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どうやら、「まだ」プロローグは終わらないらしい

「あっ、そういえば、、、今日って柏田と連絡とれた?」


僕は告白したことに恥ずかし気持ちを隠すように“昼”のことを思い出してはあずみに聞いた。


「今日?。。。きてないよ」


あずみは顔を横にふっている。僕は“昼”会う約束をしていたことを話した。


「でも、会えなかったんでしょ?」

「そうなんだよね。」

「連絡はしてみた?」


僕はポケットから携帯を取り出しては柏田に電話をかけた。あずみは少し気まずい空気のなかゆっくりと書類に手をつけた。


「プップップッ。。。。お掛けになった、、、プツ」


携帯の電話を切り顔を横に振っては「繋がらないね」と呟いた。


「うーん。。どうしたんだろうね?」

「。。。でも柏田のことだから、明日にでもくるでしょ?」


繋がらない携帯を握ってはあずみに切り返した。いつもの柏田なら“なんらか”の連絡がくるはずだが、まったく連絡がとれなくなっていた。姿も見ていない。


「ま、柏田のことだから大丈夫だよ」


僕は「そうかなぁ」と心配するあずみに言っては、またしても“告白”したことに、あずみの顔をまともに見ることができないぐらい恥ずかしくなってきた。


「あ、あのさ、、」

「うん?なぁに?」

「あの、さっきのことなんだけど、、、」

「。。。うん」

「あれは、、その、、」

「。。うん。わかってる。心配しないで。誰にも“言わない”から。。。」


あずみは僕の言いたいこととは“少し”違うけど、同じような答えを言ってきた。僕は「うん」と、赤くなる顔を見せては“平然”を装うように振る舞った。あずみは真っ赤にする僕の顔を見ては「クスっ」と笑った。


僕は笑うあずみを見て少し“安心”して、さらに恥ずかしく、照れるように笑ってしまった。


静まりかえる部屋で二人して“変な”空気に照れ笑いをした。


僕はあずみの仕事が終わるまで待とうと思ったが、それだとあずみに変な“気を”使わせてしまうのではないかと、机を叩くように手をおいては「うん。帰る。帰るね」と机をみながら唐突にあずみに伝えた。あずみは、「うん、、ごめんね」と仕事をしながら言ってきた。


「。。。うん、、、」


何て答えたら良いのかわからずに返事だけを返した。伝えたことで余計に“意識”してしまう。


僕はパソコンの電源を消しては鞄を手に「じゃ、また“明日”」とタイムカードを押しては部屋をあとにした。あずみは一人机にむかっている。


駅のホームまで歩いてはもう一度携帯画面を開き、着信履歴がないかを見ては柏田にメールを送った。


“伝えた”ことで、わかることもある。“答え”が出ていることでもわからなくなることもある。僕の頭のなかは自分のことで、一杯になっている。


思う人と思われる人、見えかたも違ければ伝えかたも違う。


僕は電車に乗り家に帰りそのまま眠りについた。



朝の日差しが部屋をさし、外を行き交う人の会話が聞こえてきた。布団の中でモソモソと体を歪めては口をモゴモゴと動かしている。精神的に何かしらの“疲れ”が出てきているのか、はたまた“昨日”のことが残っているのか、揺れ動く“時間”の進みに戸惑いを持っている。それは、自分自身の“表れ”でもあり、“過信”でもある。僕は夢の中へと戻ろうとする意識に瞼を持ち上げては下げてと繰り返していた。


「ピーンポン ピーン、、」


夢と現実に揺れ動く耳に呼び鈴が聞こえてくる。僕は目覚めぬ体をくの字にしては掛ける布団を落とすように体を起こした。ゆっくりと膝をたて、その上に手をついては立ち上がり、焦点の合わない目を擦りなからドアへと歩きだす。


大きくあくびをしながらフラフラと体を引きずるように体を動かし、ドアノブに手をかけてはゆっくりと開けた。


「。。。。。」


家の外には誰もいない。「家じゃないのか?」と一歩外に足を踏み出しては右左と覗くように顔を動かした。隣近所の前には誰もいなく、「行ってきまーす」と言う声が聞こえてはドアを開く音だけが聞こえてくる。


その音に誰もいないことを確認しては、左手で目をこすり部屋の方に体を向けてはドアを閉めた。


僕は部屋に戻り座椅子に腰をおろしては、今一度大きくあくびをした。目から流れる涙を親指で拭いては、ちゃぶ台の上に転がる携帯を手にさわった。


「柏田からは、こないか。。。」


昨日の朝、会話してから“昼”にも会わなかった。連絡をしても返事がこない。今までも何回かはあったことはある。しかし、その殆どはその日の内になんかしらの連絡はきていた。


携帯画面を閉じては、肘をつき頭を支えるように額とこめかみに手をつけては、顔を横に揺らした。


「柏田は“何”のために呼んだんだ。そして、、、」


起きたばかりの頭では“何も”でてこない。あずみに“告白”したことで、よりいっそう柏田のことが気になり始めている。


携帯をちゃぶ台の上に置いては、目覚まし時計に目をうつした。


「え?こんな時間?やばっ。。。」


目覚まし時計の針はいつもの出勤時間をとうに越えていた。僕は急いで服を着替え、乱れる髪もそのままに家をでた。ドアを閉める際、一枚の紙が家の中へと入っていくのが見えた。僕はそれを確認する余裕はなく、そのままドアを閉め、上着の裾をはだけさせながら走っていった。


息を荒くバサバサと上着を羽ばたかせては駅の階段をかけ上がっていく。


「、、線、発車します。黄色い、、」


ホームにたどり着くと電車の扉がしまりかけていた。僕は走る足を踏み込んでは閉まる扉に体を入れた。


「プシュー。。ゴトン、、、」


目の前で扉は閉まり電車は動き出した。


僕は動き出す電車に平行に足を動かしては、ゆっくりと歩きだした。


家からここまで全速力で走ってきた体は波をうち、ワイシャツも上着も乱れている。僕は足を止め、ゆっくりと深呼吸をしては息を整え、鞄を下に置いては乱れる服をなおした。僕の周りには出勤する人達で混雑している。


僕は一本後の電車に乗り仕事場に向かった。


仕事場の最寄り駅で電車を降り、早歩きで改札をぬける。駅中に設置される時計を見ては歩く速度をあげた。


遅刻は何度かしている。けど、ここ休みが多いと、なおのこと遅刻は避けなければならない。これ以上遅刻や休みをしてしまうと、色んな“影響”が付きまとってくる。僕は焦る心に自己嫌悪を奏でては速度をあげる足にムチをうつ。


「あ、おはようございます」


仕事場のタイムカードを押しては、就業時間になった。息を荒く肩で呼吸をしては、仕事場の人達に挨拶をした。


「おいおい、珍しいな?」


自分の席につくと近藤が話しかけてきた。


「そうかぁ?」


乱れる呼吸をそのままに返事をしては、深く息をはいて唾を飲み込んだ。鞄を下に置き、椅子に手をかけては隣のあずみの席に目をやった。


「まだ、あずみさんは来てませんよぉ」


よし乃が書類を手に僕を見ては話しかけてきた。僕はよし乃の声に一瞬“ドキッ”としては微笑むように顔を和らげ腰をおろした。よし乃は“何か”を知るような目をしては、書類に目を落とした。


その日僕はどこか“ソワソワ”としていた。昨日の今日で、むしろここ数日で僕の心が一人歩きしているような感じだった。思いもよらないことを、頭と心の“違い”に戸惑いつつも、“現実”として見ることが恥ずかしくもなっている。


昼休憩になり、僕は携帯画面を開いては、柏田に連絡を入れた。


何“が”気になるのか、何“を”気にしているのか僕にはわからない。けど、あの柏田が何も連絡してこないことに、僕の気持ちが焦りだしてくる。


僕は一日“ソワソワ”する頭に仕事をこなしていく。


「おー。そろそろ終わりだなぁ」


隣の近藤が体を伸ばすように腕をあげては、声をかけてきた。


「え、あーそんな時間か、、」


近藤の声に返事をしては周りに目をやり、最後にあずみの席を見た。山下はなんだかんだ一通り“質問”しながら仕事をやりとげ、よし乃は“何か”を達成させるがごとく、マニュアルを片手にうちこんでいる。“移動組”としては何かと苦労するものなのだが、ある程度の仕事に対しての知識がある分そつなくこなしている。僕には“出来ない”ような感覚に目を奪われる。


「あ、ところで知ってるか?また何かしら“異動”あるみたいだぞ?」

「え?」

「本当かどうか“噂”でしかないけどな」


近藤は書類を片付けては帰り支度をとりながら、話をふってきた。僕は近藤を見ては、顔を硬直させた。


「なによ?そんなに驚くことなくね?」


硬直する僕を見ては笑いながら言ってはパソコンの電源を落とし、「じゃ、お先」と、右手でカメラのシャッターを押す素振りをしては帰っていった。


山下も「よし」と、声を出したては「帰るッス」と鞄を手に席をたった。僕は山下に声をかけては、帰る後ろ姿を目で追いかけた。


「どうしたんですかぁ?」


山下を目で追う僕の視線によし乃が気づき眉毛をあげては顔を斜めに聞いてきた。僕は「ん?うん、何でもないよ」と山下にする視線を下げてはよし乃を見た。


よし乃は机の上にかさばる書類とマニュアル本を整理している。


「あ、今日って、このあと空いてますかぁ?」


書類を片付けながらよし乃は聞いてきた。僕は口を横に、左上に目線を動かしてはよし乃に答えた。


「ん、、今日はちょっと用があるから、、、ごめんね」


僕はよし乃の誘いに断りを入れては、書類を片付け鞄を手に持った。よし乃は「そうですかぁ」と半分泣きそうな顔をしては、「じゃあ、また、今度お願いしますぅ」と口角を横にしては作り笑みをしてきた。


「ごめんね。。」


僕は拝むように顔の前で手を合わせては、よし乃にあやまった。よし乃は「。。。いいですよ」と頬を膨らましては横にむいた。


僕はパソコンの電源をおとし、椅子を戻しては片付けるよし乃に挨拶をしてはタイムカードをきった。よし乃は帰る僕を目で追いながら下唇を噛んでいる。


僕は携帯を手に持ってはある場所へと向かった。


「へい、らっしゃい まいどー」


僕は柏田の行きつけの店に足を向けた。いつにもまして食欲のそそる匂いが店内を包み込んでいる。


「あ、久しぶりだねー。最近来なかったねー」


カウンターに立つマスターが声をかけてきた。僕は軽く会釈をしては笑う笑顔でマスターに声をかえした。


仕事帰りの人が、ふらっと立ち寄ってはガヤガヤと話に花を咲かせていく。愚痴をこぼしあう人がいれば、豪快な話をする人もいる。僕はその人達を横目にカウンター席に腰をおろした。


「久しぶりね。最近どう?」


店の奥からママがおしぼりを持っては声をかけてきた。


「あ、ありがとうです。あ、ビールお願いします」

「はーい」


ママからおしぼりをもらっては顔の油をとるように顔を拭いた。今まで気にしてはこなかったけども、この店は色々な写真やポスターが貼ってある。そこには“様々”な人のサインも載っていたりする。隠れた“名店”なのか、ただたまたま来た人が“そっち関係”なのかはわからないけど、マスターとママの人格からして“常連”になってしまうのは、頷ける。


「はい。お待たせ」

「あ、ありがとうございます」

「ごゆっくりね」

「はい。。。あ、、ママ?」


ビールとお通しをもらい、下がるママに声をかけた。


「あの、最近 柏田来ました?」


僕は連絡のとれなくなった柏田のことを聞いた。たった一日だとしても“あの”柏田が何も連絡を返さないとは思えなかった。自分勝手なモノ言いな性格であっても、自分の言ったことには“守る”人間だ。


ママは「見てないわね。。」と首を傾けてはカウンターの中にいるマスターにも聞いてくれた。


「あー。最近来てないね。どうかしたの?」


マスターはカウンターの奥から料理を作りながら言ってきた。


「あ、いや別に。それと言って用はないんですけどね」


僕はビールに口をつけては、手を横にふりマスターとママに言葉を返した。


ママとマスターは「来たら言っとくよ」と僕を見ては声にしたが、僕は「別に大丈夫ですよ」と誤魔化すように笑ってはお通しを口に、ビールを喉に流し込んだ。


僕はもう一杯ビールを頼んでは会計を済ませ店をでた。


柏田からの連絡もなく、あずみとも今日は会わなかった。不穏に感じた山下も“今”は何も動くようなことはない。けれど“何かしら”が動いているように思えてしかたがなかった。それは僕に“関係”することでは“ない”ことだとしても。


頭に悩みを増やしては、誰もいない家へと帰っていく。


家につきドアを開けては、足元に落ちる紙を拾い部屋の中に入っていく。鞄を紙と一緒に置き服を着替え、座椅子に腰をおろしては深くため息をはいた。


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