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転生して十年経ったので街を作ることにしました  作者: 笹村工事
第一章 街を作る準備をするよ
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間章 潜みし者達

 その場は、虚ろな場所だった。酷く現実感に乏しい、偽りの世界。

 あるのはただ、円卓のみ。その座の1つを埋める人物が、口を開いた。


「勇み足でしたねぇ」


 嘲る声が投げ掛けられる。

 声の主は猿の面を付けていた。その上、身体全体を覆うようなローブを身に着けているせいで、何処の誰なのかも分からない。

 声は、涼やかな美声であったが、どこか紛い物の嘘くささを滲ませていた。


 それも道理。いま声を投げ掛けた人物も含めて、この場に集まりし12人は実体ではない。

 魔術により、仮想実体を投影しただけの幻影だ。


 だが、紛い物であっても、声には感情を込めることはできる。

 嘲りの声を投げ掛けられた鳥の面を付けた人物は、怒りを込め言葉を返した。


「結果だけで物を語るな、新参者が。勇者共が魔術協会と手を組もうとしたのだ。あれでは、古めかしい協会の体制が延命されてしまう。それを防ぐために、私は――」

「嘘は要りません」


 冷ややかな声で遮ったのは、蛇の面を付けた人物。鳥の面が何かを返すよりも早く、続けて言った。


「貴方はただ、嫉妬しただけでしょう。若輩が、勇者達と縁を結び力を付けることに。率直に言って、みじめですね」

「キサッ――」


 鳥の面が怒りに声を上げるより早く、


「静粛に。嘲りも怒りも、いま必要な物ではありません」


 声を上げたのは、鼠の面を付けた人物だった。この場を取りまとめるその人物は、静かに続ける。


「必要なのは、これからどうするかです。退くのか、あるいは攻めるのか? 協力するのか、それとも傍観か。決めるべきはそれでしょう?」

「ならば私は宣言させて貰いましょう。此度の件、傍観させて頂く」


 真っ先に答えたのは、竜の面を付けた人物だった。その言葉に、皆は耳を傾ける。


「結果として、魔術協会と勇者達が協力関係になりましたが、それならそれで私は構いません。少なくともしばらくは、手を出すつもりはない」

「馬鹿な!」


 反論の声を、鳥の面が上げる。


「それでは魔術協会が、かつての権威を取り戻すかもしれないではないか! 我らの目的を忘れたか!」

「古きを壊し新しきを作る。忘れる訳がねぇってばよ」


 鳥の面の言葉を遮ったのは、虎の面を付けた人物。どこか楽しそうに、続けて言った。


「俺たちは、その理念の元、集まってる。

 古いだけで変わらねぇ物はつまんねぇ、じゃんじゃんぶっ壊れて作り変われ。

 この世界を去った外なる神の残した言葉を信仰してな。

 でもよ、それって、理念が同じってだけで、目的はテンでバラバラ、それぞれ違うだろ?

 魔術協会をぶっ潰してその後釜に座るだの、王国をぶっ潰すだの、それぞれの目的に従って動いてるし、都合が良ければ協力するだけ。

 別に俺さまはよぉ、自分が楽しければどうでも良いんだよ。

 勇者共が色々と引っ掻き回して楽しませてくれるなら、それで良い。眺めて時々ちょっかい出して、遊ぶだけだからな」

「なにが言いたい!」


 激昂するように声を上げる鳥の面に、虎の面は楽しげに笑い、そして返した。


「アハハハハハッ! ばーか。お前はつまんねぇ、つってんだよ。

 別に、妬みや嫉妬で魔物まで使ってやらかしたってのは、どうでも良い。むしろ、そんな理由で、こんなことしでかしたのは笑えるから許してやるよ。

 でもな? だったら隠すなや。胸を張って堂々とやっちまえば良い。

 それこそ、魔王にまでなった、ニコの旦那みたいにな。

 近いことぐらいなら出来るだろうがよ。魔王を作った一人なんだからさ」

「その言い方には語弊があると思いますよ」


 たしなめるように言ったのは、牛の面を付けた人物。


「確かに彼は、魔王製造の理論構築に携わった一人ですが、あくまでもそれだけです。

 そもそも、すでにその知識はこの場に居る全員が得ています。わざわざ彼だけに、そのリスクを求めるのは酷ですよ」


 どこか、鳥の面を庇うように言う。だが、それを侮辱と取った鳥の面は、激昂し口を開こうとするが、それよりも早く馬の面を付けた人物が提案した。


「話がまとまりませんな。今回、私らが集まったのは、今回の件に関わるかどうか? それだけでしょう?

 時間もタダじゃないんです。効率よく使わせて下さいな。

 だから挙手で、さっさと決めましょう。今回の件で、協力するなら手を上げて、しないなら上げない。

 それで行きましょう。私は、手を上げるつもりはないですがね」


 その提案に否定の声は上がらず、同じく誰も手を上げる者はいない。

 その事実に、鳥の面が何も声を上げられないでいると、


「決定ですね。今回の件、何か行動を起こすのなら、貴方だけで行って下さい。

 ただし、個別に誰かが独断で協力する事も、禁止はしません。

 会合は、以上とします」


 短く端的に告げると、その場から消え失せた。この場に投影した仮装実体との接続を切ったのだ。 

 そこから次々に消え失せ、あとに残るのは鳥の面1人のみ。


 痛々しい静寂の中、鳥の面は絞り出すように呪いの声を上げた。


「勇者共め……――」


 何度も何度も、それは繰り返された。

 呪いの言葉を、届かせようとするかのように。

誤字報告ありがとうございます!! ありがたいです!!


結構あったので、一週間ぐらいかけて、見直しを入れます!!

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