えてくれ。今からそっちに行くからよ。じゃ」
「え?おい。柏田?おーい」
柏田は自分の“用件”だけを伝えては電話を切った。
「え?来るってどういうこと?」
僕は柏田に“何も”伝えてはいない。ましてや、“一人”でもないことも伝えてはいない。
「うーん。。。どうするかな」
別に“隠す”ようなことでもないし、ましてや“隠し”ても“バレる”しと、今までの経験を思い返しては「ま、お互い知ってるはずだろう」と、柏田とあずみの関係も考えては柏田にメールを送った。
「 、ま、、いいか。」
僕は店の外でメールを送っては携帯をしまい、あずみのいる店内へと戻っていった。
「けんちゃん、なんかあったの?」
あずみは椅子の背に手をかけては座る僕に聞いてきた。
「う、うん。なんか“ここ”に来るって」
「え?、、、なんかあったのかな?」
「どうなんだろ?でも、“何か”あったような話し方だったけどさ」
「そうなんだ。。って、私ここにいていいの?」
あずみは不安そうな顔をしては、「帰ろうか?」と聞いてきた。僕は、「大丈夫じゃない?」と、あたかも“他人行儀”な言葉を並べては、「ま、来たらわかるでしょ」と、平然を装った。
僕としては、“二人”が一緒にいるところを見たことは余りなかった。二人は“幼馴染み”だった、ということは聞いてはいるけど、それ以上のことは知らないでいる。別に“二人”も“隠している”わけではないのだろうが、僕としては少し“気になる”ところでもある。むしろ、“柏田”の事をもっと“知れる”かもしれないと、“いやしい”感情がわきでてくる。それに、柏田は僕の“気持ち”を知っているはずで、僕は柏田の“内側”を余り知らない。
「あ、そうだ。あずみって柏田と幼馴染みだったんだよね?」
「え?うん。そうだけど、どうしたの?」
あずみは「いきなりどうしたの?」と、鞄から何かをとる仕草をしては途中でやめ、僕の顔を見ては前のめりに聞いてきた。
「いやね、ここに柏田来るって言うから何となく聞いただけなんだけどね」
「なにそれー?。。。でも、けんちゃんとは、幼馴染みといっても、引越した先で出会って数年ぐらいだよ。前にも話をしたでしょ?」
「うん。あずみが引越しして、前の家に帰ろうとした時に、あったんだよね?」
「うん。そう。あの時は、嬉しかったなぁ。。。まぁ、その後の“時期”を思い出すのは“辛い”けどね」
「。。。」
「でも、あの時けんちゃんに会ってなかったら、“こう”なってはいないだろうね。出会わなかったら、今でも“我慢”してると思うし」
「。。。あずみとしては、柏田って、“でかい”んだろうね」
僕は柏田に対する思いが、言葉に表せられない“感情”に変わっていくのがわかった。でも“それ”がなんなのかは“まだ”わからなかった。
「そうなんだよねー。“でかい”んだろうね。でも一度離れて、たまたま“再開”できたから“思い出せた”のかもしれないけどね。昔の忘れていた“感情”をね」
「忘れていた“感情”か。。。」
「でも、“今”こうして話を聞いてくれる、いてくれるって人に“出会えた”ってことも、私には“大きい”ことなんだよ?」
あずみは僕の顔を見ては、「あなたもよ」と、言葉には出さないで伝えるように微笑んできた。僕はあずみの思う“気持ち”をうまく拾うことはできなかった。
「いらっしゃいませ。お好きな席へ、、」
店員のさわやかな声が店内を巡り、僕の背中越しから聞きなれた声が聞こえてきた。
「お、いたいた。って、あずみも一緒なのかよ?」
「エヘヘ、一緒にいたよー」
「え?なんかまずかった?」
柏田は僕よりも先にあずみを見ては、驚いたような顔をして、「ふー」とため息まじりに隣の席に腰をかけた。
「っち、、、そうならそうと言えよな?」
「え?言う前に切ったの誰だよ?」
「これなら、電話だけにしとけばよかった。。。」
「えー?なにそれー?私がいたらダメなわけ?ひどくない?」
「まあまあまあまあ。それよりも柏田?何か頼めよ?」
「あー、そうだな。何か買ってくるわ」
柏田はカウンター上のボードを眺めてはゆっくりと腰をあげ、カウンターの方へと歩いていった。
「ねー、けんちゃんってひどくない?そう思わない?」
「まあまあ、落ち着いて落ち着いて」
始めて見る“プライベート”での二人は、僕の思っていた“仲”以上な関係に思えた。
あずみは、「ぶー」と唸るような声をだし、残り少ない飲み物を口に運んだ。
「あー、お前ら“これ”でいいか?」
柏田は、自分の飲み物以外に僕ら二人のも頼んで持ってきてくれた。
「えっ?いいのか?」
「流石はけんちゃん。ありがとー」
あずみは柏田なら“当たり前”のような顔をしては、両手でカップを持って自分の前に置いた。柏田はそんなあずみを見ては「はぁ」と息をもらし、僕にも「お前もとれ」と言っては差し出してきた。僕は、「お、おう、ありがとう」と言っては、差し出されたカップを取っては自分の前に置いた。
「それはそうとよ、柏田?“何か”あったんだろ?」
「あ?あー」
僕は、席に腰をおろし飲み物に口を運ぶ柏田を見ては声をかけた。
「あー、その事なんだけどな、、、って、その前に“コイツ”って、仕事の時と全然“違う”だろ?それに“吹っ切った”感じするだろ?」
柏田は僕の近く迄来てはあずみに指をさし、口を隠すように手で覆いながら体を寄せてはこそこそと言ってきた。僕は「。。うん。みたいだよね」と柏田に言っては互いに「なっ?」と含み笑いをした。そんな僕と柏田を見ては、「何かいってるでしょ?」とあずみがふてくされるように言葉を突っ込んできた。
「何でもないよ。何でもない」
僕はあずみに両手を見せては落ち着かせるように答えては、柏田は知らん顔をしている。
「柏田、それはないよー」
「そうよ。。。って、けんちゃんだけじゃないでしょ?」
柏田は僕とあずみが笑いながら言い合ってるのを横目に、ゆっくりと飲み物を飲んでは二人の顔を流し見て、右手で一枚の紙をポケットから出してはテーブルの上に置いた。
「あっ、これって」
「。。。」
あずみは柏田の置いた一枚の紙を見ては少しムッとした表情をし、口を一文字に顔を強張らせている。僕はあずみの顔を見ては“冷静”に柏田に問いかけた。
「これがどうしたんだ?」
「あー、お前も“知ってる”だろうけど、“これは”俺が“謹慎”になったきっかけの“一つ”だ」
柏田はあの“ファックス”に写っていた“写真”の紙を手に話を始めた。




