どうやら、「まだ」プロローグは終わらないらしい
柏田はハンドルにもたれかかるように体を前にしては口をひらいた。
「ん?あー、、山下のことだけじゃねーけど、、お前さー、俺に“何か”隠してたりしてねーよな?」
「え?隠すって何を?隠すことなんて何もないよ。むしろ“隠して”も、バレてるし。。。」
「あはははは、言えてるな。“隠した”って“隠せて”ねーもんな」
「。。。酷いな」
柏田は“よし乃”とのことを含むように冷やかしてきては笑い飛ばし、僕の体を叩いてきた。
「まぁ、とりあえずはそれだけだ」
柏田は不適に笑みを作っては上体を起こし車のエンジンをかけた。僕はハンドルを握る柏田を見ては言葉をふった。
「柏田、聞いていいか?お前は“何を”してんだ?」
あのファックスの件から、いや、その前から何やら“動き始めてる”ことについて、僕は気になり始めていた。
柏田はハンドルから手を離し、エンジンをつけたまま話をしてきた。
「ん?あー、別に大したことじゃねーよ、ただ、、前々から変な“噂”を耳にしててよ、、、まぁそれに対して色々と“確かめ”ようとしてたんだがな、、、」
柏田は苦い顔をしては眉毛を八の字に、口を歪ましながら言ってきた。
「変な噂?」
僕は体を斜めに顔を見ては、柏田に聞き返した。
「あー、、始めは別に気にしてなかったんだけどよ、だんだんと“違和感”がでてきてな。。。まぁ、今は、、、」
柏田は言葉を止めて、僕の顔を見てはまた話だした。
「今は、、“それ”については別にいいんだけどよ。まぁ、お前も“聞いた”かも知れねーけどよ、俺宛に“届いた”のがあっただろ?それによ、“山下”ってやつだろ?“何か”なぁ、、、」
「“なんか”ってなんだよ?それにファックスって、、、お前だけじゃないだろ?」
「あ?、、、お前なんでファックスが、俺“一人”じゃねーって知ってんだよ?」
「えっ、、」
あのファックスを“見ている”人であれば、当たり前のように“知っている”はずなのだが、僕は“後”から知った。その時は“まだ”見ていない。
「あのファックスは直ぐに回収して、見てるやつはほとんどいねーはずだ。なんでお前が知ってんだ?お前何か知ってんじゃねーか?」
言葉に詰まる僕に、今にも掴みかかるような勢いで柏田は言ってきた。僕は両手を前に、体を後ろに下げては言葉を返した。
「いや、見たことを隠してたわけじゃない。言うタイミングがなかっただけで、、、ただ、、ほんと、タイミングがなかっただけ。。。何も“知らない”」
「あ?本当か?嘘じゃねーよな?」
「うん、本当だって、、あのファックスのことだって、“よし乃”と仕事場に着いた時には騒ぎになっててそれで、かずっさんに聞いたら“後”で教えるって、それで教えて“見せて”もらったんだよ。柏田と近い“知り合い”だからってことで」
「、、、本当か?」
柏田は疑うような目をしながら覗きこんできた。僕は「ホント、ホント」と顔を縦に何回も振りながら返事をした。そんな僕を見ては「、、本当かよ?」と言いながら、落ち着くように体を背もたれに倒した。
「他に“何も”ないよな?」
「本当だよ、何もないよ。あったとしても、直ぐに“バレる”だろ?こうやってさ、、、」
僕は両腕を開いては、“かんねんする”ように肩をすくめて柏田に言った。柏田は「。。。ふっ」と呆れるように鼻で笑いながら「そーだな」と言っては、再度、ハンドルを手に車を動かした。
「柏田、言っちゃえば“隠してた”ことになるかもだったけど、お前も、話てくれよ?僕だって“ここまで”きたら、気になってくるからさ」
「あ?。。。何がだよ?」
「ファックスのこととか、“探ってる”こととか、、、」
「あー、そうだな。わかった。話すよ話す。。。。でもまた“隠す”かもしれねーしよ?お前は」
柏田は“嫌味”ったらしく言葉をついてはにやけた顔をした。僕は「もー。それは言うなよ」とため息まじりに笑っては顔をすくめた。
「あ、話戻すけどよ。お前に“あんな過去”があったとは知らなかったけどよ、お前どーすんだ?“あずみ”のことや、まぁ“吉川”のこともか。“今直ぐに”って気持ちが変わるほどそんな“強く”はならねぇかもしんねーけど、あずみはもとより、吉川のことは、はっきりしとかねーとじゃねーの?」
「えっ、、よし乃についてはまだ“何も”、、あずみのことだって“今”はまだ、、、よくわからないよ」
「あ?でも“気になる”んだろ?それってもう“好き”なんじゃねーの?まぁ、“行く”なら同時ってのはねーけどな」
「まー、、、な」
僕は柏田の話に頷くように声をだし、走り出す車の振動に体をあずけた。
“恋愛”と“友情”。“過去”と“今”そして“未來”。どう転ぶのか、どう結ぶのかは、その時にしかわからない。僕は“そんなこと”を頭に思い浮かべては、車に揺られていた。
大きな公園の駐車場をでて、来た道を戻るように待ち合わせた場所まで車を走らせた。「俺もそろそろ“謹慎”が外れるからよ、その時にでもよ?」と、柏田は車から降りる僕に言っては走り去っていった。
「あずみとよし乃。どっちが“良い”んだろ」
走り行く車を見ては、柏田に言われたことを思い返し自問自答を繰り返した。
僕はその日家に戻り、そのまま眠りについた。今の僕の頭では考えることができそうもなかった。
「チャチャチャッチャッチャー」
「ん?電話?」
携帯の音で目が覚めた。僕は布団にくるまりながら充電器にささる携帯に手を伸ばした。
「メール、、か、、、」
電話ではないことを確認しては、眠気眼のままメールを開いた。
「貸しレンタル店、店主より、
先日連絡した件について。“いいですよ”とのことでしたので、落とし主様に伝えておきました。何かしらの連絡がいくかと思いますが、宜しくお願いします。」
前に寄った際に落とし物を拾い、その後店主からの連絡に“しなくていいですよ”と言う意味で返信したことを思い出した。
「あー、あの時のか。“いい”って言ったのに。。。」
僕は布団の中で横向きになり、目をしばしばとさせては覚めぬ頭にボーッとしていた。
考えることも悩むこともせず、頭と心を休ませるように。視点を合わさずに一点を見つめていた。
「。。。はぁ」
憂鬱感にさえ悩みながら、失う“気持ち”と得る“気持ち”に、“うだつ”の上がらない自分の思いからため息が漏れる。
「なんだろうなぁ。。“好き”だった人が“いなくなって”、“好き”かもしれない人がいて、“好き”って言ってくれる人がいる、、、それで、好きかもしれない人が“一人”になるかもしれなくて、、だけど、その人はまだ“一人”になってはいなくて、、それに“友人”は、何か一人で“探って”いて、、、けど“それ”は、一人ではないことかもしれなくて、、、それに、、“誰”かわからない“人”が何かしら関係している“物事”が起こっているみたいで、、、“それ”は僕“ら”に関係していることなのかわからなくて、、それに。。。。」
布団にくるまりながら“今”いる自分の“居場所”を確認するように思い返しては、“余計”にわからなくなってきた。
「あーもう。意味わかんない」
布団を勢いよく投げるように持ち上げては声をだし体を起こした。“今”の状況を整理しようとしてはみたものの、余計に頭を悩ませていた。無理に整理しようとしたところで“何も”解ってはいないのだから、“まとまる”はずもない。ましてや、自分の“気持ち”でさえ“まとまって”はいないのだから。
「あー、ダメだ。」
心を休ませようと“休み”をもらったのに、これじゃ“休む”こともできない。自分に言い聞かせては布団からでて、洗面台まで体を動かしては顔を洗った。
「ふー、、よし」
ウダウダと考える自分を“変え”ようと水で顔を洗い、鏡に写る自分に問いかけるように声をだした。寂しくなる気持ちを“思い出”を、引きずらないように“忘れ”去らないように、“今”を見つめようと。
二日間の休みのうち一日は、柏田と会って終わった。“泣いた”ことは恥ずかしいことでもあったが、“それ”で少しは心が和らいだのも事実だ。ただ、僕としては少しゆっくりとしたい気持ちもあった。何も考えずにゆっくりとしたかった。。。
「ふー、なんだかんだで、一人でジッとすることもできなくなってきたな。。。」
前までは家で一人、気ままに映画を見たり時間を潰したりしては楽しんでいたが、今は“仕事場”や“事柄”からか、外に出掛けるのが多くなった。それに対して“嫌”でもなくなってきているのには驚きもある。ただ、“昔”の自分に戻ったと言えばその通りなのかもしれない。
「どっか行くかな。。」
服を着替え、家の鍵を閉めては羽織るジャケットを直し、ハットに手をかけてはゆっくりと足を動かした。朝の太陽が目に飛び込み、いつもと変わらない景色に“新鮮”さをも感じていた。
家をで出て、通りに差し掛かるところで足を止めては携帯にイヤホンをさし、音楽をセレクトしては耳につけた。jazz、クラシック、ロック。好きな音楽は沢山ある。たまには違った音楽でもと、“ラジオ”に合わせて携帯をポケットにしまった。
いつもと変わらない景色に寂しさと新鮮さを感じては動き行く人波に紛れ、耳に聞こえるラジオに耳を傾けては駅までと歩いていく。
「いきなり占い、、、出会いがしらに思わぬ落とし穴?想いは君に。。そんな君に、この、、、」
携帯から流れるラジオから“予告”紛いの“台詞”がはかれ、続くように“甘い”ポップスが聞こえてきた。僕はその“占い”に「何かあるのかな?」と密かに“にやけ”ては、右手でハットの先を少し下げた。
駅近くまで来ると、これから開く駅ビルの店に沢山の人が列をなして待っているのが見えた。休日ならまだしも、平日でも並ぶモノなのかと、見るたびに思ったりもする。
「何があるんだろ?」
興味はあるが、寄って並ぼうとまでは行く気になれない。「すごいなぁ」と思いながら、並ぶ人波を横目に見ては駅のホームへと歩いていく。
「、、白線の内側まで、、お下がりください、」
電車が入ってくるアナウンスに合わせて階段をゆっくりと昇っていく。ホームへと上がる階段途中に、「魅惑の歴史博物館」なるポスターが張ってあり、それとなしに興味がわいた。僕は「博物館か。。」と頭に浮かべながら電車に飛び乗った。
走る電車の車内広告に目を通しては「他にはないかな」と気分を変える“何か”を探していた。
「ん、、やっぱ“博物館”か。」
階段で見た“魅惑の”が一番興味が湧いた。僕は、その最寄り駅を目指しては電車を乗り継ぐように電車を降りた。
乗り継ぎのために降りた駅は初めて降りる駅だ。毎日通過する駅なのにもかかわらず、一度も降りたことはなかった。
「この駅は、はじめてだな」
ホームに降りては周りを見渡すように右へ左へと顔を回した。あたかも“おのぼりさん”のようにキョロキョロとしていた。僕はその駅の改札を抜けては、隣接されているもうひとつの駅改札に足を向けた。
「へー、ここにもこの店あるんだぁ」
携帯の“ラジオ”を消してはイヤホンを外し、ポケットにしまった。並ぶ店舗を見ながら、通路脇にあるコインロッカー奥の自動販売機に立ち止まっては飲み物を買った。
「コーヒー、、、いや、お茶かな」
いつもならコーヒーを買ってしまうのだが、なんとなく“お茶”にした。僕はその場で呑み口を開け、ゆっくりと一口、二口と飲んだ。
「あんたさーあの“彼”のこと本気なの?」
「えー?なんで?本気だよぉ」
コインロッカー前で、女性が話している声が聞こえてきた。聞こうとしてはいないのたが、耳に入ってきた。「盗み聞きは良くないよな」と、その場を後にしようと離れようと体を動かした。
「えーでもさ、同じ“仕事場”でしょ?私はやだなぁ」
「そんなことないしー」
僕は「ダメダメ」と聞く耳を閉じようと意識をしては、「やっぱ“ある”んだな」と、社内恋愛の“恋ばな”的なモノに興味を引かれた。“今”の僕も“同じ”ではないけど“同じ”ような感じがした。
ゆっくりと自動販売機から足を動かし、コインロッカー前を通ろうと何気なくその“女性”の方に顔を向けた。
「え?なんで?」
僕は咄嗟に足を戻し、自動販売機前に体を隠した。
「なんで“いる”んだ?仕事って、今日休みだっけ?」
自動販売機に背中からもたれ掛かるように隠れては、もう一度コインロッカー越しに覗いては、話している“女性”の顔を見て混乱した。




