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タンスを開けようとしてみる

「私達は何をしたらいいのですか?」


 王は一息ついた後、口を開いた。


「復活した魔王を倒して欲しい」


 予想はしていたがまさかここまでテンプレだとはな。


「・・・わかりました。私達は全力でこの世界を救いましょう」


 さすが進道、早い決断だ。

 不明な点はまだ沢山あるが、それは後で正宏にでも聞こう。

 親父達のゲームだ、面白くないはずがない。全力で楽しもうじゃないか!


「うむ、よろしく頼むぞ!勇者達よ!」


 すると周りの兵士達が再び敬礼をする。


「それでは勇者の皆様お部屋にご案内致しますので着いて来てください」


 使用人らしき人が俺達を先導し、部屋へと案内してくれた。どうやら一人ひと部屋ずつあるようだ。最初に来たときも思ったが、とてつもなく広いな。「トイレが50個あります」と言われても違和感が無いくらいだ。


「ご用意が御座いましたら、そちらの水晶で使用人達と連絡が取れますのでお申し付け下さい」


 そう言って使用人は下がって行った。

 さて、これからどうするか···うーん、そういえば図書館で伝記が読めると言っていたな。行ってみるか。っとその前に場所が分からないから使用人達に聞こう。えっと水晶を使うって言ってたな。


 水晶を···使う···?どうやって?

 まぁ、取り敢えず話し掛けてみるか。


「すいませ~ん、使用人さ~ん」


 ···反応なしっと


 次は手をかざしてみるか


「使用人、我が力に応えよ」


 ···無理か


 まぁ、今のは冗談だからもし、使用人さんに伝わったら黒歴史を作ってしまったところだ。


 よし次は水晶に触れてみるか。


 俺はそっと水晶に触れてみると水晶が青白く光った。


 お、当たりっぽいな。


「すいません、図書館への行き方を教えてもらえませんか?」


「はい、分かりました。今そちらに一人向かわせます。少々お待ちください」 


 水晶から無機質な声が発せられる。


 さて、部屋の散策でもするか。




 RPGにおいてLv上げの次に重要となること。それが「散策」だ。壺を割れば薬草が、タンスを開ければ少量の金が、そして宝箱を開ければ重要なアイテムが、それがRPGの醍醐味の一つである。


 しかし、俺がタンスへ触れようとした瞬間、


 こんなウィンドウが目の前に表示された







 現段階ではインベントリに収納できませんでした。





 ···?


 うん、一言で言おう。


 びっくりした。

 だって急にウィンドウが表示されるんだもん、誰でも驚くよ。それにしてもウィンドウが出てくるなんて本当にゲームみたいだなここ。


 さあ、考える時間だ。

 まずインベントリがある。インベントリと言えば、普通持ち運びが出来ないものが持ち運べるゲームによく出てくる、いわば四次元ポケットだ。

 そのインベントリに収納出来ない。「現段階では」この言葉だ。この言葉があるということはいつか収納出来るようになるのだ。それがレベルによる解放なのかアイテムの取得によるものなのかそして、イベントによるものなのかは分からない。もし最後だったとしたら外から世界を操られている見たいで気持ちが悪いな。しかし「インベントリ」この言葉は覚えておいて損はないだろう。


 まぁ、そんな事を考えているけど、このタンスは果たして開けることは出来るのだろうか。


 再びタンスに触れようとしてみる。



 現段階ではインベントリに収納できませんでした。



 いや、それは分かったから。


 タンスの取っ手に手をかける



 現段階ではインベントリに収納できませんでした。


 いや!もういいから!


 タンスの扉を引こうとする。



 現段階ではインベントリに収納できませんでした。


 ···開かない

 これはもしかして、宝箱の中身が宝じゃなくて宝箱が宝だったって云うことか。


 コンコン


「大変お待たせいたしました。図書館へ案内致します」


「あ、はい」


 色々考えてたらもう使用人さんがきた。さて図書館で情報を集めるか


 そう思ってドアを開けたするとそこには使用人さんと進道(しんどう) (はじめ)がいた。


「やぁ、日屋君」


「あ、どもっす」


「はは、そんなに畏まらなくてもいいのに、クラスメイトだろ?」


 うわー、コミュ力半端ねぇ。俺あんなキザ臭いセリフ吐けないんだけど!輝かしいー!


「悪いな、これがデフォルトなんだ」


「なるべく嘘はやめて欲しいんだけど」


「別に嘘なんか言ってないけど」


「そうかい、蟹田宇治君と喋るときはもっとラフなしゃべり方だったと思うけど?」


 うっわ、え、なにコイツ俺のこと知ってたの?え、もしかしてストーカーなの?そうだとしたら相当気持ち悪いんだけど。まぁ、冗談はこれくらいにして、俺のことを認識していたことに驚きだ。っと、そろそろ返答しないとなんか論破されたみたいでムカく。


「どうしたの?図星でもつかれた?」


「いや、べつに、俺のこと知ってたんだなと感心しただけだ」


「へぇ、ずいぶんと馬鹿にしてくるじゃないか。君のことは知ってるよ。だって()()()()()()8()0()()()()()()を取っているんだからね。」


「へぇ、ずいぶんと暇なんだな。俺のこと調べている時間があるならもっと勉強したらいんじゃないか()()1()0()0()()()()()()()()()?」


「おや、ずいぶんと流暢にしゃべるようになったじゃないか」


「いっただろ?これがデフォルトだ」


「ふ、ふふふふふ、ははははははは!ははははははははは!」


 進道が腹を抱えて笑ってやがる。


「まさか、ははは!こんな短時間で人を嫌いになるなんて思いもしなかったよ!」


「奇遇だな、俺もだ」


「はは、君は本当に愉快な性格をしてるな」


「すいません」


 ふとしたとき、使用人さんに声をかけられた。

 おっと忘れてしまっていた。俺は図書館に行くんだったな。


「今さらだけど、進道はなんでここに?」


「君と一緒だよ。じゃあ使用人さん案内よろしくお願いします」


「畏まりました」


 こうして俺達は図書館へと向かった。その道中俺達の間に会話は一度たりとも生まれなかった。


 日屋 雑士 


 所持品 なし


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